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あなたはどんなイメージ?「ゴーストライター(ブックライター)」という仕事


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俳優、モデル、スポーツ選手、経営者、お笑い芸人、文化人など、さまざまな分野で活躍する「旬」の人たちが書く書籍が、「旬」を過ぎる前に発売されること。

毎日、分刻みのスケジュールをこなしているはずなのに、いつ執筆しているのだろう?と不思議に思ったことはないでしょうか。

その裏側には「ブックライター」と呼ばれる人たちがいます。

 

「ブックライター」とは、一般的に「ゴーストライター」と呼ばれている職業。筆者の代わりに実際に本を書いたにもかかわらず、その名が知られることもなく、闇の中に埋もれていく…。そんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。

本当は、筆者から面白い話を聞いて本を作り上げるやりがいのある仕事だということや、筆者としてではなくても、大半のケースにおいて名前が掲載されること。これらは世間一般には知られていないことです。

そんなゴーストライターの暗いイメージを払拭するために立ち上がったのが、フリーライターの上阪徹氏。ゴーストライター改め、ブックライターとして活躍されている売れっ子ライターの一人です。過去に上阪氏が執筆した『成功者3000人の言葉』は、ベストセラーになりました。

そこで今回は、上阪氏の著書『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法 』(上阪徹著、講談社)の中身を紐解きながら、ブックライターの仕事について紹介したいと思います。

 

ブックライターという仕事とは

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「ブックライター」は 、文字通り、本を書く仕事をする人です。
旬であるなしに関わらず、ベストなタイミングで書籍を発売するためには、執筆のスピードが要求されます。
しかし、文章を書く仕事をしていない人たちが執筆すると、莫大な時間がかかります。また、本を書くことに時間を取られ、本業に差し障りが出てしまっては本末転倒です。

とはいえ、価値あるコンテンツが埋もれてしまうのはもったいない話。
そこで「ブックライター」が必要となるのです。

 

本を書く人と、筆者としてクレジットに載る人が別の人であるため、違和感を感じる人がいるかもしれません。ですが、実は多くの書籍がこのスタイルで制作されているのです。

ここでポイントなのが「書籍の素材は、筆者自身の経験やノウハウ」だということ。筆者の貴重な経験を、ブックライターが取材で引き出し、本の形にまとめる。あくまでも、ブックライターは、構成力や執筆力を提供する仕事を担っているという訳です。

そうは言っても、他人に書いてもらってまで本を出す必要はあるのか?と思う人もいるでしょう。その疑問に対し、上阪徹氏はこう言っています。

「何より重要なことは筆者が持っているコンテンツを世に出すこと。多くの人に、それが役に立つこと。筆者が書く、書かないという問題にとらわれて、筆者の持つコンテンツが世に出なかったり、出るのが遅れてしまったりすることこそ、社会の損失である」(p23)

「自分で書く人にしか本が出せない、ということになれば、多くの本は世に出ないと思います。さまざまな学びが得られる本を、読むことができなくなるということ。果たして、世の中にとって本当にそれでいいかどうか」(p22)

また、大抵のケースにおいて、ブックライターの名前は書籍に載っています。目次の後のスタッフ欄の「構成」「編集協力」に載っていたり、筆者が書く「あとがき」の最後に筆者がお世話になった人として書いていたり。場合によっては、ブックライター自身があとがきを書くこともあります。

ブックライターは、日の目を見ることのない闇の存在というイメージが付き纏いがちですが、そんなことはないのです。

 

ブックライター目線での「本が出来上がるまでのプロセス」

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ブックライターのパートナーは、出版社の編集者です。
まず編集者が、世の中の流れや書籍のマーケット・読者のニーズをもとに、書籍の企画を作り、筆者とブックライターに依頼をします。

上阪氏のように著名なブックライターだと、筆者から直接指名されることもあるようですが、一般的には「筆者がこういう人でこんな本を作りたいのだが、書いて欲しい」と依頼されます。

次に、編集者との打ち合わせの後、筆者へ取材をします。編集者が企画をした段階で、企画書に目次があるので、それを参考に取材を進めます。
この取材がブックライターの肝です。なぜなら、筆者が語っていないことを 書くことは許されないことだからです。

取材は、2時間程度の取材を5回に分けて行うこともあれば、なかには、30時間、50時間、100時間を超えて取材を行うケースもあるようです。
長い時間であればあるほど、ブックライターは用意周到に取材の準備を行います。なぜなら、筆者の話があっちに行ったりこっちに行ったりと、収拾がつかなくなる可能性が考えられるからです。

筆者は自分の経験談が書籍化されるということもあり、話したいことはたくさんあるでしょう。でも、話した内容は、筆者の頭の中で「本の形」にはなってはいない。そのため結局、何が言いたかったのかわからず終わる…そのような事態を防ぐためです。

ですから、ブックライターは事前に取材コンテを作っておき 、筆者と編集者に提出しておくことで、必要な素材を漏れなく筆者より聞き出す工夫をしています。
取材が終わると、目次に基づいてブックライターは原稿を作り推敲を経て、編集者の手に原稿が渡ります。その後に筆者が原稿をチェック。それらを数回経た後、原稿は印刷工程へと移っていきます。

このようにして、編集者、筆者、ブックライターが一丸となり、企画を形にして原稿に仕上げていくのです。

 

ブックライターの気になる収入は

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出版社の契約内容によって収入は大きく異なります。今回は、本書に載っている一般的なブックライターの収入について書いています。

ブックライターは「原稿料収入」「印税収入」で成り立っています。

【原稿料収入】…たくさん原稿を書けば書くほど、収入は上がっていきます。
【印税収入】…印税は、本1冊の価格×印税率×部数で計算されます。部数においては、出版社によって「刷り部数」と「実売部数」のどちらかが異なります。

なお、自分の本であれば10%の印税ということが多いようですが、ブックライターとして他の筆者の本を書いた場合は10%の印税を筆者と分けることになります。この配分についても、 出版社や本によって異なります。

ヒット作に恵まれれば、かなりの収入が期待できます。また、ブックライターはパソコンがあれば始められるので、経費もほとんどかかりません。利益率が非常に高い仕事と言えます。

 

人間として大きな成長をもたらしてくれる仕事「ブックライター」

上阪氏はあとがきで、ブックライターの仕事についてこう書いています。

「ブックライターとして生きる、ということは、そうした著名人と接することで、日常的に自分に負荷をかけられる、ということでもあります。
しかし、そのことが自分自身を大きく成長させたことは間違いないと思います。
もっといえば、才能ある著名人と同等レベルにまで自分を引き上げなければ、信頼をもらうことができないこともある。
人間としての大きな成長も、求められてくるのが、この仕事だと思っています。

なんと幸運な仕事なのか。こうして本書を書きあげようとしている今も、それを改めて感じています」(p228)

ブックライターは、人間としての大きな成長をもたらしてくれる仕事であり、世の中には欠かせない仕事ということを理解いただけたでしょうか。もし、ブックライターの仕事に興味を持って下さった方がいたなら、ぜひ本書を読んでみてくださいね。

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■ご紹介書籍
職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法 』 / 上阪徹(著)講談社

 

ライター

I.Megumi
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。