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ジョン・ファーンドン『世界一「考えさせられる」入試問題』あなたならどう答えますか?


世界一「考えさせられる」入試問題
ジョン・ファーンドン(著)、小田島恒志(訳)、小田島則子(訳)
河出書房新社

イギリス流の、ほんとうの賢さとは何か? 世界トップ10に入る両校の入試問題ではこんな超絶な思考実験が行われている! さあ、あなたならどう答える?どうしたら合格できる?難問鬼門を選りすぐり、ユーモアあふれる解答例をつけたユニークな1冊。(『世界一「考えさせられる」入試問題』表紙裏)

 

本書の副題は「あなたは自分を利口だと思いますか?」。

この挑戦的なタイトルに惹かれ、本書を手に取った私。オックスフォード大学とケンブリッジ大学(通称:オックスブリッジ)という世界トップクラスの名門大学のレベルにも興味がありました。

 

本書には60問の入試問題が収録されています。

・あなたならリンゴをどう説明しますか?

・カタツムリには意識はあるのでしょうか?

・人はいつ死んだことになりますか?

・歴史は次の戦争を止め得るでしょうか?(『世界一「考えさせられる」入試問題』帯)

 

ぜひ本書を読みながら問題を解いてみてくださいね。

 

あなたは自分を利口だと思いますか?

では本書の60問のうち、まず初めの1問目を考えてみましょう。

「あなたは自分を利口だと思いますか?」あなたならどのように解答するでしょうか。

作者はこの問いについて、以下のように書いています。

 

実に意地悪な問題である! 謙虚に「いいえ」と答えたら、その言葉通りに取られて、オックスブリッジへの入学は断わられるかもしれない。何といってもここは利口な人間だけが入学を許可される大学なのだから。(と、世間ではそう言われている)。だからといって「はい」と答えたら、自分は正真正銘の馬鹿であると言っているようなものである。まず、面接官はそのポジションからして(あっち側にいるから)受験者より利口であるにちがいない。(中略)自分が利口であると確信しきっている人はふつう賢明ではない。(p17)

 

私はつい「う~ん」と考え込んでしまいました。

作者が言うように、利口な人間は自分を利口だとは思っていないでしょうし、自分は利口だと人前では言わないはず。

かといって、どっちつかずの返答をしたら、優柔不断で切れ味が悪いと思われる……。

 

まず、この質問は、「利口」という言葉がミソなのです。

もしこの質問が「あなたの知能は高いですか?」であれば、もっと答えやすいでしょう。なぜなら「はい、私のIQはXXXです」という、数値を使った客観的な解答ができるからです。

 

「利口」という言葉は、昔から否定的な響きがあるように思います。利口である=狡猾、ほら吹きというイメージです。

実際に、本書でもプラトンの言葉「大いに利口でものをよく知っているということは、それに善行が伴わない限り、無知よりはるかに大きな不幸である」という言葉が引用されていますが、私はイソップ寓話を思い浮かべました。アリとキリギリス、ウサギとカメなど、利口なキャラクターは結果的に失敗しています。

 

では、この質問にどのように答えればいいのでしょうか。作者はいくつかアイデアを出しています。

 

かの才人オスカー・ワイルドさえ、自分の利口ぶりを話すには自嘲気味のウィットにくるまなければならなかったー「私はあまりにも利口だから、時として自分が何を言っているのかひと言も理解できなくなる」。もしかしたら、これが質問の答えとしては完璧かもしれない。(p19)

 

「はい、私は大学側の望む程度には利口です」と答えた上で、さらに一歩すすんで、シラノ・ド・ベルジュラックがそのデカ鼻を褒め称えてみせたウィットに劣らぬウィットを発揮して威風堂々と自分の利口ぶりをアピールしてみたら、面接官も深く感銘を受けるかもしれない。(p19)

 

本書では、オックスブリッジの利口者たちは、普段から嫉妬の目で見られる運命にあるのだから、利口な人間を歓迎するであろうという結論でしたが、みなさまはどう思われましたか?

私は正解がない問題を考えることの面白さに、改めてワクワクしました。

 

「考える力」が求められる質問たち

先ほどは1番目の問いを引用しましたが、取り上げられている問いはさまざまです。

世界が直面している問題を考える質問や、ただ単に回答者の意見を要求しているだけの質問、苛々させられるだけの質問など……。

ただし、すべての質問において、「考える力」が求められているのは間違いありません。

 

では、その「考える力」はどうすれば身につくのでしょうか? 本書ではその点にもしっかりと触れています。

 

ここに取り上げた質問には解答の秘訣などない。この類の問題にいつも取り組んでいるジャーナリストたちによれば、要は「水平思考」なのだそうだ。ある言述の信憑性を評価することだけを目的としたふつうの「批判的思考」とちがって、「水平思考」とは、その言述を利用して、斬新で、どうかするとそれとはまるで関係ないアイデアを創出する考え方である。

こうした質問に答えるときのカギは一瞬立ち止まって質問の意味を考える。あるいは、さらにいいのは、その質問の意図が本当はどこにあるのかを考えることだ。自然に出てくるのは決まって一番つまらなくて一番気のきかない答えだ。(p8)

 

たとえば、もし「あなたにとって悪い本とは何ですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。

「道徳的に悪い本」を並べるのは、ありきたりですよね。

この場合、質問の意味をもう少し深く考えてみましょう。「悪い」とはどういう意味で「悪い」のか。それだけでも思考の幅が広がるでしょう。

きっと、本書を読み終わった頃には、「考える力」を身につけることを楽しいと感じているはずです。

 

他にも、様々な観点で「考える力」を身につける方法が書かれています。オックスブリッジという世界トップレベルの「考える力」とはどのようなものなのかを知り、ぜひとも自分のスキルアップにお役立てください。

 

誰かと一緒に考えてみるとさらに面白い

1人でじっくり考えてみるのも面白いですが、誰かと一緒に考えてみると、いろんな考えが出てきてさらに面白いですよ。作者の解答例もついており、盛り上がることは間違いないので、ぜひ試してみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍

世界一「考えさせられる」入試問題
ジョン・ファーンドン(著)、小田島恒志(訳)、小田島則子(訳)
河出書房新社

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。