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夢野久作「瓶詰地獄」「少女地獄」「人間腸詰」他おすすめ怪奇作品6選


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夢野久作といえば、奇書と評される『ドグラ・マグラ』が有名ですよね。でも、夢野作品の中には、まだまだ奇妙な作品がたくさんあります。

今回は、夢野作品の中から、背筋がぞわりと凍る怪奇で奇妙な作品を集めてみました。

掌編といった短い作品もあるので、『ドグラ・マグラ』は断念したけれど、夢野作品に興味があるという人にもオススメです。

 

瓶詰の地獄(瓶詰地獄)

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♦『瓶詰の地獄』

夢野作品といえば、まずはこれ。『瓶詰地獄』の題名でも知られています。
掌編小説(短編小説よりも短い小説)のため数分で読むことができるので、夢野作品初心者にぴったりです。


~あらすじ~
海洋研究所に届けられた三本のビール瓶。瓶の中には一通ずつ手紙が入っていました。書き手は、ある小さな離れ島に遭難した兄妹。手紙には、ショッキングな内容が綴られていました。


この作品の面白いところは、読み手に解釈を委ねていること。

三通の手紙がどのような順で書かれたのか、が最大の謎となっています。読者は自身で推測するしかありませんが、順番によっては背筋が凍る結末となるのです……。

いろんな解釈ができるので、何度も何度も読み返したくなる一冊です。

 

少女地獄

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♦『少女地獄』

こちらは、とにかく退廃的で不気味な作品です。
『何んでも無い』『殺人リレー』『火星の女』の3編から構成されており、タイトル通り少女であるがゆえの地獄が描かれています。

『何んでも無い』の主人公は、虚栄心から嘘をつく”虚構の天才”ユリ子。「彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。ただそれだけです」。彼女は虚構を吐くことに命をかけていたのでした……。

『殺人リレー』は、親友・ツヤ子が殺されたように、自分も殺されると分かっていても、相手を愛してしまうバスの女車掌・トミ子の物語です。

『火星の女』は、女子校に通う醜い容姿の少女・歌枝と、評判の高い校長の色欲が描かれています。歌枝が遺した言葉には思わず言葉をうしない、鳥肌がたちました。

 

人間腸詰

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♦『人間腸詰』

こちらも掌編のため数分で読むことができる作品です。タイトルから想像できるように、グロテスクな作品です。


~あらすじ~
明治時代の末、仕事で渡米した大工の男は、とあるアメリカ人の屋敷の錠前作りを頼まれます。そこで、男は二人の女性と知り合います。二人は男を気に入りますが、彼女たちは実はアメリカのギャングの妾(めかけ)でした……。


非人道的な描写はおそろしく、その姿を想像すると眠れなくなるので、一人で夜に読むことはオススメしません。

 

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♦『卵』

夢野作品には珍しい童話形式の掌編です。後味は大変悪いです。


~あらすじ~
主人公の三太郎くんと、裏隣りに住む露子さん。二人は、言葉には出さないけれど相思相愛であり、肉体を抜け出した魂同士で逢い引きを重ねていました。
しかし、ある日露子さんは姿を消してしまいます。裏庭に大きな卵を残して――。


三太郎くんは毎晩その卵を抱いて眠るようになります。卵の殻の色は黄色、桃色から灰色へ変わっていき、中からは野獣のように呻り声が聞こえてきます。そして、聞こえてきたのは衝撃的な一言。

ぞっとして、その言葉がしばらく頭から離れませんでした。

 

支那米の袋

♦『支那米の袋』

短編。こちらも気持ちが暗くなる作品です。


~あらすじ~
アメリカ軍艦の司令官の息子と恋をしたロシア人の踊り子・ワーニャ。アメリカに帰らなければいけなくなった彼はこう提案します。「荷物に紛れて一緒にアメリカに行こう。麻の袋の中に入ってほしい」と。ワーニャはその通りにしますが、船には他にも同じような女性がいました。

「私は貴女が可愛いくて可愛いくてたまらない余りにコンナ事をするのです。私は貴女が、あんまり綺麗で可愛いから、アメリカの貴婦人と同じようにして殺してみたくなったのです」


……ここからまた状況は二転三転します。想像を超えたオチに、ぞっとしてしまうことでしょう。

 

猟奇歌

♦『猟奇歌』

夢野作品では珍しい短歌集。『猟奇歌』というタイトル通り、残酷で凄惨な描写が多く、読んでいて気持ち悪くなってきます。人間の暗い感情や怨嗟に、言葉を失います。

冒頭部分はこのような調子です。

殺すくらゐ 何でもない

と思ひつゝ人ごみの中を

濶歩して行く

 

ある名をば 叮嚀ていねいに書き

ていねいに 抹殺をして

焼きすてる心

 

ある女の写真の眼玉にペン先の

赤いインキを

注射して見る

 

この夫人をくびり殺して

捕はれてみたし

と思ふ応接間かな

31文字とは思えないほどの表現力に感嘆するばかりです。

 

夢野久作の怪奇作品を存分に味わおう

いかがでしたでしょうか。夢野作品の中でも、怪奇で背筋が凍る作品ばかりを集めてみました。勇気のある人はぜひ読んでみてください。意外とハマるかもしれませんよ。

↓今回ご紹介した書籍をブックオフオンラインで購入する
♦『瓶詰の地獄』角川文庫
♦『少女地獄』角川文庫ほか
♦『人間腸詰』角川ホラー文庫
♦『卵』収録作、『夢野久作全集3』ちくま文庫
♦『支那米の袋』収録作、『夢野久作全集6』ちくま文庫
♦『猟奇歌』創英社

 
夢野久作をはじめ、「わかっているのに読みたくなる……」そんな本を集めました。

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ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。