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東野圭吾『片想い』あらすじ・内容|ジェンダーと友情を描く傑作ミステリー。


更新日:2017/8/9

『片想い』表紙

片想い
東野圭吾(著)、文藝春秋

『片想い』あらすじ

主人公の哲郎は、大学時代のアメフト部の飲み会の後、10年ぶりに会った元マネージャーの美月から、彼女が性同一性障害であること、そしてある人物を殺したことを告白される。
かつての仲間を救うため、哲郎と友人たちは奔走するのだが……。

 

ジェンダーと友情を描くミステリー小説

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東野圭吾さんの『片想い』は2001年に刊行され、第125回直木三十五賞にノミネートされました。

現在ではジェンダーについて活発に議論ができる時代になっていますが、当時は「性同一性障害」というテーマはまだまだ一般的に認知度が低く、そうした人々のリアルを克明に、ミステリーを交えて描いた本作は反響を呼びました。

他にも「半陰陽」、「同性愛」といった、性に関することで苦悩する人々が登場します。人と違うことを批判することなく、マイノリティである彼らに寄り添うように物語は展開していきます。

 

最初は美月の変貌に驚き、戸惑いながらも、次第に受け入れていく哲郎の言動に、東野さんの「こうあるべき」という思いが込められているようにも感じます。

ありのままの姿で幸せに生きられない、性差の違和感がメビウス状態になってもがいている彼らは、世間には理解されづらいです。それはどんなに辛いことでしょうか。

世の中には白か黒かでは判断できないこともあります。この小説では、世間の理解がどんなに大事かということを教えてくれているようです。

ジェンダー、友情や絆、事件の解明など、東野圭吾さんが得意とするミステリー、スポーツ、社会問題の提起がひとつになった作品であるといえます。

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今回ご紹介した書籍

片想い
東野圭吾(著)、文藝春秋

 

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