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『マジ文章書けないんだけど』|腕試し付き!一生使える文章術とは?


更新日:2018/1/16

『マジ文章書けないんだけど』表紙

マジ文章書けないんだけど
前田安正(著)、大和書房

朝日新聞ベテラン校閲記者が教える 世界一わかりやすい文章教室!

どんな場所でも使える一生モノの文章力が身につく!

今、話題の本、売れてます!(帯)

私がこの本を手に取ったきっかけは、まさに本のタイトルと帯でした。

文章力を今以上に磨きたい、でもありきたりな指南書では知っていることばかりで面白くない、何か刺激を与えてくれる一冊はないだろうか……ともやもやしている時期に見つけたのがこの本です。

また、帯の裏側には、三省堂辞書編集者、宣伝会議の取締役、一流大学の学長や教授といった著名人たちが絶賛のコメントを寄せており、これほどまでに絶賛されている理由を知りたいという好奇心もありました。

今年の4月に発売され、続々と増刷されているというこの1冊。どのようなノウハウや面白さが詰まっている本なのでしょうか? 少し中身を覗いてみましょう。

 

【初級の問題】を解いてみよう

ところで突然ですが、本の紹介をする前に、まずは腕試しをしてみたいと思います。これから挙げる問題は、【初級】のなかでも一番最初の問題です。ぜひ、読者のみなさまも一度考えてみてください。

 

【問題】次の文が不自然な理由を挙げてみよう。

このモデルは背が高くて脚が長くスタイルがいいので

顔が小さく、どんな服でもよく似合うモデルだ。

【ヒント】この文を分解してみよう。

このモデルは_______________________ので

_____________________________モデルだ。(p32)

 

大半の方が、この問題文は明らかに不自然だとお思いになるでしょう。でも、その理由を言えと言われると、うまく言い表せない……。そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか?私もその一人で、言語化の難しさを改めて感じました。

 

ちなみに、解答例です。

1.「このモデルは~モデルだ」となっている。

2.「背が高くて脚が長くスタイルがいい」が「顔が小さい」ことの根拠になっている。

「ので」は「根拠・理由・原因」を表す接続助詞。

みなさまはお分かりになられたでしょうか?本書の特徴は、このように頭の体操がレッスンごとに収録されていること。身を持って『学んだ感覚』を味わうことができるのです。

 

『マジ文章書けないんだけど』の魅力とは

本書は以下の4STEPで構成されています。

【初級】主語と述語について考える
【中級】文と文章の構造を考える
【上級】人の思考を意識する
【プロ級】「Why」を意識する

 

他の指南書と一味違うのは

・イラストが多い
・ユニークなストーリー形式(謎のおじさんと、大学生(現在は社会人3年目)の浅嶋すずの対話式)
・35年間にわたる著者の新聞校閲のうんちくが多い
・実践問題が多い
・ありきたりなノウハウではなく、斬新な目線のノウハウが書かれている

点ではないでしょうか。

なかでも、5点目の『斬新なノウハウ』は、これまで何十年と生きてきて気づかなかったようなノウハウが書かれており、さすが文章のプロの目線だなと思わず感服してしまいました。

ネタバレになってしまうのであまり詳しい内容は書けませんが、次章にて本書に書かれたノウハウをひとつ紹介したいと思います。

 

【中級の問題】を解いてみよう

この2つの文章、内容は同じですが、どのような違いがあると思いますか?

新緑の季節、軽井沢に出かけた。駅前のアウトレットをブラブラと歩きながらお買い得に洋服がないか探した。芝生の広場が広がり、それを囲むように並んだアウトレットは、歩いているだけでも楽しかった。その後、旧軽井沢銀座まで歩いた。(p112)

 

新緑の季節、軽井沢に出かけた。駅前のアウトレットをブラブラと歩きながらお買い得に洋服がないか探す。芝生の広場が広がり、それを囲むように並んだアウトレットは、歩いているだけでも楽しい。その後、旧軽井沢銀座まで歩く。(p113)

 

共に過去の話を書いていますが、1つ目が過去形で、2つ目が現在形で描かれています。違いはそれだけなのに、文章から受ける印象がずいぶん違いますよね。

過去形を使うと、まるで映画を見ているような客観的な雰囲気に。

現在形を使うと、自分が映画の主人公に乗り移って一緒に動いているようなイキイキ感、ライブ感が生まれるのです。

 

過去形は、過去を表すだけではないということ。(例:「かぜをひいた」「ニキビができた」)

そして、過去の話でも現在形を使うことで、ライブ感が出ること。

文章力を向上させる指南書を多く読んできましたが、これらは新たな発見でした。

このように、本書には「さっそく使ってみよう!」と思える実践的なノウハウがたっぷりと詰まっているのです。

 

文章力を磨くために

「文章を書く力を身に着けて、人生の道を切り開いて行け!」
登場人物である謎のおじさんの言葉を借りて、最後を締めくくりたいと思います。

文章力を磨きたいと考えるすべての方に、おすすめの1冊ですよ。

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