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登場人物が別作品にも! 伊坂幸太郎小説おすすめの読む順番


伊坂幸太郎さんの作品は映画化やドラマ化された作品も多く、今や知らない人はいない人気の作家ですね。

そんな伊坂作品は軽妙な作風や散りばめられた伏線がラストに一気に回収されていく独特な構成も魅力ですが、もうひとつファンを喜ばせる魅力があります。

それは登場人物が作品を超えて、別々の作品の中に登場してくることです。新しい物語に旧知の人物を見つけた時の親近感は、いろいろな伊坂作品を読んでいる人だけのお楽しみ…。

ここでは、今から伊坂作品を読み始めるという方に、登場人物のつながりがわかる、おすすめしたい読む順番を解説します。 

 

『オーデュボンの祈り』→『ラッシュライフ』→『重力ピエロ』

『オーデュボンの祈り』表紙

1.『オーデュボンの祈り
新潮文庫

やはり最初に読むのは、伊坂幸太郎さんのデビュー作である『オーデュボンの祈り』で間違いないでしょう。

この物語は、コンビニ強盗に失敗して逃走中の「伊藤」が、ふと目覚めると見知らぬ島にいたところから話が始まります。一風変わった人々や、未来が見え、言葉を話す「案山子」などが登場するミステリーです。

新潮ミステリー倶楽部賞を受賞したこの作品は伊坂幸太郎さんの真髄が詰まっているからでしょうか、多くの登場人物たちが後の作品に散見しています。

主人公である「伊藤」をはじめ、「案山子(優午)」「田中」「若葉」「轟」が再登場組です。
特に「田中」は伊坂作品にまんべんなく登場していますので、右足が不自由な「田中」は覚えておくといいでしょう。

 

『ラッシュライフ』表紙

2.『ラッシュライフ
新潮文庫

この作品で伊坂幸太郎さんは注目を浴びました。
4つの物語が一つの死体を狂言回しに並走し、それが最後に見事に回収されていく、いかにも伊坂作品らしい構想はこの作品が最初でしょう。

そして、この作品には『オーデュボンの祈り』の主人公「伊藤」のその後のエピソードが語られています。「伊藤」は喋る「案山子」の話をしていたそうです。

またこの作品の主人公である泥棒「黒澤」は『ラッシュライフ』が初登場ですが、続く『重力ピエロ』や『フィッシュストーリー』などに再登場しています。

 

『重力ピエロ』表紙

3.『重力ピエロ
新潮文庫

映画化されたほか、直木賞候補にもなったため、伊坂幸太郎さんの名前が広く知られるきっかけになったこの作品は、連続放火事件を巡る「泉水」と「春」二人の兄弟の物語です。

この作品でも『オーデュボンの祈り』の「伊藤」がその後の姿で「泉水」と会話しています。
また『ラッシュライフ』の「黒澤」は探偵として登場していますが、「本業は別にあって探偵は副業」ということなので、やはり本業は泥棒なのでしょう。

「春」は『死神の精度』、「泉水」は『フィッシュストーリー』で再び会うことができます。

 

『グラスホッパー』→『マリアビートル』

『グラスホッパー』表紙

1.『グラスホッパー
角川文庫

「寺原」の息子に面白半分で妻を轢き殺された元教師の「鈴木」が復讐をするために、「寺原」の会社に入るところから物語が始まります。

しかし、寺原の息子は「鈴木」の目の前で誰かに押され車に轢かれて死んでしまいます。そうして「鈴木」は人殺しの業界で翻弄されていくのですが……。

「鈴木」はこの作品の出来事を経て心境に大きな変化があるようです。それが『マリアビートル』につながっていきます。

また、この作品には殺し屋「鯨」に影響を与える役として『オーデュボンの祈り』の「田中」も登場しています。

 

『マリアビートル』表紙

2.『マリアビートル
角川文庫

東北新幹線の中で繰り広げられるサバイバル殺し屋小説。次々と登場人物が出てきて、誰が次に死体に変わるのか、ハラハラドキドキの作品です。

この作品の中に少し浮いた存在の男として塾講師の「鈴木」が登場しています。それが『グラスホッパー』の出来事を経て心境が変化したその後の「鈴木」です。
また、「鈴木」のほかにも、殺し屋たちの中には『グラスホッパー』から活躍している登場人物が複数います。

 

まとめ

その他にも、同一人物ではなくてもその後の作品のひな型となる人物像が描かれている『陽気なギャング』のシリーズも早めに読むのがおすすめです。

伊坂幸太郎さんはとにかく伏線の回収の仕方が上手いことで知られていますが、伏線と同時に人物像が深く考えて作られているために、このように多くの作品にリンクして登場するのでしょう。

小説の新しい楽しみ方を生み出された作家さんですね。

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