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驚きのどんでん返しが楽しめるミステリー小説|あなたもきっと騙される!


更新日:2019/1/9

驚きの どんでん返し が楽しめるミステリー小説

昨今のミステリー界において欠かせない「どんでん返し」

張り巡らされた多くの伏線、想像もつかない展開、衝撃の結末……鳥肌がたつようなゾワっとした感覚を求めてミステリーを読む人は多いのではないでしょうか。

 

今回のテーマは「どんでん返し」が秀逸なミステリー。
なかでも、知る人ぞ知るミステリー作家の作品、大御所の作家の作品とを分けてご紹介します。

ぜひ、怒涛の「どんでん返し」に絶句してください。

※「どんでん返し」の作品だと分かるだけでも大きなネタバレになります。ご注意ください。

 

 

現役の内科医が書いた本格ミステリー
『仮面病棟』

『仮面病棟』表紙

仮面病棟
知念実希人(著)、実業之日本社

強盗犯により密室と化す病院 息詰まる心理戦の幕が開く!

療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス”。著者初の文庫書き下ろし!(文庫裏)

 

人気シリーズ第1作。

医療小説といえば、難解でとっつきにくいと考えている人も少なくないはず。
ですが、知念さんの描く作品はなんといってもわかりやすく、読みやすい。ライトノベルのような軽快なタッチは、読み手をグイグイ引き寄せて行きます。

しかも、知念さんは現役の内科医。医者目線での専門的見解のもと執筆されているので、単なるエンターテイメントではない点も魅力です。

気に入った方は続編の『時限病棟』もぜひご覧ください。

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ミステリ界の奇才が描くパラレルワールドとは?
『ifの悲劇』

『ifの悲劇』表紙

ifの悲劇
浦賀和宏(著)、KADOKAWA

小説家の加納は、愛する妹の自殺に疑惑を感じていた。やがて妹の婚約者だった奥津の浮気が原因だと突き止め、奥津を呼び出して殺害。しかし偽装工作を終え戻る途中、加納の運転する車の目の前に男性が現れて…。ここから物語はふたつに分岐していく。A.男性を轢き殺してしまった場合、B.間一髪、男性を轢かずに済んだ場合。ふたつのパラレルワールドが鮮やかにひとつに結びつくとき、予測不能な衝撃の真実が明らかになる!(文庫裏)

 

人喰い作家(人を喰う小説を多く書いているため)として知られ、「ミステリ界の奇才」と評される浦賀和宏さんの作品。
経歴はほとんど明かされておらず、その謎めいたところが好きだという読者も多いようです。

「絶対にだまされる!」というキャッチフレーズが売りのこの作品ですが、絶対にだまされないぞと思って読んだところ……どんでん返しにはやはり撃沈しました。

パラレルワールドものが好きな方に強くおすすめです。

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元お笑い芸人ならではのミステリ大賞受賞作
『神様の裏の顔』

『神様の裏の顔』表紙

神様の裏の顔
藤崎翔(著)、KADOKAWA

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。…のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞“大賞”受賞の衝撃ミステリ!(文庫裏)

 

第34回横溝正史ミステリ大賞「大賞」受賞作。

有栖川有栖さん、恩田陸さん、黒川博行さん、道尾秀介さんという錚々たる選考委員において満場一致だったという驚愕の作品です。

「くすっと笑わせる絶妙なユーモアのセンスがあり、サービス精神に溢れている(恩田さん)」、「お笑い芸人として活動していらした経験からなのか、語り口が非常に愉快で、ユーモアのセンスは見習いたいほどだった(道尾さん)」という選評からもわかるように、とにかくユーモアに溢れた作品です。

そして、どんでん返しも秀逸。ぜひ読んでほしい作品です。

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イヤミス好きにもおすすめしたい!
『出版禁止』

『出版禁止』表紙

出版禁止
長江俊和(著)、 新潮社

著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー。(文庫裏)

 

作者の長江さんは、もともとホラーやサスペンスを得意とするテレビディレクター。カルト的人気を誇った番組『放送禁止』(フジテレビ)の企画・脚本・監督も担当されていたのだとか。

本書は、そんな経歴を持つ長江さんが架空の事件をルポルタージュするという構成となっています。
読んでいると、ノンフィクションのように思えてくるため、途中恐怖のあまり読み進めることができなくなりました……。

