世界的文学価値が高い冒険小説|キャンプ先で読みたい作品
更新日:2017/5/24
幾つになっても冒険小説というものは私たちの胸を焦がしてくれるものです。
今回のテーマは「キャンプ先で読みたい冒険小説」。
数ある冒険小説のなかでも、絶対に読んでおきたい名作を選んでみました。どれもこれも「冒険小説といえばこれ!」と評されることの多い、古典作品ばかり。
子供の頃に読んでいないとなかなか触れることのない児童文学。文学的価値の高い作品に触れ、子どもの頃の気持ちを思い出してみてはいかがでしょう。
これほどまでに世界中の人々に知られ、愛される理由をぜひ体感してみてくださいね。
実話をもとにして作られた冒険小説
『ロビンソン・クルーソー』
『ロビンソン・クルーソー』
ダニエル・デフォー(著)、岩波書店
乗っていた船が無人島に流されたロビンソン。仲間は全員死んでしまい、当初は孤独な状況に絶望していたロビンソンでしたが、現状を受け入れ無人島で生き抜くための術を身につけていきます。
住まいをつくり、食料を確保し、調理用器具を作り……しまいにはチーズやパンまで自分で作るようになっていきます。
他の作品と一味違うのは、ロビンソンは戦略的にサバイバル生活を送っているところ。気分次第での行動ではなく、自分の体力と時間を最適化し、目的を達成していくのです。
そのような、大きな意味での資本主義という観点から、大学の経済学の講義で引用されることもあるのだとか。
実話をもとにした作品ということもあり、冒険小説としてだけではなく楽しめる作品ですよ。こちらの作品がお好きな方には、ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』もおすすめです。
宝探しをする海賊たちの物語の原点
『宝島』
『宝島』
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(著)、岩波書店
主人公・ジムの回想記として語られるこの作品。
ジムの親が経営する宿屋に泊まっていた水夫がある日死んだことから、水夫の荷物の中にあった宝島の地図を手に入れたジム。医者のリブシー先生など数人の仲間と一緒に、宝島を探す旅に出かけることになります。
宝島に辿りついた一行でしたが、仲間であった片足のコック、ジョン・シルバーによる反逆行為が起こってしまいます。残された少ない味方とともに、ジムと残忍な海賊たちとの戦いがはじまるのですが……?
宝を目指して航海を続ける海賊、というシチュエーションの映画や漫画は多く存在しますが、そのジャンルの発祥とされる作品なので、読んでみると話のネタになるかもしれませんね。
大人にもいろんなことを教えてくれる作品
『トム・ソーヤーの冒険』
『トム・ソーヤーの冒険』
マーク・トウェイン(著)、新潮社
周囲を魅了することに長けた少年、トム・ソーヤ。伯母さんに言いつけられたペンキ塗りをいかにも意味ありげに行い、結局は仲間たちにペンキ塗りをさせるエピソードは有名ですね。
本書の中では、トムが野宿をしたり、恋をしたり、殺人事件を目撃したりと色んなことが起こりますが、どんなことでも仲間と一緒に乗り越えていく姿は読んでいて気持ちが良いです。
自由奔放でユーモアに溢れたトムの姿を見て、幼少期を思い出す人も多いことでしょう。
なお、ところどころに描かれている社会に対してシニカルで冷めた視線は、私たち大人にいろんなことを考えさせてくれます。
ただ、基本的には楽しく笑って読める作品なので、子どもにさりげなく当時の社会背景を教える上でも適した1冊なのではないでしょうか。
特に文学的価値が高いといわれる作品
『ハックルベリー・フィンの冒険』
『ハックルベリー・フィンの冒険』
マーク・トウェイン(著)、岩波書店
トム・ソーヤの友達であるハックルベリー・フィン(通称ハック)の物語。
『トム・ソーヤーの冒険』で、金貨を発見したトムとハック。金銭目当てで近づくアル中の父親から逃れるため、そして売られる予定だった奴隷のジムを助けるため、ハックはジムと共に筏でミシシッピ河を下っていきます。
エキサイティングな展開を楽しめるのはもちろんのこと、当時アメリカで存在した人種差別や奴隷制度など、社会問題を知る上でも欠かせない1冊となっています。
そういう意味では「トム・ソーヤーの冒険」より大人向けの作品かもしれませんね。
ノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイが「アメリカ現代文学は『ハックルベリー・フィンの冒険』の1冊から始まる」という言葉を残したほど文学的価値が高い作品とされています。
キャンプ先には冒険小説をお供に
ロマンあふれる冒険小説。胸を躍らせながら読んでみてくださいね。
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今回ご紹介した書籍
『ロビンソン・クルーソー』
ダニエル・デフォー(著)、岩波書店
『宝島』
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(著)、岩波書店
『トム・ソーヤーの冒険』
マーク・トウェイン(著)、新潮社
『ハックルベリー・フィンの冒険』
マーク・トウェイン(著)、岩波書店