おすすめの短編ミステリー小説|スキマ時間に気軽に読める!
更新日:2019/3/22
皆さん、ミステリー小説はお好きですか?
巧妙に仕掛けられたトリックや、意外なところに潜む伏線を注意深く読み解こうとすると、本格的な作品ほどページをめくるのが億劫になるという方もいるかもしれません。
ちょっとした隙間時間で読むには集中力が分断されてしまうので、まとまった時間が欲しいものです。
その点、短編や掌編、ショートショートと呼ばれる作品は、ちょっとした空き時間などにも読みやすいのがいいところ。
ちょっとの時間でもミステリーにハマっていたい人、ミステリーに馴染みのない人にもおすすめの、気楽に読める短編ミステリーをご紹介します。
『このミステリーがすごい!』大賞10周年記念
『10分間ミステリー』
『10分間ミステリー』
『このミステリーがすごい!』大賞編集部(編)
宝島社
本作は、「このミステリーはすごい!」大賞創設10周年を記念して刊行された作品。29人の作家によるオール書き下ろしの短編が収録されています。
「10分以内に読めるショート・ショート」がコンセプトということで、各作品のページ数も10ページほど。
29人もの作家が集まっているため、作品の内容はホラーテイストからユーモアタッチ、戦記物ファンタジーまでバラエティ豊かです。
いろんなテイストの小説を読みたい方はぜひ。
多彩なアイデアを凝縮!
『4ページミステリー 60の奇妙な事件』
『4ページミステリー 60の奇妙な事件』
蒼井上鷹(著)、双葉社
たった4ページで読むことができるミステリー短編集。
4ページという制限は、書き手側にとって大きな制約だと思います。
しかし蒼井上鷹さんは、2004年に『キリング・タイム』で小説推理新人賞受賞でデビューした、短編ミステリーで評価の高い作家です。
どのお話にもミステリーとしての仕掛けがしっかりと仕込まれており、多彩なアイデアをこの短さに凝縮させて生み出される佳作は、短くても読み応えがありますよ。
とある13の事件
『ホームズのいない町』
『ホームズのいない町 13のまだらな推理』
蒼井上鷹(著)、双葉社
こちらも蒼井さんの短編ミステリー作品。とある町で起こる13の事件と謎を描いています。
「シャーロック・ホームズ」が好きな方であれば、思わずにやりとしてしまうような場面も登場しますよ。
登場人物が多いことと、それぞれの物語が少しずつ繋がりをもっているので、メモを片手に読むと良いでしょう。
どこに繋がりがあって、どんなことが起きたのか? と、考えながら読んでみてくださいね。
2分でも手応えあり!
『2分間ミステリ』
『2分間ミステリ』
ドナルド・ソボル(著)、早川書房
「見開き2ページの謎解きを2分で解きましょう」というのがコンセプトの『2分間ミステリ』。
ミステリー小説というよりは、どちらかというと論理クイズ的な内容で、答え合わせのページもあります。通勤時間やスキマ時間の暇つぶしにピッタリな1冊です。
中学生向けの内容となっていますが、謎解きそのものは結構手応えがあるものも多いため、読んで損はしないはずです!
名作ミステリーのパロディも楽しめる!
『5分間ミステリー 容疑者は誰だ』
『5分間ミステリー 容疑者は誰だ』
新保博久(著)、 扶桑社
『2分間ミステリ』と同様、見開き2ページ分の謎解きから犯人探しをするという形式の短編ミステリー集で、全45編の作品が収められています。
著者が前書きで、「これだけの分量のトリックをオリジナルで生み出すのは無理」と正直に語っています。
先人名探偵のトリックが大幅に加筆修正され、パロディ化されたそれぞれの短編はミステリーファンにとっては元ネタを発見する楽しみも味わえるものとなっています。
ミステリーに詳しいミステリ評論家が、他の多くのミステリーを参考にして書いたものだけあって、『2分間ミステリ』と比べると少しレベルが上がった作品になっています。
日常に潜む恐怖!?
