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暗号解読ミステリーの傑作小説|あなたはこの暗号が解けるか?


みなさん、暗号の解読はお好きですか?

最近はクイズ番組などでも暗号解読問題が出題されることも多く、解けたときの爽快感にハマる方も多いのではないでしょうか。

 

暗号解読ミステリーとはその名の通り、暗号を解読することで事件や問題を解決に導くミステリー小説のこと。ミステリー小説の中でも本格的な謎解きを楽しむことができるジャンルです。

ここでは、暗号解読ミステリーのジャンルの中でも特に有名な作品をご紹介します。

作品の主人公たちと一緒に、暗号を解きながら読んでみてはいかがでしょうか?

 

超大作ベストセラー
『ダ・ヴィンチ・コード』

『ダ・ヴィンチ・コード』表紙

ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン(著)、越前敏弥(訳)
角川書店

~あらすじ~

ルーブル美術館の館長が殺害された。その死体はウィトルウィウス的人体図を模した形で発見され、周囲には不可解な暗号が残されていた。

大学教授のラングドンは、容疑者と疑われ逮捕されそうになるが、館長の娘であり暗号解読者のソフィーに助けられる。

フランス警察に追われながらも暗号解読に挑むふたりだったが、事件には驚愕の真実が……。

 

本作は、『天使と悪魔』に次ぐシリーズの第二作目にあたります。
大ベストセラーとなった作品なので、タイトルは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

2006年には、トム・ハンクス氏やオドレイ・トトゥ氏が出演した映画も話題になりました。文庫版で上中下巻に及ぶ大作ですが、サクサクと読めてしまうはずです!

映画では少し分かりにくかった箇所も、小説ではしっかり描写されています。まだ小説を読んでいない方は、ぜひ読んでみてくださいね。

 

膨大な知識量に、圧巻の暗号
『涙香迷宮』

『涙香迷宮』表紙

涙香迷宮
竹本健治(著)、講談社

~あらすじ~

とある老舗旅館で殺人事件が発生。天才囲碁棋士の牧場が事件の謎を追っていると、明治時代の作家でジャーナリスト・黒岩涙香の山荘にたどり着いた。
そこには黒岩が残したと思われる、いろは歌の暗号が。

IQ208を持つ牧場は、はたして暗号と殺人事件の真相を解明できるのか……。

 

若き天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役とするシリーズ作品。

本作は、「このミステリーがすごい!2017年版」の国内編で、見事第1位に輝いた作品です。
単行本の帯に「これぞ暗号解読ミステリの最高峰!」と書かれている通り、非常に難解な暗号が読者を待ち受けます。

一度読めば、その膨大な知識量と暗号の難解さに、作者が相当な労力を費やしたことがうかがえることでしょう。ちなみに黒岩涙香は、明治時代に実在した人物なんです!

その暗号は、とにかく「難解」という一言に尽きます。ぜひ挑戦してみてください。

 

探偵小説家江戸川乱歩の処女作
『二銭銅貨』

「江戸川乱歩日本探偵小説全集(2)」表紙

江戸川乱歩日本探偵小説全集(2)」より『二銭銅貨』
江戸川乱歩(著)、東京創元社

~あらすじ~

電機会社の工場に新聞記者に変装した「紳士泥坊」が侵入し、5万円の入った給料袋を盗みだした。その後紳士泥坊は捕まるが、給料袋のありかについては白状しない。

懸賞金のかかったこの事件に興味を持っていた「私」と友人の松村。

ある日、「私」が煙草屋でお釣りとして受け取った二銭銅貨を見た松村が何かに気付き、一人で捜査を開始するのだが……。

 

本作は、ミステリー小説の第一人者である江戸川乱歩の、探偵小説家としての処女作でもあります。

大学時代、暗号の歴史を調べていたほど暗号に興味を持っていたという乱歩。

乱歩がアメリカの小説家であるエドガー・アラン・ポーを敬愛していたこともあり、本作を読むとポーの代表作『黄金虫』の影響を受けたことが分かるはずです。ぜひあわせて読んでみてくださいね。

 

虫を書いたスケッチに……。
『黄金虫』

『モルグ街の殺人・黄金虫』表紙

黄金虫
エドガー・アラン・ポー(著)、新潮社ほか

~あらすじ~

ある日、散歩中に新種の黄金虫を見つけたというルグランの元を訪れた「私」。

その虫は今手元にないがスケッチならあると、ルグランは「私」にその虫のスケッチを見せた。すると「私」がそのスケッチを見ている間に、ルグランの様子が徐々に変わっていき……。

 

暗号の書かれた羊皮紙に気付いたルグランが、財宝を探し当てるまでの冒険小説。
アメリカの小説家・詩人であるエドガー・アラン・ポーによる短編小説で、暗号を用いた最初の推理小説とされています。

この作品でポーは、1843年に開催された「フィラデルフィア・ダラー・ニュースペーパー」の懸賞で最優秀賞を獲得しました。

暗号の内容が比較的シンプルなので、勘の鋭い人なら解読できるかもしれません。

 

2つの時代が交錯!
『クリプトノミコン』

『クリプトノミコン』表紙

クリプトノミコン
ニール・スティーヴンスン(著)、中原尚哉(訳)
早川書房

~あらすじ~

第二次世界大戦の前夜、学生のローレンスはイギリス人留学生で天才数学者のチューリングと出会う。やがて彼らは、戦争の行く末を左右する暗号戦の最前線に立たされ戦うことに……。

それから半世紀後、ローレンスの孫であるランディもまたインターネット技術者として暗号に関わっていた。
そして、いつの間にか大戦と関わりのある策略にランディは巻き込まれていき……。

 

ニール・スティーヴンスンは、エドガー・アラン・ポーが取り入れた暗号を、次の段階に発展させたといわれている作家です。

物語は暗号を巡って、第二次世界大戦中と現代のパートが並行して進んでいきます。

2つの話が絡み合い、どこに向かうのかドキドキしながら楽しめますよ。特に数学や物理に興味のある方なら、より暗号解読を楽しめるでしょう。

 

じっくり考えながら暗号解読を楽しもう

暗号解読ミステリー小説を5作品ご紹介しました。

19世紀の小説もありますが、現在でも色褪せぬ名作となっており、暗号解読の面白さを十分に堪能できます。

もし暗号解読に挑戦するなら、読み急がずにじっくり腰を据えて読んでみることをおすすめします。
非常に難解な暗号もありますが、少しでも真実に近づけると嬉しいものですよ。

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