手に汗握るデス・ゲーム小説! 展開に驚くおすすめの5冊を紹介
更新日:2016/6/2
デス・ゲーム小説と聞くと、血みどろの殺し合いを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。大きく間違っていることはありませんが、デス・ゲーム小説の中には、そこに重点を置かない作品も数多くあります。
デス・ゲーム小説といっても読み味は作品によって随分と違うのです。
そこでここでは、それぞれ読み味の違うデス・ゲーム小説を5作紹介します。
『インシテミル』 / 米澤穂信
『インシテミル』
米澤穂信(著)、文藝春秋
~あらすじ~
求人誌で募集のかかっていた「人文科学的実験の被験者」のアルバイト。時給はなんと11万2千円。そのアルバイトに応募した十二人の男女は、「暗鬼館」という奇妙な館に集められます。そこで告げられる実験内容。それは一週間「暗鬼館」で生活するといったもの。ただし、人を殺せばその分ボーナスが貰えるというルールがあって――。
ただ生活するだけで、破格のお金がもらえるというのにも関わらず、起きてしまう殺人事件。疑心暗鬼になっていく十二人の男女。誰が残り、誰が死ぬのか。一週間のデス・ゲームがこうしてはじまります。
謎解きが魅力のデス・ゲーム
本作はミステリー要素の強いデス・ゲーム小説となっています。参加者を殺せばボーナスが貰えるという一方、殺人の犯人を当てた場合にもボーナスが出るという少し変わったデス・ゲーム。
参加者同士で行う謎解きや、犯人当ては、ミステリーそのものです。
デス・ゲームと本格ミステリーをかけ合わせた、一風変わった作品となっています。
『ダークゾーン』 / 貴志祐介
『ダークゾーン』
貴志祐介(著)、祥伝社ほか
~あらすじ~
将棋の奨励会に所属するプロ棋士の卵である塚田。目覚めると彼は、軍艦島に立っていました。そしてそこにいるのは、化物の姿をした十七人の仲間。塚田を含め彼らは「赤の軍勢」。
一体これはなんなのか。そんな疑問の中で、一つ眼の赤ん坊「キユクロプス」から、これから七番勝負のデス・ゲームが行われるということが告げられます。
赤の軍勢のキングである塚田は十七人の化物たちを操らねばなりません。そして敵は青の軍勢。キングの塚田が死ねば、ゲームは敗北。
塚田は、化物達を束ね、青の軍勢に挑みます。七番勝負の先に待っているのは果たして――。
心理戦が面白いデス・ゲーム
本作は貴志祐介が描くデス・ゲーム小説です。ゲームのルールは、人間将棋のようなもの。ただの殺し合いではなく、ゲーム的な心理戦や駆け引きがあるのが特徴です。
ちなみに途中で挿入される挿し話によって、このゲームが一体なにでどういうことなのかが少しずつ明らかにされていきます。やがてわかる真相と結末には、背筋が寒くなるものがあります。
そんな本作は、心理戦が面白いデス・ゲーム小説です。
『ソードアート・オンライン』 / 河原礫
『ソードアート・オンライン』
河原礫(著)、アスキーメディアワークス
~あらすじ~
時は2022年。バーチャルリアリティを使った世界初のMMORPG「ソードアート・オンライン」(以下SAO)のサービスが正式に開始され、約一万人ものユーザーが、仮想現実の中でゲームに興じていました。
しかしゲームをプレイ中の彼らの前に突如、SAOの開発者・茅場晶彦が現れ、非情な宣告をします。SAOをクリアしなければ、ログアウトすることはできず、さらにSAO内での死は現実での死を意味するとのこと。こうして、強制的にデス・ゲームに巻き込まれることになったユーザーたち。
高校生のキリトは、そこでSAOクリアに向けて、動き出します。
ライトなデス・ゲーム
本作は、ソード・アートオンラインシリーズ第一段。シリーズ累計発行部数1,000万部を越えている大人気ライトノベルです。
本作の特徴は、ゲームの設定がそうであるように、異世界ファンタジーの趣が強いのが特徴。モンスターを倒し、ダンジョンを攻略し、スキルを身につける。その先で、クリアを目指します。
