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SF?ファンタジー?東野圭吾作品 ちょっと不思議な物語 おすすめ3選


更新日:2016/6/1

東野圭吾作品 ちょっと不思議な物語 おすすめ3選

日本を代表するエンターテインメント作家、東野圭吾氏。
第31回江戸川乱歩賞を受賞してデビューした彼は、デビュー当初から質の高いミステリー作品を発表してきました。

そんな東野氏ですが、実はミステリーのほかに様々なジャンルの小説を執筆しています。その中には非日常を描いた少し不思議な小説があり、ここではそれらの作品を紹介していきます。

読みやすさ。地に足のついた登場人物。鮮やかな構成など、紹介する作品には東野作品の魅力がこれでもかというほど詰まっています。

 

『時生』

『時生』表紙

時生
講談社

~あらすじ~

「ずっと昔、俺はあいつに会ってるんだ」(p26)

不治の病を患っている息子の時生が、今にも最期の時を迎えようとしている。そんなとき、宮本拓実は妻麗子に20年以上前に息子に会ったことがあると言います。

時生は10代。そんなことはありえません。
妻からどこで会ったのかと問われ、「花やしき」と答える拓実。そして話は20数年前の花やしきへ飛びます。

ろくに働きもせず、その日暮らしをしている23歳の拓実。その日も仕事を途中で放りだし、花やしきでうっ憤を晴らしていました。
するとそんな拓実の前に、トキオと名乗る青年が現れます。どこか放っておけない雰囲気をトキオから感じた拓実は、トキオを自らの家に住まわせます。

 

そのころ、拓実には千鶴という恋人がいました。
千鶴の好意に甘え、金をたかる拓実。そんな折、千鶴が書置きを残し、拓実の前から消えます。

すると拓実の前に千鶴を探しているという謎の男が現れます。千鶴の身が危険だと感じた拓実はトキオと共に、千鶴の行方を探しに行きます。

 

少し不思議なハートフルストーリー

本作は亡くなった息子が若いころの主人公に時空を超えて会いにくるというファンタジー小説。

過去の拓実の元に現れたトキオ。若くして亡くなる彼は、そこで自分の歩んできた人生について語ります。トキオは生まれてきたことに対して、どう思っているのか……。

そういったストーリーと並行して起こる拓実の元恋人失踪事件。謎が謎を呼ぶ先の気になる展開と無駄を排した端正な文体が、ぐいぐいと物語へ引き込んでくれます。

本作は人間ドラマとファンタジー要素を組み合わせた心温まる少し不思議な物語です。

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』表紙

ナミヤ雑貨店の奇蹟
角川書店

~あらすじ~

落ちこぼれの3人のコソ泥。とある家で犯行を行い、逃亡していた彼らは、車が動かなくなるという不運に見舞われます。

そこで夜明けまで派手に動くことは得策ではないと考えた3人は、廃屋で一夜を過ごすことに。その廃屋はかつて雑貨店を営んでいたようで、名を「ナミヤ雑貨店」といいます。

店を物色する3人。するとふと、郵便口に手紙が投げ込まれます。手紙を開くと書かれていたのは悩み相談でした。
店に残っていた雑誌から「ナミヤ雑貨店」はその昔、手紙による悩み相談を受けていたことがわかります。

こんな時くらいしか人の相談なんかには乗れない。そう考えた彼らは、届いた手紙に返事を書きます。
そしてそれを裏口の牛乳箱に入れると、すぐに郵便口から返事が届いたのです。

不審に思った3人は、やがてその手紙が過去から送られてきていることに気が付き――。

 

心温まる少し不思議なファンタジー

本作は、落ちこぼれの3人のこそ泥が人の悩みに答えを出していく物語です。

愛と夢のどちらを選択すべきか悩むオリンピック候補生の女性。現実と理想の狭間で悩むミュージシャン。ナミヤ雑貨店一夜限りの復活を知り、お礼の手紙を送る男性。
こそ泥たちの生い立ちと強くかかわる1人の女性。そういった人たちの悩みが連作短編として語られます。

どの話にも優しい結末が用意されていて、読後はほんわか胸が温まるようなそんな作品となっています。そして終盤、人智を越えた1つの真相が明らかになります。

 

『パラレルワールド・ラブストーリー』

『パラレルワールド・ラブストーリー』表紙

パラレルワールド・ラブストーリー
講談社

~あらすじ~

親友の智彦にできた初めての恋人・津野真由子。彼女は敦賀崇史がかつて、一目ぼれをした女性でした。
崇史は、智彦を祝福してやらなければならないと思いつつも、自分の中にある強い嫉妬心を抑えることができません。

1年後、崇史は津野真由子と恋人関係に。ただ崇史はその生活の中で僅かな違和感を覚えます。しかしその違和感の正体がわかりません。

崇史は、津野真由子が“はじめから自分の恋人だった”と思いこんでいます。しかし周囲の人間の話では津野真由子は、智彦の恋人だったとのこと。

次第に現実と自分の記憶に齟齬があると気づきはじめる崇史。消えた智彦。そこで、過去にいったい何があったのかを探っていきます。
過去と現在が交差し、物語はやがて衝撃の結末を迎えます――。

 

SFミステリーの傑作

本作は、記憶と現実が一致しない主人公にスポットを当てた少し不思議なSF小説です。

ただ設定はSFであるものの、話の構成はミステリーそのもの。
次第に明かされていく謎。意外な結末。ミステリー作家東野氏の魅力が存分につまった1作となっています。

さらに本作の魅力はそこにとどまりません。本作はそういったSF的設定やミステリー的な展開に加え、嫉妬する男の複雑な心情にも魅力があります。

親友の恋人を奪おうとする主人公の心情は、醜くも人間臭く、どこか共感させられます。

本作はそんな東野氏の発想力、物語の構成力、人物の描写力の高さを知ることのできる作品です。

 

不思議な世界を覗いてみよう

ミステリーだけにとどまらない多彩な才能を持つ東野圭吾氏。少し不思議なファンタジーやSFを描かせても一流です。高い筆力で綴る物語はどれも読みやすく、普段読書をしない方にもおすすめできる作家となっています。

非日常的な話が読みたい方、是非参考にしてみてはいかでしょうか。

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ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。