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東野圭吾のおすすめ恋愛小説4選


更新日:2019/1/31

ベストセラー作家の東野圭吾氏。東野作品というと、ミステリー小説のイメージが強いですよね。
実は、恋愛や性に重きを置いた小説も多々執筆されているんです!

今回は、東野作品の中でも特に「恋愛・性」を描いた小説を4作品紹介します。

 

身体は娘、心は妻。

『秘密』表紙

秘密
文藝春秋

~あらすじ~

主人公の平介は、妻・直子と娘・藻奈美と幸せな日々を送っていた。
ところがある日、2人が乗っていたスキーバスが崖から転落し直子が死亡。直子の葬儀の夜、意識を取り戻した藻奈美の身体に宿っていたのは、なんと直子だった。
平介と、娘の身体を持った「直子」の暮らしが始まるが……。

 

東野氏がブレイクするキッカケになった、出世作と言われている1冊です。

身体は娘、心は妻。あなただったら、どのように接するでしょうか。
中身は愛している妻なのに、身体は小学生なのです。今まで直子と出来ていたことも出来なくなり、関係性も変わってきます。

また、本作は小学生の頃から大人になるまでの直子が描かれているのですが、直子が青春を謳歌する様子に苦悩する平介。平介の心の葛藤がとにかく切ないです。

本書は平介目線でしか描かれていないため、直子の行動や隠された感情は読者が推測するしかなく、色んな解釈ができるのも面白いですね。

 

「男女の性」がテーマの作品

『片想い』表紙

片想い
文藝春秋

~あらすじ~

年に1度開かれる、アメリカンフットボール部の同窓会の帰り道に、女子マネージャーだった美月と再会した哲郎。美月の化粧はボロボロ、また喋ろうとせずに筆談を促すなど、何やら様子がおかしい……。
哲郎の家で美月の話を聞くことになるが、次から次へと出てくる衝撃の事実は、大きな事件へとつながる。

 

トランスジェンダーやインターセックスといった「男女の性」がテーマとなっている本作。

東野氏は問いかけます。完全な「男」や「女」などいないのではないか?ある部分は男性的だけど、別の部分は女性的というのが、普通の人間なのではないか? と。
そう、きっとあなたの中にも異性の部分があるはず。

本書は、生まれながら持っている肉体としての性と、各々の心の中に隠された精神的な性。両者について考えさせられる作品となっています。

また、1998年に発売されたSMAPの『夜空のムコウ』から本書の着想を得たと、東野氏はインタビューで発言しています。歌詞と照らし合わせて読むとより楽しめるのではないでしょうか。

 

この恋は、甘い地獄

『夜明けの街で』表紙

夜明けの街で
角川書店

~あらすじ~

妻と娘のいる30代後半のサラリーマン、渡部。
ある日会社に、「和風美人タイプの整った顔立ち」の女性・秋葉が派遣社員としてやってくる。
あることをきっかけに二人は不倫関係となるがが、逢瀬を続けるうちに、15年前に起きたとある殺人事件の犯人は秋葉であると渡部は考えるようになって……。

 

「不倫する奴なんて、馬鹿だ」と強く思っていたにもかかわらず、久々に感じるときめきの気持ちに新鮮さを感じ、不倫にハマっていく主人公。
その状態はまさしく、帯に書かれたキャッチフレーズ「この恋は、甘い地獄」です。

主人公の心理描写や夫婦論には妙にリアリティがあり、不倫を経験したことがない人でも、いつの間にか感情移入してしまっている自分に驚くことでしょう。

もちろん、ただのラブロマンスでは終わりません。ミステリー要素もふんだんに盛り込まれており、結末はどんでん返しが待っています。

なお、本書は、1998年に発売されたサザンオールスターズの『LOVE AFFAIR ~秘密のデート~』に感化されて書いた作品とのこと。
ところどころ歌詞に沿った話が織り交ぜられているなど、面白い仕掛けが満載の一冊です。

 

友情と愛情、どちらをとるか……

『パラレルワールド・ラブストーリー』表紙

パラレルワールド・ラブストーリー
講談社

~あらすじ~

敦賀が通学時に使う山手線は、ある区間だけ京浜東北線と並走する。
その一瞬の時間だけ、京浜東北線の車両内に見える美しい女性。敦賀は女性に声をかけようと京浜東北線に乗るが、目にしたのは思いもがけない光景だった。

それから時が経ったある日、中学時代からの親友・三輪から、彼女の麻由子だと紹介されたのは、なんとその女性。動揺する敦賀だったが、目を覚ますと隣でその女性が寝ていて……?

 

親友の恋人に恋をし、友情と恋愛の狭間で揺れ動く敦賀。あなただったら、友情と恋愛のどちらを取るでしょうか。
ありがちな設定だと言う人がいるかもしれませんが、東野氏はこの難題に真っ向から対峙しています。

なお、パラレルワールドとは、SF小説によく出てくる概念で、現在自分がいる世界とは別に、もう一人の自分がいる世界があるということを指します。

本書は、二つの物語が交互に、1章、scene1、2章、scene2と展開していく構成となっています。どちらが真実の世界なのか?ということを考えながら読み進めると面白いですよ。

 

東野圭吾の「恋愛小説」を読んでみよう!

いかがでしたか?

今回紹介した4作品は、どの作品もミステリーとしての展開を持ち合わせているので、従来の東野作品のテイストが好きな読者も面白く読んでいただけますよ。気になった方はぜひ読んでみてくださいね。

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