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推理小説の最高峰!「日本推理作家協会賞」受賞作最新4選


「その年に発表された推理小説の中で最も優れた作品」に与えられる「日本推理作家協会賞」。

その歴史は長く、第1回(1948年)に、横溝正史さんの「本陣殺人事件」が受賞してから、2017年で70回目。

日本推理作家協会賞は、日本の推理小説というジャンルにおいて、最も権威が高い作品とされています。

 

例として、これまでの受賞作を見てみましょう。

・松本清張さん『顔』

・小松左京さん『日本沈没』

・綾辻行人さん『時計館の殺人』

・宮部みゆきさん『龍は眠る』

・中島らもさん『ガダラの豚』

・桐生夏生さん『OUT』

・東野圭吾さん『秘密』

 

一度は名前を聞いたことがある作品ばかりではないでしょうか?

 

まさしく、日本を代表する推理小説たちが揃った『日本推理作家協会賞』。

今回のコラムでは、この中から最新の4冊をピックアップし、その魅力を語っていきたいと思います。

 

 

第70回(2017年)受賞作
宇佐美まこと『者の毒』

『者の毒』
宇佐美まこと(著)、祥伝社

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!(表紙裏)

 

「戦慄すべき悪、荒みきった人間を容赦なく描ききった衝撃作」。

借金を苦に、心中した妹が遺した子ども・達也を引き取った主人公の葉子。ほどなくして自分の母も亡くなり、達也と2人きりになってしまった葉子が、借金取りから逃れようとしますが……。

この作品の読みどころは、

・極限まで追い詰められた女たちの心理描写(読者に迫りくるほどの現実味があります)

・奈落の底へ突き落とされた女たちの悲壮感と悲哀(背筋が凍ります)

・ミステリとしての仕掛け、伏線回収(圧巻としか言いようがありません)

この3点ではないでしょうか。

解説も秀逸なので、是非一緒にお読みくださいね。

 

 

第69回(2016年)受賞作
柚月裕子『孤狼の血』

『孤狼の血』
柚月裕子(著)、KADOKAWA

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。飢えた狼のごとく強引に違法捜査を繰り返す大上に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが…。正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。(表紙裏)

 

直木賞ノミネート作、このミス3位としても知られる話題作。

作者の柚月さんは「仁義なき戦い」の大ファンであり、触発されて本書を書いたと発言していますが、この作品、とにかく熱い作品なんですね。

読みどころは、個人的には以下の3点です。

・広島弁のヤクザと警察の、緊張感&迫力満点の人間ドラマであること(この熱気は他の作品ではなかなか味わえません)

・社会派小説の要素も強い(ヤクザの存在意義とは、「正義」とは何かを問う)

・クライマックスにかけての盛り上がり(なるほど…という言葉がつい漏れてしまいました)

2018年春には、役所広司さん主演で映画化も決定されています。ぜひ先取り感覚で読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

第68回(2015年)受賞作
早見和真『イノセント・デイズ』

『イノセント・デイズ』
早見和真(著)、新潮社

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。(表紙裏)

 

「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました…」というキャッチフレーズが印象的なこの作品。

たしかに…とてつもなく衝撃的な作品でした。

個人的な読みどころとしては…

・固定概念を覆すような問題提起を投げかけている(「悪」とは何か?もしその「悪」が誰かに利用された結果の「悪」だとしたら……?)

・マスコミの偏向報道、捏造を問題視した社会派小説である(真実とはいったいどこにあるのでしょうか?)

・読んだことのないような結末(読み終わった後は、様々な思いが胸を駆け巡ります)

解説は辻村深月さん。辻村さんの考察により気づいたこともあり、一冊で二度美味しい作品となっています。

 

 

第68回(2015年)受賞作
月村了衛『土漠の花』

『土漠の花』
月村了衛(著)、幻冬舎

ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか?一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!(表紙裏)

 

草野満代さんいわく「平和ボケで想像力の萎んだ私達日本人全員が読むべき作品」。面白さのあまりつい一気読みしてしまう一冊に仕上がっています。

秋元康さんは、本書を読み始めたら止まらなくなって、打ち合わせを二つキャンセルしてしまったのだとか!

読みどころは

・集団的自衛権など、現在の日本に生きているからこそ知っておきたい内容が描かれている(「自衛隊は何を守るために戦うのか?」「自衛官は人を殺せるのか?」)

・『熱い男泣き小説』である(男たちの絆と献身が描かれていて、号泣必至です)

・総合エンターテイメント小説(単なる社会派小説に留まらず、ロマンスや冒険小説の要素も高いです)

ぜひとも本書を読んで、今後の日本に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

 

 

『日本推理作家協会賞』受賞作を読んでみよう

クオリティーの高さは間違いなしの『日本推理作家協会賞』受賞作。興味のある作品はぜひ先取り感覚で手に取ってみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍

■『者の毒』宇佐美まこと(著)、祥伝社

■『孤狼の血』柚月裕子(著)、KADOKAWA

■『イノセント・デイズ』早見和真(著)、新潮社

■『土漠の花』月村了衛(著)、幻冬舎

 

全世界でブームとなっている「北欧ミステリー」に贈る文学賞もあるんですよ。

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。