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雨音を聞きながら読みたい! 梅雨におすすめの本


てるてるぼうず

桜も散って暖かくなり、そろそろ梅雨入りの気配を感じる季節になりましたね。雨の日が続くと、外に出かけるのもおっくうになり、ついつい家で過ごすことも多くなることでしょう。

そんな日は、雨音を聞きながらのんびりと読書、という過ごし方はいかがでしょうか?

今回は、雨の日に読みたい小説や、雨がもっと好きになる読み物をご紹介します。

 

“死神”が嫌な気分を吹き飛ばす!

『死神の精度』表紙

死神の精度
伊坂幸太郎(著)、文藝春秋

「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」などヒット作を数多く生み出すベストセラー作家、伊坂幸太郎さんの作品です。

死神たちの仕事は、候補の人間を一週間調査し、死の執行を「可」にするか「見送り」にするかを判断すること。この作品は、主人公の死神・千葉が6人の人間と出会い、関わっていく姿が描かれます。

 

千葉は一風変わった死神で、無類の「ミュージック」好き。そして彼が仕事をするときは、いつも晴天に恵まれることはなく、必ず雨が降る、というジンクスがあります。

千葉は、対象の人間に深入りすることなく、どこか客観的な目で観察します。その姿は、死神というより淡々と仕事をこなすサラリーマンのようでもあります。

死神というモチーフを扱いながらも、ファンタジックではないリアルさがあり、読み進めていくうちに、死神の視点から見る人間がちょっと愛おしく見えてきます。

最後には、心が晴れるような展開が待っていて、梅雨の嫌な気分を吹き飛ばしてくれることでしょう。

 

子供のころ、雨の日にはテンション上がってたなあ……

『ちいさいモモちゃん』表紙

ちいさいモモちゃん
松谷みよ子(著)、講談社

野間児童文学賞を受賞した松谷みよ子さんの童話シリーズ「モモちゃんとアカネちゃんの本」の第1作目です。
1964年に初版が発行されて以来、何年も読み継がれている児童書のロングセラーです。

 

第1作目である本作は、小さな女の子、モモちゃんが主人公。飼い猫のプーとともに繰り広げる日常の小さな出来事が、優しく、可愛らしく描き出されます。

動物や野菜、ガムやソフトクリームや布きれまで(!)話し出してしまう、なんとも不思議でファンタジックな世界観に、大人でもウキウキしてきます。

雨の日には、ぜひ「雨こんこん」というエピソードを読んでみてください。初めて買ってもらった、まっかなかさとながぐつに喜んで、おにわで楽しそうに「雨ふりごっこ」をするモモちゃんを見ていると、「子供のころは、こんなふうに雨の日にはテンション上がってたなあ」なんて思い出して、ほっこりと優しい気持ちになりますよ。

 

営業は、雨の日だけです――。

『竜の雨降る探偵社』表紙

竜の雨降る探偵社
三木笙子(著)、PHP研究所

「雨の日にしか営業しない」、そんな噂の流れる探偵社。その若き探偵・水上櫂とその友人である会社経営者・和田慎吾が、数々の不可思議な事件を解き明かしていく物語です。

 

舞台は戦後、昭和30年代。かつて、竜神のすむ湖を守る神社の神主だった水上櫂は、新宿の喫茶店の2階に探偵社を開きます。

和田慎吾は櫂の幼馴染で、ある理由から「櫂が神主を続けられなくなったのは自分のせいである」と罪の意識に苛まれていました。
そして櫂の探偵社を度々訪れるうちに、奇妙な事件に巻き込まれていくようになります。

飄々として、どこか浮世離れした櫂ですが、自称「世間話のオーソリティー」らしく、人の話を聞き出すのが大の得意です。周囲の人の話を聞き出し、パズルをカチっとはめるように事件を解決していきます。

櫂と慎吾の過去のエピソードが語られる最終章では、哀しく切ないふたりの友情に胸が打たれます。

 

「雨」の美しさに酔いしれよう

『雨の名前』表紙

雨の名前
高橋順子(著)、佐藤秀明(写真)
小学館

みなさんは「雨」に関する言葉をいくつ知っていますか?

この本は、「雨」に関する言葉422語を集め、解説した本です。それぞれの季節ごとにまとめられ、美しい写真も数多く掲載されています。また、「雨」に関するエッセイが35編おさめられ、雨の日のちょっとしたエピソードが語られています。

古来から、短歌や俳句、詩歌の中で描写されてきた「雨」に関する言葉のほか、地方の言葉なども収録されていて、バリエーション豊富です。「梅雨」ひとつとっても、「田植雨」「青梅雨」「暴れ梅雨」「荒梅雨」「蝦夷梅雨」「送り梅雨」などなど、様々に使い分けられていたことに感嘆します。

恵みをもたらすものとして、そしてときに災害をもたらすものとして、古来から日本人の暮らしとは切っても切り離せない雨。そんな雨を、私たち日本人が、いままでどんな風にとらえ、表現してきたのかを知り、その言葉の美しさに浸ることができることでしょう。

 

「雲」と「雨」の科学を読む

『雲の中では何が起こっているのか』表紙

雲の中では何が起こっているのか
荒木健太郎(著)、ベレ出版

この本は、気象庁の雲研究者、荒木健太郎さんの著書で、雲や風、雨や雪などの気象現象のメカニズムを科学的に解説した本です。

科学的に、とはいっても気象についての専門知識のない方にも読みやすいように書かれているため、難しい数式などは出てきません。そのかわりに「パーセルくん」とか「クラウドン」という、クマのような顔をした脱力系のゆるキャラたちが登場します。

熱によって水の状態が変わる「相変化」のしくみや、低気圧の生まれる過程など、少し難しい内容でも、ゆるキャラによる解説イラストをまじえて解説されているので、楽しく読み進めることができます。

自然の気象だけではなく、人工的に気象を改変する「人工降雨」のしくみや、実際の「雲」研究がどのように行われているか、など、最新の研究についての解説も豊富です。室内に雲を生成する装置があることや、航空機や風船を使って雲を観測していることなど、「こんなふうに研究しているんだ!」という新鮮な驚きが詰まっています。

この本を読めば、梅雨のどんよりした曇り空にも、ちょっとした気象ドラマを感じることができるようになるかもしれません。

 

雨の日の読書もいいものです

紫陽花

以上、今回は「雨」にちなんだ小説・児童書や、「雨」について深く知ることのできる読み物を5冊ご紹介しました。

梅雨の季節は、雨の日が長く続くのでなかなか外に出られません。でも、のんびり読書する時間が取れるという意味では、本好きにはちょっとした楽しみが増える季節とも言えることでしょう。

そして、これらの本を読み終わる頃には、雨は憂鬱なものではなくなって、ちょっと傘をさして外に出てみようかな?なんて気持ちになっているかもしれませんね。

 

今回ご紹介した書籍

死神の精度
伊坂幸太郎(著)、文藝春秋

ちいさいモモちゃん
松谷みよ子(著)、講談社

竜の雨降る探偵社
三木笙子(著)、PHP研究所

雨の名前
高橋順子(著)、佐藤秀明(写真)、小学館

雲の中では何が起こっているのか
荒木健太郎(著)、ベレ出版

梅雨の日に窓辺で読みたい「雨が心を濡らす本」5選

ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。