ブックオフオンラインコラム

ブックオフオンライントップへ

ブックオフオンラインコラム > 本に出会う > 小説(テーマ別) > 夜空の下で読みたい!「星」がテーマのおすすめ小説

夜空の下で読みたい!「星」がテーマのおすすめ小説


更新日:2019/5/22

「星」がテーマのおすすめ小説

毎年、七夕が近づくと夜空を見上げることが増えますよね。
天の川をはさんだ織姫と彦星の伝説をはじめ、星座にはさまざまな神話があり、星を眺めているとなんだかロマンチックな気分になります。

ここでは、星がきれいな夜にぜひ読んでほしい、「星」や「宇宙」をテーマにした小説をご紹介します。

 

宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』

『新編 銀河鉄道の夜』表紙

新編 銀河鉄道の夜
宮沢賢治(著)、新潮社

貧しくて孤独な日々を送っている少年ジョバンニには、カムパネルラという親友がいました。

烏瓜を川に流すケンタウル祭の夜。ジョバンニが丘の上にやってくると、どこからともなく「銀河ステーション、銀河ステーション」という声が聞こえてきます。

そして目の前が明るくなったかと思うと、いつのまにかジョバンニは「銀河鉄道」の小さな列車に乗っていました。そこにはカムパネルラの姿も……。

 

「星をめぐる旅」を描く、ロングセラーの名作――

本作は、宮沢賢治の古典的名作。ジョバンニとカムパネルラは銀河鉄道に乗り、星座の間を旅して回ります。
彼らが旅の果てに見つける「ほんとうの幸」とは何か? 幻想的でどこか悲しげな雰囲気が胸を打つことでしょう。

宮沢賢治の星や宇宙をテーマにした作品は、『銀河鉄道の夜』だけではありません。
2つ並んだお星さまを主人公にした『双子の星』、醜いよだかが夜空の星のひとつとなるまでを描く『よだかの星』など、これらもまた名作と言われている作品です。

森羅万象の姿を生き生きと描く宮沢賢治の名作は、世代を超えて愛され続けています。

 

サン=テグジュペリ『星の王子さま』

『星の王子さま』表紙

星の王子さま
サン=テグジュペリ(著)、新潮社

パイロットである「ぼく」は、飛行機の故障によってサハラ砂漠に不時着。そこで「ぼく」は、不思議な少年に出会いました。

飛行機を修理しながら、交流を深めていく2人。
そして、少年が遠い小さな星からやってきた王子なのだと「ぼく」は知ります。少年は、星々をまわって旅をしたときの話を「ぼく」に聞かせてくれました。

 

不時着したパイロットが出会った、不思議な少年――

『星の王子さま』は、飛行士であり作家でもあるサン=テグジュペリの手掛けた童話作品。1943年に出版されて以来、世界中で愛されている大ベストセラーです。

「童話」の形をとっていますが、どこか抽象的な語り口で語られる物語はやや難解。大人に向けた物語のようにも感じられます。
さまざまな解釈が存在し、解説本も多く出版されているんですよ。

一度読んだことがある方でも、ぜひ再読することをおすすめします。改めて読んでみると、それまでに気づかなかった新たな発見があることでしょう。

 

冲方丁『天地明察』

『天地明察』表紙

天地明察
冲方丁(著)、角川書店

徳川家に仕える碁打ち衆の渋川春海(安井算哲)は、その一方で本来の仕事とは関係ない、算術や星の観測に熱中している男でした。

春海の知識について知った老中の酒井は、北極星の緯度観測の旅に出ることを春海に命じます。それは、改暦のための旅でもありました――。

 

日本初「暦づくり」にかけた天文学者の情熱――

『天地明察』は、江戸時代に実在した天文学者の渋川春海が、日本で初めての独自の暦を作り上げるまでが描かれた小説です。
第7回 本屋大賞を受賞し、2012年には岡田准一さん主演で映画化もされました。

星は眺めて楽しむものだけではなく、その運行から方角や暦を知るための大事な指標でもあります。そして、星の動きを読んで暦を作るためには、数学の知識も不可欠です。

「暦づくり」と聞くと、一見地味なテーマのように感じられますよね。
しかし、天文と数学に長けた主人公が試行錯誤を重ねながら改暦を目指す姿、その情熱にぐいぐいと惹き込まれますよ。

 

いしいしんじ『プラネタリウムのふたご』

『プラネタリウムのふたご』表紙

プラネタリウムのふたご
いしいしんじ(著)、講談社

プラネタリウムの解説員である「泣き男」は、ある日プラネタリウムに捨てられた双子を拾い、「テンペルタットル彗星」にちなんでテンペル、タットルと名付けます。

その後テンペルは手品師、タットルはプラネタリウムの解説員として別々の人生を歩むことに。たくさんの出来事や人との出会いが、穏やかに紡ぎ出されます。

 

プラネタリウムで拾われた双子の辿る、数奇な人生――

現実世界を舞台にした話のような、ファンタジーのような、そして童話のような味わいがある物語。

双子の育ての父となった泣き男や、成長したタットルがプラネタリウムで語る星座の物語も面白く、星を見上げたくなることうけあいです。

テンペルが見せる「手品」と、泣き男とタットルが映す「プラネタリウムのにせものの星」は、どちらも「人をだます」もの。
しかし、「だますこと」と「だまされること」は決して悪いことではない。そんなことに気づかせてくれる作品です。

 

柴崎竜人『三軒茶屋星座館』

『三軒茶屋星座館 冬のオリオン』表紙

三軒茶屋星座館
柴崎竜人(著)、講談社

三軒茶屋の路地裏にあるバー兼プラネタリウムの「三軒茶屋星座館」。
ある日オーナー・大坪和真のもとを、10年間連絡を取っていなかった双子の弟・創馬が訪れます。すっかり見た目の変わった創馬と一緒にいたのは、少女の月子。

その日から、3人の共同生活が始まります。

 

家族と星座にまつわる心温まる物語――

3人の日常を軸に、バーを訪れる人々と、星座の物語が展開されます。一見難しそうに思える星座の神話も、とても分かりやすく教えてくれますよ。

恋愛の悩み、人間関係のトラブルといった相談も客から受けている和真。その悩みやトラブルを、星座の話をしながら解決してしまうんです!

笑いあり涙ありの、心がホッとする作品ですよ。

 

星空の雰囲気に浸ろう

夜空の星を見上げると、なんだかロマンチックで切ない気持ちになりますが、同時に元気をもらえますよね。

今回ご紹介した本は、どれも幻想的でしっとりとした雰囲気のある作品ばかりです。夏の夜、ぜひ一度お手にとって、その世界にじっくりと浸ってみてくださいね。

【おすすめ記事】天文学を学ぼう! おすすめの初心者向け天文学入門書