大人の読者にこそ読んでほしい!「家族について考えさせられる本」5選
今回のテーマは「家族について考えさせられる本」。
・家族をテーマにしている
・家族について考えさせられる
・ほっこり、温かい気持ちになれる
そんな本を選びました。
普段意識することのない「家族」について、思いを馳せてみるのはいかがでしょう?
年齢や環境によって見え方が変わってきますよ。
複雑な家庭環境をコミカルに描いた作品
『幸福な食卓』
『幸福な食卓』
瀬尾まいこ(著)、講談社
『父さんは、今日で父さんをやめようと思う』という衝撃的な一言から始まる作品。
中学校の教師である父が教師を辞めると言いだし、母親は家出中、天才と呼ばれたお兄さんは進学を辞め、主人公の佐和子は、父親が自殺未遂をした現場に居合わせその記憶に苦しんでいます。
このような家庭環境だと暗い話だと思われがちですが、あたたかくコミカルなストーリーです。
苦しい何かが起こった時に、そばにいてくれるのはやはり家族。お互いの闇に触れず、責めず、ゆるやかに家族が再生していく姿を描いた良作です。
”フツー”の家族ってなんだろう
『ウェルカム・ホーム!』
『ウェルカム・ホーム!』
鷺沢萠(著)、新潮社
早世の作家、鷺沢萠さんによる中編集。(2編収録されています)
「僕の家にはお父さんがふたりいる」
親友の子ども・憲弘が書いた作文に衝撃を受ける毅。
「お父さんはサラリーマンだが、タケパパは家にいて、ごはんを作ったりそうじをしたり洗たくをしたりしている」という文章を読んで、妻の役割を果たしている自分に違和感を覚えるようになります。(ちなみに、毅と親友の英弘は、カップルではありません)
いわゆる”フツー”ではない家庭のお話ですが、そもそも家族の形に決まりなどあるのでしょうか? 家族に対する視野を拡げる意味ではおすすめの1冊です。
笑顔になれる短編集
『家日和』
『家日和』
奥田英朗(著)、集英社
家庭内の“明るい隙間”を描いた短編集。(6編収録されています)
なかでも、ネットオークションを初めて利用した主婦を描いた「サニーデイ」は、現実にありそうな設定。
家で使わなくなったものを出した主人公が、買い手に「非常に良い」と評価され、久々に褒められたことの嬉しさから出品するものを求めるようになります。
サクッと読めて笑える家族の物語を読みたい時はこの作品をおすすめします。
実際に起こりそうな「家族あるある」短編集
『家族シアター』
『家族シアター』
辻村深月(著)、講談社
すべての家に事件あり。一味違う短編集。(7編収録されています)
同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。
こんな風には絶対になりたくない――だけど、気にせずにはいられない妹を描いた一話目の『「妹」という祝福』を筆頭に、現実にありそうな設定ばかり。
あるある! と共感しながら読むことができる作品ですよ。
涙なしには読めない!
『とんび』
『とんび』
重松清(著)、角川書店
泣ける小説として多くの人に愛される1冊。ドラマ化もされており、号泣必至です。
描かれるのは昭和の古き良き時代。不器用な父と聡明な息子が街の人たちと共に成長していきます。
「今日一日が幸せじゃった思えるような毎日を送りんさい。明日が来るんを楽しみにできるような生き方をしんさい。親が子供に思うことは、みんな同じじゃ、それだけなんじゃ」という言葉にはつい涙が出ます……。
個人的には最も泣ける家族小説。泣いてデトックスしたい方はぜひ。
本を読んで家族について考える
「家族について考えさせられる本」を読むと、家族を大切にしなくちゃいけないと思うようになります。大人の読者にこそ読んでほしいですね。
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