謎が謎を呼ぶ、スリリングで怖い作品ですので、イヤミス好きな方ならきっと気に入っていただける一冊です。

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恐怖の殺人鬼、それは……。
『連続殺人鬼 カエル男』

『連続殺人鬼 カエル男』表紙

連続殺人鬼 カエル男
中山七里(著)、宝島社

とある街で猟奇殺人事件が発生した。
死体はマンションの13階からフックによってつるされた全裸の女性。そんな死体の近くには、子供が書いたような平仮名だけを使った稚拙な犯行声明文があった。

その後、第2、第3の猟奇殺人が起きる。とある記者は、世間をパニックに陥れる犯人に「カエル男」の名を与え……。

 

本作は、「このミステリーがすごい!大賞」で最終候補まで残った作品。猟奇殺人を扱ったサスペンス感の強いミステリーになっています。

終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しは見応え十分で、最後まで目が離せません。さらに本作は、犯人の責任能力を問う刑法第39条が強く関わる社会派ミステリーの一面も持っています。

ミステリーとしても面白く、さらに考えさせられるような作品となっています。

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4人の作家が奇妙な館で……。
『迷路館の殺人』

『迷路館の殺人』表紙

迷路館の殺人
綾辻行人(著)、講談社

推理作家界の巨匠・宮垣葉太郎によって、新進気鋭の4人の作家が「迷路館」という奇妙な館に集められた。
時間になっても現れない宮垣だったが、彼の秘書から「宮垣は自殺した」と告げられる。

彼が生前遺していたカセット・テープには、「迷路館を舞台にした小説を書いてほしい」「一番できのいい作品を書いた者に遺産の半分を渡す」との声が。
4人は小説を書き始めるが……。

 

本作は「館シリーズ」第3弾。
「館シリーズ」は、『十角館の殺人』や『時計館の殺人』など、どんでん返しや意外な結末が用意された作品が多く、本作にも大きなどんでん返しが待っています。

張り巡らされた伏線が回収され、いくつもの仕掛けが次々と明かされていく終盤の展開は圧巻の一言。本作はエピローグの最後の一文まで、目が離せない傑作となっています。

ちなみに本作はシリーズ作品ですが、『迷路館の殺人』はこれだけで独立した事件になっているため、この巻から読んでも問題ありません。

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盲目の女と、殺人犯の男の奇妙な生活……。
『暗いところで待ち合わせ』

『暗いところで待ち合わせ』表紙

暗いところで待ち合わせ
乙一(著)、幻冬舎

殺人容疑をかけられ警察に追われていたアキヒロは、目の見えないミチルという女が1人で住まう家に潜伏。
一方「自分の家に誰かがいる」と、アキヒロの気配を感じていたミチルだが、そのまま気がつかないふりを続けていた。

こうして盲目の女と、殺人の容疑者である男の奇妙な同棲生活が始まるのだった。

 

女の目が見えないのをいいことに、殺人の容疑者である男が無断で女性宅に潜伏する――こういった筋書きを見ると、これから一体どんなひどいことが起きるのかと思う方もいるでしょう。

しかし本作は、そういった作品ではありません。2人の中に、次第に絆のようなものが芽生えていくのですが……。

終盤に、あっと驚くどんでん返しが用意されています。非常に読み応えのある作品ですよ。

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楽しいはずのキャンプが……。
『殺人鬼』

『殺人鬼』表紙

殺人鬼
綾辻行人(著)、新潮社ほか

「TCメンバーズ」は中学生から大人までが所属する親睦団体。そんなTCメンバーズの一行が、双葉山へキャンプにやってきた。

しかし楽しいはずのキャンプは、双葉山の殺人鬼によって血みどろの惨劇と化す。1人、また1人と殺されていき……。

 

本作はスプラッタホラー小説。その様を克明に描写するため、かなりグロテスクな作品となっています。
グロい作品が苦手な方にはとてもお勧めできません……。

ただ、そういったグロテスクな描写だけで終わらないのが本作です。
終盤には綾辻行人さんらしいあっと驚く仕掛けが用意されており、そこで描かれるどんでん返しには思わずうなるはず。

グロテスクな作品に免疫のある方にはぜひ手に取ってほしい作品です。

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「 どんでん返し 」を楽しんで!

どんでん返しが魅力的な作品をご紹介しました。

今回は取り上げませんでしたが、直木賞作家の道尾秀介さんや叙述トリック作品を多く発表する折原一さんもどんでん返しを得意としています。合わせてぜひ。

みなさん、「驚愕のどんでん返し」に絶句してくださいね。

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