『遠い迷宮 阿刀田高傑作短編集』
『遠い迷宮 阿刀田高傑作短編集』
阿刀田高(著)、集英社
阿刀田高さんは、日本のショートショート界の大御所的存在です。
数多くの受賞歴を誇り、多作で知られる彼の代表作を集めた短編集。収められた10編のミステリーはいずれも名作ばかり。なかでも『来訪者』は日本推理作家協会賞、『ナポレオン狂』は直木賞を受賞した作品です。
典型的なミステリー小説や、コメディタッチなもの、粋なオチもあったりなど、いつもと違う作風を楽しめます。
日常と非日常を行き来する世界を巧みに描き、最後で背筋にゾクッとくるのは阿刀田さんならでは。この感覚をぜひ多くの方に味わって頂きたいです。
お人よし大学生が事件に巻き込まれる!
『白戸修の事件簿』
『白戸修の事件簿』
大倉崇裕(著)、双葉社
2012年にドラマ化もされた人気ミステリーシリーズの第1弾。なぜかいつも事件に巻き込まれるタイプの白戸修が、事件を解決に導きます。
白戸は一見頼りないけれど、頼まれごとを断れないお人よしな性格。毎回不憫な目に遭うのですが、それすらもなんだか可愛らしく思えてきます。
全体的にほのぼのとした空気が出ていますが、しっかりと謎かけが仕掛けられています。血なまぐさいミステリー小説が苦手な方におすすめですよ。
どんでん返しだらけ!
『クリスマス・プレゼント』
『クリスマス・プレゼント』
ジェフリー・ディーヴァー(著)、文藝春秋
アメリカの作家、ジェフリー・ディーヴァーの作品です。
全16編、なんとどの作品にも驚きのどんでん返しが! しかも、どの物語にもハズレがありません。あなたもきっと、気持ちよく騙されることでしょう。
原題は「TWISTED」。日本語で「ひねり」という意味です。その名の通り、それはそれはひねりのきいた物語ばかり。
これにはもしかして裏があるのか? と考えながら読んでみるのも楽しいかもしれません。
複雑な結末を迎える物語もあるので、イヤミス小説が好きな方もぜひ♪
洒落のきいたオチ!
『うまい犯罪、しゃれた殺人』
『うまい犯罪、しゃれた殺人』
ヘンリー・スレッサー(著)、早川書房
短編小説の名手、ヘンリー・スレッサーの短編集。
アメリカのミステリードラマ『ヒッチコック劇場』のプロデューサーであるヒッチコックが厳選した17編が詰まっています。
キレがあってテンポ良く、サクサクと読めてしまえるのが魅力の本作です。
『クリスマス・プレゼント』同様、どんでん返しや絶妙なオチがとにかく秀逸! 気持ちよく騙されたい方におすすめですよ。
話を聞いただけで事件解決!?
『ママは何でも知っている』
『ママは何でも知っている』
ジェームズ・ヤッフェ(著)、早川書房
安楽椅子探偵ものの名作短編集がこちら。
実家に帰ってきた刑事のデイビッドから、いつも事件の話を聞きたがるママ。警察を悩ませる難事件を、話を聞いただけでいとも簡単に解決してしまいます!
ママと一緒に事件について考えながら読むと、より物語を楽しむことができますよ。少し懐かしいアメリカの生活や雰囲気も一緒に味わってみてはいかがでしょうか?
デイビッドとママの軽快なやり取りにも注目ですよ。
短編ミステリー集はトリックを味わいつくすお得な1冊
「ミステリーのトリックは考えつくされたのではないか」という論評があります。
ミステリー作家は、古今東西の他の作品のトリックが存在することを前提に、新たな作品を創作するわけです。
『5分間ミステリー』の新保博久さんが言うとおり、新たなトリックを発明することはそう簡単なことではないでしょう。
今回あげたような短編ミステリーは、気楽に読めるということに加えて、ミステリーのトリックやパターンを一度にたくさん知ることができるということもその魅力のひとつです!
ぜひ一度手に取ってみてくださいね。
【関連記事】気軽にミステリーを楽しめる! ライトミステリーのおすすめ5選
ミステリーはもちろん、日本・海外の文学小説などの短編を集めてみました!