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青春を駆け抜ける!時代を越えて愛される傑作アメリカ文学3選


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青春時代の悩みや感情というのは、どの時代、どんな場所でも大きく変わらないのではないかな、というのが筆者の持論です。

そしてそういった部分に対して言葉を尽くし、突き詰めて描いた青春文学こそが後世に残る傑作になるのだと思います。

そこでここでは、時代を越えて愛されてきた、またこれからも愛されるだろうアメリカの傑作青春文学を三作紹介します。
どの作品の主人公もが誇りを持って生きていて、彼らの口から語られる物語はどれも興味深い内容となっています。

 

『ムーン・パレス』 / ポール・オースター

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~あらすじ~

最愛にして唯一の肉親である叔父を亡くした大学生マーコ。彼は叔父の死後、大学にも行かず叔父が残した蔵書を読み漁ります。やがて貯金がつきたマーコは、住む場所も失い、公園の残飯で飢えをしのぐような生活に陥ります。そんな時に手を差し伸べてくれたのが友人のジンマーと、のちに恋人になるキティ・ウー。

二人の協力のもと、生活を立て直したマーコは、トマス・エフィングという老人の下で、住み込みの仕事をはじめます。そこでその老人の息子であるバーバーと会うことに。

そこでマーコはバーバーから驚愕の事実を知らされ――。


破滅と再生の先に待つものは……

本作は1989年にアメリカで発行されたポール・オースター氏が描く青春文学です。

物語は、マーコの破滅からはじまります。お金を稼ぐことも大学に行くこともしないマーコ。そんなほとんど自暴自棄ともいえる状態になったマーコですが、彼から怒りや悲壮感はうかがえません。そんな状態になってもマーコは誇りを持ち、自らを律し、考えを洗練させていきます。もっともその誇りの高さや繊細さが彼をそこまで苦しめたともいえますが。

本作の魅力はそのマーコの、ともすれば不器用ともいえる性格にあると思います。誇り高きマーコの目を通して語られる社会や青春は、それだけで興味深く、一見の価値ありです。

どの時代、どの場所でも普遍的な青春時代の感情が著者の理知的な文章を持って語られた本作。自問自答を繰り返し、深いところまで突き詰めた誇り高き青年の物語です。

■『ムーン・パレス』ポール・オースター(著)、新潮文庫

 

『グレート・ギャツビー』 / スコット・フィッツジェラルド

~あらすじ~

大学卒業後、戦争に従軍したのち、ウエストエッグへ引っ越してきた主人公のニック・キャラウェイ。彼が引っ越してきた家の隣家は、毎日のようにパーティーを開く大邸宅。その屋敷の主は若くして富を築いたジェイ・ギャツビーという謎に包まれた男でした。そんなギャツビーに興味を抱いていたニックは、ある日、屋敷のパーティーへ誘われ、それに参加します。そこでニックはパーティー参加者にギャツビーのことを聞いてみますが、ギャツビーについて詳しく知る者は一人もいません。

やがて親しい間柄になったギャツビーとニック。ある時、ニックは、ギャツビーから彼の過去と、胸の内に抱えているとある切実な思いを伝えられます。


ギャツビーという偉大なる男の物語

本作はスコット・フィッツジェラルド氏が描いた名作です。

ギャツビーとニック。どこか世間の合わないこの二人の青春を描いた物語となっています。

本作が発表されたのは1920年代ですが、周囲とそりが合わない二人の感情や考え、また彼らを取り巻く軽薄な人物たちの描写は八十年以上経った今でもまるで古臭さを感じさせません。

そして本作は文学でありながら、先が気になる展開となっているのが特徴です。ギャツビーという男の謎と終盤に訪れる結末は、文学的でありながらエンターテインメント的な側面も持っています。

本作は作品の翻訳を手掛けた村上春樹氏が多大な影響を受けたとされる作品です。

村上氏の翻訳は読みやすいため、翻訳小説に抵抗のある方にもおすすめできる作品となっています。

■『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド(著)、中央公論新社

 

『ライ麦畑でつかまえて』 / J.D サリンジャー

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~あらすじ~

成績不良で学校から退学処分を受けたホールデン・コールフィールド。寮に戻った彼は、何人かの友人と会話を交わします。そしてルームメイトと些細なことがきっかけで言い合いになり、あらゆるものに対してうんざりしてしまったホールデンは、学校から追い出される前に、自ら学校を去っていきます。

すぐに自宅に戻る気にならないホールデンは、ニューヨークのホテルに泊まります。そしてクラブで女の子と踊り、ピアノの演奏を聴き、気分を紛らわそうとしますが、どんどん気は滅入るばかり。

やがて自宅に戻ってきたホールデンは、そこで愛しい妹に会い、自分の切実な気持ちを伝えます。

『僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、そのことをつかまえることなんだ――(p269)』


繊細すぎる主人公が見る社会

ホールデンという主人公は、常に何かに不満を抱いている少年です。

青春時代に誰もが感じるような悩みや不満。そういったものをさらに突き詰め、深刻化し、あらゆるものにうんざりしたようなホールデンの言葉は切実で、思わず共感させられます。

いろいろなことをやり過ごすことのできないホールデン。彼の言葉で語られる物語は、世間と合わない人達の不満を代弁しているかのようです。そのため、悩みがある人、現状に不満を持っている人に強くおすすめしたい作品です。

本作は全世界で六千万部以上が発行されている世界的名作。上述したグレート・ギャツビー同様村上春樹氏が影響を受けた一作でもあります。

ここで紹介した作品は野崎孝訳ですが、村上春樹訳もあります。そちらは「キャッチャー・イン・ザ・ライ」として刊行されています。

どちらの訳も読みやすいため、グレート・ギャツビー同様、翻訳小説が苦手な方におすすめできる作品となっています。

■『ライ麦畑でつかまえて』J.D サリンジャー(著)/野崎孝(訳)、白水社
■村上春樹訳版『キャッチャー・イン・ザ・ライ

 

まとめ

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青春を描いた三作。これから青春を送る方や現在進行形で青春を送っている方、過去の青春を思いだしたい方など万人におすすめしたい名作です。

翻訳小説はなかなか読みにくい作品が多いものですが、上述した三作に関しては、読みやすい文章でつづられているため翻訳小説デビューしたい方にもおすすめです。

ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。