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梅雨の日に窓辺で読みたい「雨が心を濡らす本」5選


梅雨の季節。
恵みの雨、憂鬱な雨……読者のみなさんにとって、 雨はどのような存在でしょうか?

今回のテーマは「雨が心を濡らす本」。 雨が印象的な作品を選んでみました。

 

あの日の雨が、2人の運命を変えた…
『龍神の雨』

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龍神の雨
道尾秀介(著)、新潮文庫

添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。 溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、 継母とささやかな生活を送る。蓮は、継父の殺害計画を立てた。 あの男は、妹を酷い目に遭わせたから。

――そして、死は訪れた。降り続く雨が、 四人の運命を浸してゆく。 彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか? あなたの胸に永劫に刻まれるミステリ。大藪春彦賞受賞作。(表紙裏)

雨によって人生が変わってしまった2組の兄弟の物語。

雨が降ったとき、傘をさすのか、濡れて歩くのか、 雨宿りをして待つのか?それは状況にもよるでしょうし、 一人一人の判断に委ねられます。でも、そんな些細な違いが、人の運命を一瞬で変えてしまう場合もあるのです…。

本書を読みながら思うのは「あの時、 もし雨が降っていなかったら…」。でも、気づいたときにはもう遅い…やりきれない気持ちになる作品です。

 

宮部みゆきワールド全開の短編集
『地下街の雨』

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地下街の雨
宮部みゆき(著)、集英社文庫

同僚との結婚が直前で破談になり、 逃げるように会社を辞めた麻子。 ビジネス街の喫茶店で働きはじめた彼女に、<あの女> が近づいてきた本当の理由は……。表題作ほか、 連続殺人犯の影に追われるデカ長を描く『ムクロバラ』、 家中からとつぜん音が消えた一家に、ある日”銀河系の研究者” が訪れる『さよなら、キリハラさん』など、 稀代のストーリーセラーが紡ぐ、驚きに満ちた七つの物語。( 表紙裏)

結婚が破談となってしまった主人公が、とある女性に出会った話。

私たちは地下街にいると雨に気づくことができません。 地上は晴れていると勝手に思い込み、濡れた傘を持った人を見て、 雨が降っていることに気付くのです。
それは、裏切られた時の気分と、よく似ている―。

宮部さんだからこそ表現できる、 雨と地下街の対比が非常に味わい深い作品です。

 

冷たい雨が人々にもたらすものとは…
『雨のなまえ』

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雨のなまえ
窪美澄(著)、光文社

女は小さな声で、マリモ、と言った――。家具ショップで働き、 妊娠中の妻と何不自由のない生活を送る悠太郎。 ある日店に訪れた女性客と二度目に会った時、彼は関係を持ち、 その名を知る。妻の出産が迫るほど、現実から逃げるように、 マリモとの情事に溺れていくが……。(「雨のなまえ」) 答えのない「現代」を生きることの困難と希望。 降りそそぐ雨のように心を穿つ五編の短編集。(表紙裏)

雨をモチーフにした短編集。

満たされない思いや、 逃げだしたくなるような現実を抱えた主人公たちが描かれており、 追い打ちをかけるような雨に、読んでいて胸が痛くなります。

こんなに胸が痛むのは、 窪さんの描く世界がリアルすぎるからなのでしょう。
また、性描写の生々しさもリアリティを色濃いものにしています。

 

モームの短編の中でも傑作といわれる作品
『雨』

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サマセット・モーム(著)、岩波文庫

非凡なストーリー・テラーとして広く愛読されているモーム(1874-1965)の数多い短篇の中から、モーム得意の南海もの3 篇を選んだ。 異常なまでに布教に熱心な宣教師が最後に見せる人間的破綻を描く 『雨』、愛のはかなさを主題にした作者会心の作『赤毛』など、 すべて短篇小説の醍醐味を十二分に味わわせてくれる名篇である。(表紙)

ベストセラー作家・モームによる、世界的に知られた短編。

舞台はサモアの小さな島。執拗に降る雨のなか、 描かれる人間の理性と本能。

読んでいるだけなのに、 まとわりつくような嫌な雨とじめじめとした湿気をまざまざと感じてしまう…そんな不思議体験をしたい方には、 ぜひこの一冊をおすすめします。

 

あの日、空から降ってきたもの…
『黒い雨』

黒い雨
井伏鱒二(著)、新潮文庫

一瞬の閃光に街は焼けくずれ、 放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島―― 罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“ 黒い雨” にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を 、無言のいたわりで包みながら、 悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。 被爆という世紀の体験を、 日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。(表紙裏)

広島への原爆投下をテーマにした、日本を代表する戦争文学。

黒い雨とは、放射性降下物(原爆炸裂時の泥やほこり、 すすなどを含んだ粘り気のある雨)のこと。

苦しさのあまり読みはじめるのに躊躇してしまうかもしれませんが 、日本人であるかぎり、 知っておかなくてはいけない、読まなくてはいけない作品だと個人的には考えています。

 

雨の日は読書を

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今回は、雨を窓越しに見ながら、読みたい作品を選んでみました。
ぜひ読んでみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍

龍神の雨
道尾秀介(著)、新潮文庫

地下街の雨
宮部みゆき(著)、集英社文庫

雨のなまえ
窪美澄(著)、光文社


サマセット・モーム(著)、岩波文庫

黒い雨
井伏鱒二(著)、新潮文庫

 

こちらも雨の日に読みたい本をご紹介した記事です。
なかなか外に出れない梅雨の時期こそ、のんびりと読書を楽しんでくださいね!

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。