デス・ゲーム特有の緊張感や血生臭さはあまりなく、肩の力を抜いて読める作品となっています。読み味としては、デス・ゲームものというよりは、王道ファンタジー小説に近いかもしれません。
本作はライトノベル×デス・ゲームものの傑作です。まずは一巻から手にとってみてはいかがでしょう。
『出口なし』 / 藤ダリオ
『出口なし』
藤ダリオ(著)、角川書店
~あらすじ~
出口のない完全な密室で目を覚ました小野寺祐太。そこには祐太のほかに四人の男女がいました。部屋にあるのは一台のPCと十二時間分の酸素だけ。するとPCにマスターからメールが届きます。
『あなたたちが無事にお家に帰るには、クイズの答えを探して、ゲームに勝つしかありません。(p21)』
唐突な理不尽に混乱する祐太達。しかもマスターから出題されるクイズは抽象的で、何が何やら意味不明。さらにゲームに勝つということがどういうことなのか一切説明はありません。そして、クイズを間違えると、死に直結するような「お仕置き」が待っています。
クイズの答えはなんなのか? ゲームに勝つとは一体どういうことなのか? 祐太は他の四人と協力し、それら答えを探っていきます。
理不尽なデス・ゲーム
デス・ゲーム小説の設定は、そのほとんどが理不尽なものです。ただ本作は、そういった一般的なデス・ゲームものと比べても、かなり理不尽であると思います。
クイズの内容、ゲームの存在、何故集められたのか……などなど、マスターからの説明はなく、登場人物たちはただただ混乱します。
その圧倒的なまでの理不尽さから生じる登場人物たちの焦燥感は、非常に見ごたえがあります。
次に何が起こるかわからない。ハラハラドキドキのデス・ゲーム小説となっています。
『ハンガーゲーム』 / スーザン・コリンズ
『ハンガー・ゲーム』
スーザン・コリンズ(著)、KADOKAWAほか
~あらすじ~
首都キャピトルが12地区を支配する、パネムという国を舞台に繰り広げられるサバイバル・ゲームです。12地区からは毎年1人ずつ少年少女の生贄が差し出され、最後の1人になるまで殺し合う「ハンガー・ゲーム」という行事が行われます。
貧しい第十二地区に住む16歳のカットニスは、自分の妹が不運にもハンガー・ゲームに選ばれてしまいます。カットニスは妹を守るため、自分が代わりに出場することを決めます。
父親譲りの弓矢の技術と、生まれつきの鋭い勘を武器に戦うカットニスは、最後まで生き延びることができるのか……
スティーヴン・キングも絶賛したデス・ゲーム
アメリカで空前の大ヒットとなったデス・ゲーム小説です。全米で累計5,000万部を超えるベストセラー・シリーズであり、映画も全米興収4週連続No.1を記録しました。あのスティーヴン・キングも内容を絶賛したことで知られています。
デス・ゲーム自体の面白さはもちろんのこと、それ以外の要素も非常に楽しめる作品です。舞台になっているパネムという国は近未来であり、その姿は現代社会も彷彿とさせるもの。
栄える首都キャピトルと貧困地区の格差描写もリアルで、資本主義・商業主義の行きつく先を想像させられます。
単なる殺し合いにとどまらず、その背景もしっかり描かれていることが大きな魅力です。
ハラハラドキドキの「デス・ゲーム小説」を楽しもう!
読み味の違う5作のデス・ゲーム小説。どの作品もページをめくるのが楽しくなるような、そんな作品です。
まずは一作お好みに合わせて手にとってみてはいかがでしょうか。
ちなみにわたしのイチオシは手に汗握る心理戦が魅力の「ダークゾーン」です。
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今回ご紹介した書籍
『インシテミル』米澤穂信(著)、文藝春秋
『ダークゾーン』貴志祐介(著)、祥伝社ほか
『ソードアート・オンライン』河原礫(著)、アスキーメディアワークス
『出口なし』藤ダリオ(著)、角川書店
『ハンガー・ゲーム』スーザン・コリンズ(著)、KADOKAWAほか