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読んでおきたい! 人気ミステリー作家の処女作5選


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処女作とは、作家がはじめて世に発表した作品のことです。新人賞を受賞したデビュー作を指す場合もありますが、一般的には本として出版されたものを指します。ここでは、ミステリー作家として活躍している人気作家5人の、最初に出版された処女作を紹介します。

 

ただでは終わらない仕掛けが満載『放課後』/東野圭吾

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1985年に、江戸川乱歩賞を受賞した学園ミステリー『放課後』の舞台は、名門と呼ばれる私立女子校です。主人公の前島は、数学の教師兼アーチェリー部の顧問として勤務しています。
成り行きで教師になっただけの前島は、生徒とも積極的に関わろうとはしない、「マシン」とアダ名される存在です。そんな前島は誰かに生命を狙われていると感じています。
そんなある日、同僚の教師が密室の更衣室で、毒殺されます。続いて、また一人。彼らは自分の身代わりで殺されたのではないだろうか?次こそ自分が殺される番に違いない、と恐れる前島は自分で犯人を探そうと決意します。

 

密室殺人で始まるこの作品は、散りばめられる伏線や最後に集約されていく謎解きなど、推理小説の定石を踏まえつつ、それだけでは終わらない仕掛けに醍醐味があります。
さすが、推理小説の登竜門・江戸川乱歩賞を受賞した作品といえるでしょう。それに加えて魅力なのが、東野圭吾さんならではの女性描写。
アーチェリー部の部員、問題児と呼ばれる女生徒、優等生、小悪魔的な同僚教師、前島の妻など、それぞれに思惑を抱える女性心理が、魅力的かつ危うげに描かれています。特に、思春期の少女の感性こそが作品の根幹です。事件の本質に女性心理が伺えるのは、後の名作「白夜行」などにも繋がる東野圭吾さんの原点といえるのではないでしょうか。

■『放課後』東野圭吾(講談社)
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テンポ良く読みやすい、すぐに引き込まれていく『パーフェクト・ブルー』/宮部みゆき

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「鮎川哲也と十三の謎」の第5回配本として出版されたのが、長編ミステリー小説『パーフェクト・ブルー』です。

事件の発端は、高校野球界のスーパースター「諸岡克彦」が、ガソリンを全身にかけられて焼死したこと。
さらに、翌日には克彦の元チームメイトが遺書を残して死亡しているのが発見されます。克彦の弟進也と蓮見探偵事務所の調査員・加代子は、その真相究明に乗り出すのですが・・・。事件の背景に浮かび上がる製薬会社の存在、鍵を握ると考えられていた男の死と、事件は混迷を深めていきます。

 

元警察犬マサをストーリーテラーに、物語はテンポよく進んでいきます。事件は残酷で複雑に絡んでいますが、登場するキャラクターの親しみやすさから、本を読み慣れない人でもすぐに引き込まれてしまうでしょう。
軽妙で読みやすい文章なのに事件は陰惨で残酷、次々に生まれる死体、背景にある社会的な警鐘、予定調和で終わらない結末など、宮部みゆきさんらしさはてんこ盛りです。登場人物は多いですが、一人ひとりに注意を向けて読んで欲しい作品です。

■『パーフェクト・ブルー』宮部みゆき(東京創元社)
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ミステリー界に1ジャンルを築く『告白』/湊かなえ

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第6回本屋大賞も受賞した『告白』の舞台は、3学期の終業式の日、市立S中学校1年B組の教室。担任・森口悠子の告白で始まります。
数カ月前、学校のプールで自分の愛娘が亡くなったのは事故ではなく、殺害されたのだということ。その犯人はこのクラスの少年「A」と「B」であること。そのことを警察に言うつもりはないが、すでに復讐を仕掛けたということ。それは二人が飲んだ牛乳に、HIV患者である自分の夫の血液を混入させていたということです。そして森口は学校を去ったのでした。
しかし、森口の復讐はこれで終わりではありません。その後の少年たちの運命がどうなっていくのか、森口が少年たちをどこまでも追い詰めていく、心理サスペンスです。

 

処女作「告白」が本屋大賞を受賞すると、湊かなえさんは「イヤミスの女王」として、一躍脚光を浴びました。「イヤミス」とは「嫌なミステリー」「後味の悪いミステリー」という意味ですが、湊かなえさんはこの作品でミステリー界に1ジャンルを築くことになったのです。なぜ、こんなに読後感が悪いのに、湊かなえさんの作品に惹きつけられてしまうのか、まずは読んで感じてみることをおすすめします。

■『告白』湊かなえ(双葉社)
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独自の警察小説『陰の季節』/横山秀夫

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第5回松本清張賞を受賞した「陰の季節」。表題作をはじめ、「地の声」「黒い線」「鞄」の4つの短編が収録されています。

D県警で人事を担当している二渡真治警視は、天下り先である社団法人を任期が過ぎても辞めないと言い出した尾坂部の真意を探ることになりました。二渡は、尾坂部が退任しない理由に、彼のキャリアに残る数少ない未解決事件が関係しているのでは?と考えます。そしてその事件には、もうすぐ結婚式を迎える彼の娘が関係していることに思い至るのです。果たして、尾坂部の真意とは?

 

『陰の季節』は刑事事件ものではなく、警察内部に起こった事件や出来事を描くという独自の警察小説「D県警シリーズ」の第一弾です。血なまぐさい殺人事件や派手なアクションはありませんが、警察の内部事情や人間性がしっかりと描かれ、推理小説という面からも正統派の作品でしょう。「D県警シリーズ」はテレビドラマ化もされていて、ファンに愛されるシリーズです。

■『陰の季節』横山秀夫(文藝春秋)
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ミステリーというものの解釈さえ変えてしまう『オーデュボンの祈り』/伊坂幸太郎

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『オーデュボンの祈り』は、2000年に新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しました。

コンビニ強盗に失敗し、警察から逃げていた伊藤は目を覚ました時、見知らぬ島にいました。江戸時代から外部との交流を持たないというこの島は、不可思議で不条理に満ちた島です。人の言葉を操り、未来が見えるというカカシ・優午。嘘しか言わない画家、島の規律として殺人が許された男・桜。ある日、カカシが無残にもバラバラになって殺されます。果たして、犯人は誰なのでしょうか?そして、なぜ未来が見えるカカシは自分の死を予言できなかったのでしょうか?

 

伊坂幸太郎さんの作品は、軽妙な語り口、魅力的な登場人物、散りばめられた伏線とラストでの見事な収束などが高く評価されています。
また、伊坂幸太郎さんの作品では登場人物が他の作品にも度々登場しており、作品がリンクしているのも楽しみな点です。処女作『オーデュボンの祈り』も例外ではなく、後の作品でも再会できる登場人物は少なくありません。
『オーデュボンの祈り』は、カカシ殺人事件の真相解明を軸に展開していきます。そして、伊藤がたどり着く真実に、読者は驚かされるのではないでしょうか。「ミステリー」というものの解釈さえ変えてしまう、伊坂幸太郎の発想力に驚かされる処女作です。

■『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎(新潮社)
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まとめ

ベストセラー作家は、処女作の時にすでに、完成された世界を確立しているのですね。どの作品も後の作品と比べて劣ることなく、原点として読み継がれる作品です。もし、好きな作家や読んだことのない作家がいたら、まずは処女作から読んでみませんか。


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ライター

ワカシマ
ワカシマ
ミステリー小説、マンガ好きな30代主婦です。一度読みだすと、結末が早く知りたくて、一気に読んでしまいます。本を読んでいる時の集中力はハンパないです。