戦うオジサンたち! 格好いいオジサンが出てくる小説4選
池井戸潤さんの「下町ロケット」や「半沢直樹シリーズ」等、世の中には、格好いいオジサンが出てくる小説が多数あります。
そこで、ここでは格好いいオジサンが出てくる小説を4作ご紹介します。
みなさんは格好いいオジサンと言われて、どんな「オジサン像」を思い浮かべますか?
冴えないオジサン×やんちゃ高校生
『フライ、ダディ、フライ』
金城一紀(著)、角川書店
~あらすじ~
47歳の鈴木一は、いたって普通のサラリーマン。妻とひとり娘がいる。すし詰めの満員電車に乗って会社へ行き、決まったバスに乗って帰宅するような平凡な日常生活を送る。
しかし、そんな鈴木の平凡でありながら幸せな日常は、愛娘が不良少年に暴力を振るわれたことをきっかけに変わっていく。
暴力を振るった少年は、ボクシングの高校生チャンピオン。鈴木は、その少年に復讐するため、包丁を持って少年の学校に乗りこむ――つもりだったが、あろうことか鈴木は、高校を間違えてしまう。
そこで鈴木が出会ったのはオチコボレの高校生たち。鈴木の事情を知った高校生たちは、面白そうだからという理由で鈴木の復讐に協力すると申し出る。
ただ彼らが提示する条件は、刃物は禁止で鈴木自らの手で、不良少年に立ち向かうといったものだった。
こうして鈴木は大切なものを取り戻すために立ち上がる。
普通の父親の胸に秘められた熱い情熱
本作は直木賞作家・金城一紀さんが贈る青春小説です。オチコボレの高校生たちが活躍するゾンビーズシリーズ第2弾となっています。ただ、シリーズ第2弾とはいえ、語り部が違い独立した話になっているため、この巻から読んでも全く問題ありません。
本作は父親の覚悟を見ることのできる作品。47歳の鈴木一が、目標に向かって努力し、強くなっていく様は胸が熱くなります。平凡なサラリーマンであり、平凡な中年である鈴木ですが、娘のために立ち上がるその姿は、まさに格好いいオジサンです。
⇒シリーズセットはこちら『ザ・ゾンビーズシリーズ』(文庫版)セット
4人の父と1人の息子。本当の父親は?
『オー!ファーザー』
伊坂幸太郎(著)、新潮社
~あらすじ~
由紀夫には4人の父親がいる。ギャンブル好きの鷹。女性にモテる葵。博識の悟。スポーツ万能の勲。由紀夫は母親が彼らと4股交際していた時にできた子供で、そのために、誰が本当の父親かはわからない。
そんな彼らと生活を送る高校生の由紀夫は、ギャンブル好きの鷹と一緒にいったドッグレース会場で妙な事件に巻き込まれる。
そこに不登校の野球部の少年や心中死体が絡み、ピンチに陥る由紀夫。そのとき、4人の父親たちは由紀夫を守るために立ち上がる――。
魅力的な四人の大人
本作は、累計発行部数が50部を越えるベストセラー小説で映画化もされた人気作です。
語り部は高校生の由紀夫。由紀夫の目から見る父親たち4人は全員が個性的で、親しみやすいキャラクターとなっています。
威厳といったものは感じられませんが、誰もがやるときはやる大人で、由紀夫のためならどんなことでもするような彼らは、格好いい父親となっています。
回収される伏線。カタルシスのあるオチ。エンターテイメント作家・伊坂幸太郎さんの魅力がつまった一作です。
大人気スパイミステリー
『ジョーカー・ゲーム』
柳広司(著)、角川書店
~あらすじ~
時代は戦前。その頃大日本帝国陸軍にスパイ養成学校“D機関”が設立される。そこに集められたのは、十数人の精鋭たち。そのスパイの元締めとなっているのが、齢五十を越える一人の男、結城中佐。
およそ人間離れした明晰な頭脳と精神力を持つ彼らは、日本や諸外国で暗躍し、諜報戦で次々と成果をあげていく。
大人気スパイミステリー
本作は人気スパイミステリー“D機関”シリーズ第1作です。スパイマスターである結城中佐をオジサンというのは、ひどく忍びない気持ちもありますが、五十を越えているため、オジサンといって問題ないかと思います。
結城中佐は、非常に格好いいキャラクターとして描かれています。キレる頭に強靭な精神力。彼の言葉には逐一説得力があり、カリスマ性があります。
アニメ化も、映画化もされた人気作品。全てのはじまりはこの「ジョーカー・ゲーム」からです。
⇒シリーズセットはこちら『ジョーカーゲームシリーズ』(文庫版)セット
還暦を迎えたオジサン3人が悪人退治!
『三匹のおっさん』
有川浩(著)、文藝春秋
~あらすじ~
かつて悪ガキだった三人も今では、還暦を迎えたオジサン(けっしてお爺さんではない)。一人は定年退職をした剣道の達人キヨ。一人は、柔道家で居酒屋の元亭主のシゲ。一人は、工場経営者で、機械を扱わせたら右に出るものはいない頭脳派ノリ。腐れ縁の三人はキヨの誕生日に居酒屋で飲み明かす。そして翌日、シゲの提案で彼らは、私設自警団を設立。還暦を迎え、時間に余裕のできた三人は、こうして町内巡回をはじめ、次々と現れる悪に立ち向かっていく。
直木賞作家・有川浩さんの人気作
本作は、2度のドラマ化を果たしている有川浩さんの人気作です。三人のオジサンは、還暦を迎えていますからお爺さんと言いたいところですが、キャラクターたちがお爺さんと認めないので、飽くまでオジサンです。
親しみやすいキャラクターとして描かれた三人のオジサンたちが、詐欺や動物虐待など様々な悪事に立ち向かっていく様は非常に爽快です。
芯の通ったオジサンたちは格好良く、こうやって還暦を迎えたいものだと思わされるような作品となっています。
格好いいオジサンに出会おう!
若者が読めば、誰かしらにあこがれ、大人が読めば強く共感できるようなそんなオジサン作品4作でした。
若さはなくとも人生経験のあるオジサンたちの活躍を是非見てみてください。
今回ご紹介した書籍
『フライ、ダディ、フライ』金城一紀(著)、角川書店
『オー!ファーザー』伊坂幸太郎(著)、新潮社
『ジョーカー・ゲーム』柳広司(著)、角川書店
『三匹のおっさん』有川浩(著)、文藝春秋
スカッとする!中堅企業の野球部が勝負に挑む!