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ハリポタだけじゃない!おすすめの日本人作家ファンタジー小説3選


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「ハリー・ポッターシリーズ」、「ナルニア国物語」、「指輪物語」などなど、ファンタジー小説と言われるとついつい海外作品を思い浮かべてしまうのは、わたしだけでしょうか?

しかしよくよく考えてみると、日本人作家も素晴らしいファンタジー小説を描いています。

ここでは、日本人作家が描くファンタジー小説を紹介していきます。

読みやすく、読んでいて楽しいエンターテインメント作品を三作選びました。

 

『夜の国のクーパー』 / 伊坂幸太郎

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~あらすじ~
隣国である「鉄国」に戦争で敗れた「夜の国」。八年にもわたる戦争が終結し、夜の国には、鉄国の兵士たちが多数乗り込んできます。

そんな中、夜の国の国王が、国民が見守る広場で鉄国の「片目の兵長」に射殺されてしまいます。国民から慕われていた国王。彼の死は、国民を恐怖のどん底に突き落とし、さらに混乱を招きます。国王の息子である酸人(サント)は、早々に鉄国に屈し、彼らに取り入り、国民を監視する始末。指導者の消えた国の行く末は果たして。

一方、夜の国に住む猫のトム。彼も思わぬところで戦争のあおりを受けることになります。それというのも、国中のネズミたちから「不要なネズミ狩り」をしないでほしいと持ち掛けられるのです。彼らに知恵を与えたのは、鉄国からやってきた賢いネズミ。そこで夜の国に住む猫たちはやむなく、ネズミたちと休戦協定を結びます。

夜の国に住む猫と人間。彼らの暮らしはこれからどうなっていってしまうのか。


伊坂幸太郎が描く戦争――

本作のテーマはずばり戦争。ただファンタジーとユーモアをまじえて語られるため、重くなりすぎず、あくまでエンターテインメントとして描かれています。

本作は主に三つの視点で物語が展開していきます。仙台からこの世界へやってきた公務員の「私」。「夜の国」の出来事を「私」へ話す猫のトム。そして、クーパーという大樹の怪物と戦う兵士を描いた伝説。

やがて話はつながり、序盤からは想像もできない結末を迎えます。そういったどんでん返しに加え、終盤にちょっとした仕掛けを用意しているところはさすが伊坂氏といったところです。含蓄があり、エンターテインメントとしても優れた一作。

■『夜の国のクーパー』 / 伊坂幸太郎(著)、創元推理文庫

 

『雷の季節の終わりに』 / 恒川光太郎

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~あらすじ~

『その土地の名は穏という――

穏には春夏秋冬の他にもう一つ神の季節があった。

穏に住む者たちは、冬と春の間に位置する短い季節のことを、神季、もしくは雷季と呼んで、特別に春や冬から分けていた。(p7より抜粋)』

戦争を避けるため、隠れて存在する村「穏」。地図にも載っていないその場所には春夏秋冬の他に雷の季節があります。そしてその季節になると、人々は家にこもり、その季節が過ぎ去るのを待ちます。そのとき、村には鬼が闊歩し、人をさらっていくと言われています。

鬼に姉をさらわれた少年、賢也。「穏」で生活をしていた彼にはとある秘密があります。やがて彼は、一つの事件に巻き込まれてしまい――。


抒情的な長編ファンタジー ――

本作は、「穏」という異世界を舞台にしたファンタジー小説です。現実世界と異世界が交互に語られ、賢也という少年の秘密が徐々に明らかになります。

透明感のある文体で描かれる幻想的かつ抒情的な世界観は、それだけで一読の価値ありです。話の内容も面白く、先が気になる構成になっています。

「穏」でのどこか懐かしさすら感じる美しい生活風景を描いた導入。そこから物語は徐々に表情を変えていきます。そして起きる一つの事件。そこに不死身の怪物トバムネキや異界の渡り鳥などが絡んできて、物語はファンタジーからホラーやサスペンスに色を変えていきます。

そんな本作はホラー・ファンタジーの傑作です。

■『雷の季節の終わりに』 / 恒川光太郎(著)、角川ホラー文庫

 

『キノの旅 -the Beautiful World-』 / 時雨沢恵一

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~あらすじ~
【喋るモトラド(二輪車)と旅をするキノという若者の六つの物語】

機械しか見当たらない国。どうして人がいないのか。そんな不思議な国の成り立ちを描いた「人の痛みが分かる国」。

人のいないゴーストタウン。やがて見つかったのはたった一人の国民。なぜ彼しかいないのか。謎の国を描いた「多数決の国」。

キノの前に現れた不可思議な三人の老人。彼らがしていることは一体なんなのか。そして彼らのしていることに意味はあるのか。皮肉の効いた物語「レールの上の三人の男」。

市民権獲得のため、人々にコロシアムで殺し合いをさせる国の話「コロシアム」。

子供が大人になるための手術が必要なおかしな国を描く「大人の国」。

ゲーム感覚で『戦争』が行われている残酷な国を描いた「平和な国」。

同じ国に3日以上滞在しないキノは、そういった国や場所をモトラドに乗って淡々と通過していきます。


寓話的な物語――

本作はシリーズ累計発行部数850万部以上を誇る大人気ライトノベルシリーズ第一弾です。シリーズを通して寓話的な趣があり、風刺のきいた作品となっています。

本作第一巻に収録をされているのは六つの物語。どの話も皮肉がきいていて、思わず考えさせられるような話です。

そういったものに加え本作は構成も見事で、特に第五話の「大人の国」で明かされる真相には「やられた!」と思う方も少なくないはず。

巧みな構成とメッセージ性を兼ねた本作はライトノベルの傑作!これからライトノベルを読もうとしている方に、「まずはこれから」と自信を持って勧められる一作です。

■『キノの旅 -the Beautiful World-』 / 時雨沢恵一(著)、電撃文庫
■『キノの旅 -the Beautiful World-』セット

 

まとめ

日本人作家が描くファンタジー小説は読みやすい作品が多いのが特徴です。上記した三作も読みやすく、老若男女におすすめできる作品となっています。

ファンタジー小説を探している方は、是非参考にしてみください。

ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。