東野圭吾初心者必見! 東野作品おすすめベスト5
日本を代表するエンタメ作家東野圭吾氏。ここではそんな彼の作品を筆者の独断と偏見で、恐れながらランク付けさせていただきました。
まだ東野作品を読んだことのない人はぜひ参考にしてみてください。
5位『幻夜』
『幻夜』
集英社
1995年1月。父を自殺で亡くした水原雅也は父の通夜の翌朝、阪神淡路大震災に見舞われます。道路には亀裂が走り、家々は倒壊。そんな中、梁の下敷きになっている叔父を発見します。雅也に借金返済を強いてきた叔父。雅也は叔父のポケットの中から借用証を発見し、それを廃棄。これで借金を返さなくて済む、と安堵したところ、叔父に息があることが判明。そこで雅也は、叔父を撲殺してしまいます。そして顔をあげるとそこには1人の美しい女性の姿が――。
のちに雅也はこの女性を暴漢から助け、それをきっかけに2人は仲を縮めていきます。叔父を殺した青年と殺しを目撃した女性。これはそんな彼らの物語です。
だれない大長編
第5位は『幻夜』です。美冬という悪女の周りで起こる事件を描いた本作。700ページを超える大作ですが、高い筆力によって裏打ちされた読みやすい文体が最後まで一気に読ませてくれます。叔父を殺してしまい、まっとうに生きるのが困難になってしまった雅也の姿は見ていて心にくるものがあります。
4位『パラドックス13』
『パラドックス13』
講談社
3月13日13時13秒から13秒間、世界を「P-13現象」が襲います。それが具体的にどういった現象であるのか、どういう影響を与えるのか、それら詳細は国民には知らされません。国が関係各署に通達したのは、その13秒間は危険な作業を中断し、危険な場所から離れよ、といったもの。
そんな折、強盗を追っていた刑事の久我冬樹。彼は「例の13秒間」の間に強盗犯によって殺されてしまいます。そして次に意識が戻ると、彼がいたのは崩壊した東京。そこには冬樹の他にも人がいて――。
設定と人物描写が見事!
第4位は、『パラドックス13』。崩壊した東京という異常環境の中で生き抜こうとする人間の様子が見事に描かれています。
「P-13現象」という架空の現象に高い説得力を持たせるところはさすがの東野圭吾。サバイバル小説のような読み味で、最後までハラハラドキドキの構成となっています。
3位『ゲームの名は誘拐』
『ゲームの名は誘拐』
光文社
敏腕広告プランナーの佐久間。彼が発案したプロジェクトが、クライアントの重役である葛城勝俊につぶされてしまいます。
そんなある時、佐久間は家出をした葛城の娘・樹里に出会います。葛城家に不信感を抱いている樹里。そこで佐久間は樹里と狂言誘拐を企て、葛城から3億円もの大金を奪取しようともくろみます。佐久間と葛城の勝負。互いのプライドを賭けて行われるそのゲームの名は誘拐。
ただでは終わらない衝撃
第3位は『ゲームの名は誘拐』です。2人のキレ者の読みあいや心理戦が見事です。彼らの行動や言葉には説得力があり、ところどころで「なるほど」とうならされます。
東野圭吾が贈る傑作コン・ゲーム小説である本作。終盤の怒涛の展開は特に注目です。
2位『容疑者Xの献身』
『容疑者Xの献身』
文藝春秋
花岡靖子とその娘の美里。彼女らは靖子の元夫である富樫から逃げるように住居を転々とする日々を送っていました。引っ越し後、落ち着いた日々を過ごしていた花岡母娘でしたが、またも富樫に居場所を突き止められてしまいます。家に押し入る富樫。その際、花岡母娘は勢い余って富樫を殺害してしまいます。自分たちがやってしまったことに呆然とする2人。そんな彼女らに手を貸したのはアパートの隣人の数学者・石神でした。
それから数日後、旧江戸川で1つの他殺体が見つかります。警察は遺体を富樫と断定。容疑者として花岡母娘に目をつけた警察でしたが、決定的な証拠が出ず捜査は難航。そこで警察は天才物理学者湯川に捜査協力を依頼し――。
直木賞受賞作
第2位は直木賞を受賞した『容疑者Xの献身』です。本作は、ガリレオシリーズ第3弾。数学者石神と物理学者湯川が対決する構図となっています。そんな2人の天才の知恵比べが魅力の本作ですが、次第に明らかになる石神という男の心情も1つの魅力です。
登場人物の心情とミステリー的な仕掛けを上手く融合させた本作はミステリーとして高い評価を受けています。ただ、ミステリー的な仕掛けがなくとも、傑作として世に出ていたのでは――と、そう思える作品です。
1位『白夜行』
『白夜行』
集英社
はじまりは1973年。廃墟となったビルで質屋の男が殺されます。容疑者は次々と浮上するが事件は結局迷宮入り。
被害者の息子である亮二と容疑者の娘である雪穂。当時小学生だった彼らは、お互い別々の道を歩みます。ただ、彼らの行く先々で起きる数々の犯罪。
彼らはいったいどこを目指しているのか。これは、そんな彼らの19年間の物語です。
面白い構成が魅力
第1位は『白夜行』。
本作は、登場人物や起きる事件も魅力ですが、それを支える話の構成がとにかく見事です。
物語の中心には常に、亮二と雪穂がいます。ただ、彼らの心情が直接描かれることはありません。本作は亮二と雪穂を彼らの周囲にいる人物から描くことで2人の人間性を浮かびあがらせる構成となっています。2人の異常性や関係性。これらが周囲の人物から語られることで、より際立つようになっているのです。
謎が少しずつ明かされつつも、要所が伏せられた想像力をかきたてる構成。本作は800ページを超える大長編ですが、無駄な部分なんて1つもないと自信を持って言えるそんな作品です。
東野圭吾作品を、まず手に取ってみる
上述した作品のほかにも数え切れないほどの傑作があるのが、東野圭吾作品です。デビュー作の「放課後」。日本推理作家協会賞受賞作の「秘密」。涙なしでは語れない「手紙」などなど他にも多数傑作を発表しています
作風がとにかく幅広いので、東野作品を読む際には、一作だけではなく何作か手にとることをお勧めします。
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