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北欧ミステリーの権威・読んでおきたい「ガラスの鍵賞」受賞作品たち


全世界でブームとなっている『北欧ミステリー』。作品によっては30ヶ国語以上もの言語に翻訳されており、1000万部を超えるベストセラー作品を何作も生み出しています。いまや、北欧ミステリーは、ミステリーを語るうえでは避けて通れないジャンルと言えるでしょう。

今回のコラムでは、北欧ミステリーの魅力と、北欧ミステリーを代表する4作品を紹介したいと思います。4作品とも全世界で500万部~数千万部以上を売り上げる大ヒット作品ですので、一度手に取ってみてはいかがでしょう?

 

北欧ミステリーの魅力

なんといっても、北欧ミステリーの一番の魅力は、さまざまな社会問題に切り込む特性が特に強いところではないでしょうか。

そもそも、国家におけるミステリーの立ち位置が違うのです。日本ではミステリー=娯楽の一環と考える人が多いと思います。ですが、北欧諸国にとってのミステリーは、作家たちが社会批判をするための表現方法なのです。それは、ミステリーを好む読者が多いという、北欧諸国ならではの国民性も影響しています。

 

北欧諸国で最も権威のある文学賞は『ガラスの鍵賞』。北欧5ヶ国(アイスランド・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェー)のミステリーの中で最も優秀な1作品が選ばれます。

ガラスの鍵賞を受賞した作品は、次々と世界中で翻訳されてはヒットを飛ばしていることからも、その質の高さが伺えます。

ちなみに、今回ご紹介する4作品はすべてガラスの鍵賞受賞作となります。

 

北欧ミステリーブームの火付け役!

ミレニアム

『ミレニアム』
スティーグ・ラーソン(著)、早川書房

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。(ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 表紙裏)

 

北欧ミステリーのブームを巻き起こした金字塔的作品。30ヶ国以上で翻訳され、累計8000万部以上という驚異的な売上部数を誇るベストセラー。この作品が大ヒットしたのをきっかけに、北欧ミステリーのブームが巻き起こりました。

現在日本で発売されているのは、シリーズ3部作+(ラーソン氏死後)ダヴィド・ラーゲルクランツ氏による1作の計4作品。

ページをめくる手が止まらないエキサイティングなストーリー展開(次々と事件が発生するのです)、知的好奇心をこれでもかとくすぐる衒学趣味。ハラハラドキドキをこれでもかというほど堪能したい!という方にオススメです。

 

クセになるミステリー作品

特捜部Q

『特捜部Q』
ユッシ・エーズラ・オールスン(著)、早川書房

捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率を命じられた。とはいってもオフィスは窓もない地下室、部下はシリア系の変人アサドの一人だけだったが。未解決の重大事件を専門に扱う「特捜部Q」は、こうして誕生した。まずは自殺と片付けられていた女性議員失踪事件の再調査に着手したが、次々と驚きの新事実が明らかに!デンマーク発の警察小説シリーズ第一弾。(特捜部Q 檻の中の女 表紙裏)

 

累計1000万部以上を売り上げたヒット作品。こちらも北欧諸国では絶大な人気を誇るシリーズであり、日本では現在6作品が発売されています。

変わり者揃いの特捜部Qの面々と、重く陰鬱な事件のギャップが、癖になる作品です。

常に何かがずれているキャラクターたち。優秀なのにコピーをどう取るか知らなかったり、変な味のお茶を淹れたり……警察小説といえばお堅いイメージが強いジャンルですが、本書はウィットに富んだ妙な会話シーンが多く、肩肘張らずに楽しむことができますよ。

 

勇気を持って、読んで欲しい作品

緑衣の女

『緑衣の女』
アーナルデュル・インドリダソン(著)、東京創元社

男の子が拾った人間の骨は、最近埋められたものではなかった。発見現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。(表紙裏)

 

累計1000万部を突破したヒット作品。作者・アーナルデュル・インドリダソン氏は、なんと本作で史上初・ガラスの鍵賞二連覇を達成しました。なんと2年連続の受賞です。

日本でいういわゆるイヤミス。DV(ドメスティック・バイオレンス)が本書のテーマとなっており、読むのがつらいシーンも多々ありました。しかし、訳者あとがきいわく、作者は「DVの真実を知ってほしい」という名目で本書を書いたのだそう。

なお、本書は警察の聞き込みで事実が明らかになっていく形を取っています。ぞっとする真実に向き合う勇気のある方はぜひ読んでみてくださいね。

 

死刑制度について、考えさせられる作品

制裁

『制裁』
アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム(著)
早川書房

凶悪な少女連続殺人犯が護送中に脱走した。市警のベテラン、グレーンス警部は懸命にその行方を追う。一方テレビでその報道を見た作家フレドリックは凄まじい衝撃を受けていた。見覚えがある。この男は今日、愛娘の通う保育園にいた。彼は祈るように我が子のもとへ急ぐが…。悲劇は繰り返されてしまうのか?著者デビュー作にして北欧ミステリ最高の「ガラスの鍵」賞を受賞。世界累計500万部を超える人気シリーズ第1作。(表紙裏)

 

累計500万部を超える人気シリーズ。グレーンス警部&スンドクヴィスト警部補シリーズとして、日本では現在5作品が発売されています。

テーマは死刑制度。本書で描かれる国・スウェーデンでは、死刑制度がありません。また模範囚であれば、数十年後には出所できます。たとえ改心していなくても……。

本書の犯人は、幼女暴行殺人を繰り返す凶悪犯。死刑制度で裁けないのなら、自らの手で犯人を殺してやりたいと思う被害者の気持ち。被害者の行動をめぐる世論、司法という立場から見た捉え方……日本にはない倫理観や価値観は大変勉強になりますし、本書を機に改めて死刑制度について考えてみるのもいいかもしれませんね。

 

社会問題を色濃く描いた北欧ミステリー

今回のコラムでは代表的な北欧ミステリー作品を紹介しました。エンターテイメントを超えた面白さを堪能してくださいね。

 


今回ご紹介した作品

ミレニアム
スティーグ・ラーソン(著)、早川書房

特捜部Q
ユッシ・エーズラ・オールスン(著)、早川書房

緑衣の女
アーナルデュル・インドリダソン(著)、東京創元社

制裁
アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム(著)、早川書房


日本と海外の文学・ミステリー作品を読むならぜひ参考にしてみて!

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。