関西弁で書かれた小説が面白い! おすすめ作品5選
更新日:2017/7/12
その地域特有の言葉やイントネーションなど、聞いていて楽しい『方言』。
なかでももっともメジャーな方言といえば、関西弁ではないでしょうか。
そこでここでは、登場人物たちが関西弁で話す小説をご紹介します。独特な世界設定を愉しんでくださいね。
ユニークすぎる世界設定
『乳と卵』
川上未映子(著)、文藝春秋
第138回(2008年)芥川賞受賞作。
関西弁の1人称で描かれた口語調の文体と世界がユニークなあまり、芥川賞の選考で評価が二分化された衝撃の作品。
結果的に芥川賞受賞となりましたが、当時の審査員の石原慎太郎さんは最後まで反対し「この作品を評価しなかったということで私が将来慙愧することは恐らくあり得まい」という言葉を残したのだそう。
樋口一葉へのオマージュが隠れているのも評価された点のひとつ。ぜひ読みながら見つけてみてください。
とあるローカル線で起きる、胸キュンストーリー
『阪急電車』
有川浩(著)、幻冬舎
中谷美紀さん主演で映画化もされた作品。
舞台は、兵庫県を走る『阪急今津線』(路線距離:約10km・駅数:10駅)というローカル路線の駅。大学時代、この沿線に下宿していたという有川さんの思い入れがこの作品を生み出しました。
電車の中で生まれる恋、婚約者に裏切られた花嫁、彼氏から暴力を受けている女の子、主婦同士の付き合いに辟易している主婦など、ひとりひとりのエピソードが心に染みます。
登場人物たちが関西弁で話す姿は読んでいてほっこりしますよ。
ザ・関西弁を楽しめる!
『浪花少年探偵団』
東野圭吾(著)、講談社
2000年・2012年と2回テレビドラマ化されている作品。
東野作品のなかでも初期に発売されたことと、幼少期の思い出がベースとなった作品であることから、東野さんにとっては思い入れが強いシリーズなのだとか。
本書で描かれるのは大阪の下町にある小学校。ミステリー小説が大好きな6年2組の担任・しのぶと、小学生たちが繰り広げるドタバタミステリーは、爆笑しつつつい涙してしまうシーンも……。
ドラマでも話題になった「うちは大路のしのぶやで!」というキメ台詞が印象的な、いわゆる「コテコテの関西弁」を楽しめる作品です。
関西弁の掛け合いが軽快な青春ストーリー
『THE MANZAI』
あさのあつこ(著)、ジャイブ
シリーズ累計200万部突破の人気作品。泣ける・笑える・ほっこりするの三拍子が揃った青春小説です。
転校してきたばかりの主人公に『おまえは普通やない、おれにとっては特別なんや』と言ってのける貴史。傷ついた主人公の心が少しずつ回復していく姿には心動かされます。
また、登場人物たちの軽快な関西弁の掛け合いがクスリと笑えます。
なお、吉本興業のコンテスト「THE MANZAI」とは何も関係ありませんのでご注意ください。
非現実なのに、リアルな世界
『プリンセストヨトミ』
万城目学(著)、文藝春秋
堤真一さん主演で映画化もされた作品。
滅んだと言われている豊臣秀吉の末裔を守る「大阪国」や、大阪国のプリンセスなど、奇想天外でコミカルな世界が愉しめる1冊。
実際にはありえない設定なのに「これってもしかしたら実話かもしれない」と感じてしまうリアリティ溢れる描写は、さすがの筆致です。
大阪城を中心に風景描写も多く、大阪に行きたくなる作品です。
関西弁の独特な世界を愉しんで
軽快な関西弁で描かれたこれらの作品を読むと、まるで大阪に旅行しているような気分になります。
ぜひ読んでみてくださいね。
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