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個性的な銀行強盗4人組が大活躍! 伊坂幸太郎「陽気なギャング」シリーズの魅力


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現実なのかファンタジーなのか分からない不思議な世界観を持ち、魅力あふれるキャラクターたちが活躍するエンターテイメント小説を多数発表している伊坂幸太郎さん。

中でも「陽気なギャング」シリーズは、一風変わった能力を持つ4人組の銀行強盗が活躍する、異色のサスペンス・シリーズです。

今回はこの「陽気なギャング」シリーズの魅力をお伝えします。

「陽気なギャング」シリーズ作品 伊坂幸太郎/著(祥伝社)

1作目『陽気なギャングが地球を回す
2作目『陽気なギャングの日常と襲撃
3作目『陽気なギャングは三つ数えろ

 

「陽気なギャング」シリーズとは?

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逃走車に3人乗るのも4人乗るのも同じならば、4人のほうがよい。5人だと窮屈だ。

というわけで銀行強盗は4人いる。

(「陽気なギャングが地球を回す」p.6)

「陽気なギャング」シリーズは、4人組の銀行強盗がさまざまな事件に巻き込まれていく物語を描いた長編サスペンスで、「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」「陽気なギャングは三つ数えろ」の3作品が出版されています。

「陽気なギャングが地球を回す」は実写映画化もされ、銀行強盗4人組を大沢たかおさん、佐藤浩市さん、松田翔太さん、鈴木京香さんが演じました。

シリーズ各作品はそれぞれ単品としても読めますが、出版順に読んでいったほうが4人の関係性がわかりやすいかもしれません。

 

変わった能力を持つキャラクターが最大の魅力

「陽気なギャング」シリーズの最大の魅力は、それぞれがちょっと変わった能力を持っている4人のキャラクターです。

4人のリーダーである成瀬は、沈着冷静で決断力のある男性。そして、人の嘘を見抜くことができるという能力を持っています。彼の能力は「人間嘘発見器」とも呼ばれています。

響野は、喫茶店を営む、演説が大好きな男。成瀬とは正反対に、「いつも嘘を言っている」タイプの人間です。

久遠はスリの天才で、相手に気づかれないうちに財布や持ち物をすっていくことができます。動物が好きで、人間より動物を愛しているようでもあります。

そして紅一点の雪子は、時間を秒単位で正確に測れる体内時計を持っています。信号から信号の間を走るのに何秒かかるか、正確に把握することができます。

それぞれの能力をいかした強盗の手口は鮮やかなもの。「人をなるべく傷つけない」というポリシーのもと、颯爽と強盗していきます。

響野が演説をして人の注意を引きつけている間に、成瀬と久遠が金を奪い、雪子が正確なスピードで走らせる車で逃走する——それぞれの能力をいかした連携プレーがお見事です。

 

各作品のあらすじは?

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シリーズの各作品では、この銀行強盗4人組が、いろいろな事件に巻き込まれ、解決していく姿を描いています。


■『陽気なギャングが地球を回す

銀行を襲い、逃走中の4人組の車に、別の車が突っ込んできます。この車に乗っていたのは、最近巷を騒がせている「現金輸送車襲撃」の一味たち。4人組は、この一味に金と車を奪われてしまいます。

世間では、銀行強盗も現金輸送車襲撃も同一グループの犯行として報道され、悔しさを感じた4人組は、この一味から金を取り戻すことを計画します。しかし、一味の運転手の家に侵入した成瀬と雪子は、その運転手が死んでいるところを発見します。

 

■『陽気なギャングの日常と襲撃

第1章は、4人それぞれの日常を描きつつ、それぞれが別の奇妙な事件に巻き込まれる姿を描きます。

続く第2章では、いつものように銀行を襲う4人組。成瀬は、そこに同僚の恋人、筒井ドラッグの社長令嬢が居合わせていたことに気づきます。女性は同僚とは別の男性と一緒でした。後日、成瀬は同僚に「女性が誘拐された、と父親から連絡があった」と聞かされます。

社長令嬢誘拐事件を追ううちに、第1章の事件との奇妙な繋がりが見えてきます。

 

■『陽気なギャングは三つ数えろ

前作から9年ぶりとなる続編です。最近では監視カメラがいたるところに設置され、銀行強盗がやりにくくなってきていました。ある日、久遠は、銀行強盗の後の逃走中に左手に怪我を負ってしまいます。

その後、雪子の息子・慎一がアルバイトをしているホテルに集まった4人。そこで久遠はアイドル・宝島沙耶を追っていた週刊誌記者の火尻という男が、ホテル荒らしに襲われているところに遭遇します。火尻は、久遠の左手の怪我を見て「銀行強盗犯ではないか」と疑うようになるのですが——。

 

伏線もしっかり回収! 爽快感のあるサスペンス

どの作品も、はじめに出てきた伏線が最後には綺麗に回収されていき、爽快感を味わうことができます。もちろん、それぞれに個性をもった4人の掛け合いのような会話も魅力のひとつ。ユーモアがあり軽妙で、読んでいてクスッと笑えます。

メインキャラクターだけでなく、合鍵を作る天才で、変な道具を売りつけようとする田中や、響野の妻で夫にもズバズバとものをいう祥子など、脇を固めるキャラクターたちもとても魅力的です。

軽妙で爽快なサスペンスをお求めの方におすすめできる一冊です。

 

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。