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京都を舞台にした、独特な世界観を持つ小説5選


 

外国人観光客が訪れる地域として、必ず上位に上がる京都。

古都、日本文化、寺社仏閣、歴史、雅、美しい街並み、伝統……京都に魅了された小説家は多く、実際、京都を舞台にした小説は世の中にたくさん存在しています。

文学と京都の紐付きの強さから、なんと「本屋大賞」ならぬ「京都本大賞」が、2013年にスタートしたのだとか。(最も地元の人に読んでほしい作品を、書店員および一般読者が投票して選んでいるのだそうです)

 

さて、今回のテーマは「京都を舞台にした小説」。

単なる「京都が舞台」な作品ではなく、京都でなければ成り立たない作品を選んでみました。京都の独特な世界観を愉しんでくださいね。

 

 

妖しい雰囲気溢れる短編集。
『京都綺談』

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京都綺談
赤江瀑・芥川龍之介ほか(著)、実業之日本社

恐ろしくも美しい京都のもう一つの貌…この町には魔が棲んでおりますのや。名手たちが鮮やかに紡ぎだした傑作アンソロジー。(帯)

タイトル通り、京都をテーマにした綺談(きだん)集。
綺談とは、奇談とも書き、巧みに作られた面白い仕掛け話を指します。

本書に収録されているのは、赤江瀑「光悦殺し」、芥川龍之介「藪の中」、岸田るり子「決して忘れられない夜」、柴田よしき「躑躅幻想」、澁澤龍彦「女体消滅」、高木彬光「廃屋」、水上勉「西陣の蝶」、森鷗外「高瀬舟」。

ラインナップを見て頂くとお分かり頂けると思いますが、一流作家による作品が並びます。
収録されている作品のなかには、ホラー小説とまでは言わないものの、恐怖を感じる作品もあります。

華やかな街に潜む、ぞわっとするような恐さ……京都という街を多面的に見るにはオススメの一冊です。

 

 

待ち受ける結末に、きっとあなたも騙される?
『桜疎水』

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桜疎水
大石直紀(著)、光文社

すべての作品に、仕込みあり。きっとあなたは欺される!

曼殊院、真如堂、寺町通、松ヶ崎疎水、上賀茂神社、太秦…京都に仕掛けられた六つの罠

物語の最後に出会うのは、驚愕の恐怖、切なさ、そして人の優しさ

第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「おばあちゃんといっしょ」収録!!(帯)

「騙す」をテーマにした短編集。京都を舞台にした珠玉のミステリーが6編収録されています。

日本推理作家協会賞短編部門を受賞した『おばあちゃんといっしょ』は、宗教団体を立ち上げ、ホームレスの男を教祖に祭り上げ、信者から金をまきあげる女が主人公です。

美しい京都を想起させる言葉選びと、数々の詐欺や事件のギャップが癖になります。あっと驚く、ひねりのある結末も素晴らしい。
読むと分かる、この不思議な読後感。ぜひ体験してほしいと思います。

表紙も綺麗で、手元に置いておきたくなる一冊です。

 

 

幻想世界と現実が交錯する。
『宵山万華鏡』

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宵山万華鏡
森見登美彦(著)、集英社

一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は“宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」) 目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷路」) 祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。(表紙裏)

京都を舞台にした作品を多く執筆している、森見さんの短編集。(今回ももちろん京都が舞台です)

『宵山』とは、京都の代名詞の一つ・祇園祭における、本祭の前日(前夜)に行われる祭のこと。
宵山ならではの、あの熱狂的な空間と、何が起こってもおかしくないような妖艶な空気を、存分に味わうことができる作品となっています。それはまるで京都にトリップしているかのようなのです。

読み終わった後の余韻が、言葉では言い表せないほど深い作品に仕上がっています。

 

 

繊細な描写で、官能的。
『百万遍 古都恋情』

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百万遍 古都恋情
花村萬月(著)、新潮社

あてもなく京都にたどり着いた惟朔。流れ者の巣窟・京大西寮を仮の宿りとしての、気ままな生活が始まった。個性的な青年たちと友情を結びながら、少年は、さまざまな女と運命を絡ませてゆく――。夜這いで遭遇した小百合、瞬間で心を奪った鏡子、熟した芳香をはなつ毬江。惟朔と女たちは互いに求め合い、交わり続ける。性という狂熱に果てはあるのか。永遠のテーマに挑む傑作長編。(表紙裏)

花村萬月さんの自伝的小説。

本書で描かれているのは、氏のハードボイルドな青春。高校を中退し、キリスト教の養護施設から追い出され、痴情のもつれからヤクザに追われる身となった惟朔が辿りついたのは京都でした。

本書の舞台は1972年。当時の京都の様子はもちろん、京都市内の喫茶店や観光地、そして京都の音楽シーンについてここまで綿密に描いた小説は少ないのではないでしょうか。情景が浮かぶような京都の描写は、非常に細やかで、本書を片手に京都散策をしてみたくなります。

 

 

美しい世界観に引きこまれる…。
『砂漠の青がとける夜』

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砂漠の青がとける夜
中村理聖(著)、集英社

京都のカフェで働く美月は、異なる世界が見える少年と出会い

言葉は、儚く、美しく―。

『ただただ胸が熱くなる。ここには心あたたまる悲しさがある』―池上冬樹氏絶賛!(帯)

第27回小説すばる新人賞受賞作品。作者のデビュー作となります。

本書の舞台となっているのは、姉妹が営む京都のカフェ。
亡き父が作り上げた料理店を改装し、カフェをオープンした姉を手伝うために、東京から京都へ帰ってきた主人公の美月。東京では、スイーツの食レポを編集する仕事をしており、そのせいで角砂糖を舐めないと眠れないようになっていました。

カフェの中に流れる静かな時間。姉妹がそれぞれ抱えているほの暗い闇。
淡々とした日々のなかで、描かれる京都。みずみずしい文章とともに味わってくださいね。

 

 

京都を感じる読書を

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いかがでしたでしょうか。なかなか京都に足を運べない方も、今回取り上げた作品たちを読んでぜひ京都を感じてください。

 

今回ご紹介した書籍
京都綺談』赤江瀑・芥川龍之介ほか(著)、実業之日本社
桜疎水』大石直紀(著)、光文社
宵山万華鏡』森見登美彦(著)、集英社
百万遍 古都恋情』花村萬月(著)、新潮社
砂漠の青がとける夜』中村理聖(著)、集英社

 

『宵山万華鏡』でご紹介した森見登美彦さんは、ほかにも京都を舞台にした作品を多く手掛けています。
そんな森見登美彦さんの作品をもっと知りたい方はこちらの特集へ。

 

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。