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一番おすすめ!宮部みゆきのミステリー小説「火車」の見どころ


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代表作を挙げてくださいと言われてどれにしようかと迷ってしまうほど、宮部みゆきさんは粒ぞろいの作品を多数執筆されています。多くのファンを持つ魅力的な小説群から、宮部さんが31歳の時に出版した『火車』をご紹介しましょう。

 

宮部みゆきさんの代表作!

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『火車』
新潮文庫

どれも読者をぐいぐいと惹きつける宮部みゆきさんの小説ですが、代表作の一つはミステリー小説の『火車』です。

住宅ローン、カードローンなど借金の恐ろしさを扱った『火車』は、1992年に第六回山本周五郎賞を受けています。山本周五郎賞は「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品に授賞する」(山本周五郎賞規定より※)という規定で授与される賞です。

『火車』には、いったん読み始めると、読み終わるまで本を置くことができなくなる宮部さんのストーリーテリングが遺憾なく発揮されています。次第に謎が解かれていく話の運びがとてもわかりやすく、次々とページをめくりたくなります。この、読者を一気読みに誘い込むストーリーテリングこそが、『火車』を宮部さんの代表作の一つにしているのです。

※山本周五郎賞規定(http://www.shinchosha.co.jp/prizes/yamamotosho/)

■ご紹介書籍
『火車』宮部みゆき(新潮文庫)

 

『火車』のあらすじ

これから『火車』を読む人にネタバレしてはいけませんので、あらすじを軽くご紹介しましょう。

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休職中の刑事・本間俊介が、親戚の青年に失踪した婚約者・関根彰子を探すよう依頼され、事件に巻き込まれた被害者として調査を始めます。ところが、調査するうちに、被害者と思われた彰子が実は加害者ではないかという疑いが浮上するのです。

読者は、刑事の調査の過程で彰子の様々な顔を知っていき、やがて彼女の罪を知ることに。そして現れるもう一人の女性が、この失踪事件の鍵を握っている人物として描かれます。

後半、彰子の過去が語られる部分では、彼女の境遇に同情する読者もいることでしょう。罪を犯してまで彰子が手に入れたかったごく普通の幸せが、いかに彰子から遠いものであったことか。宮部さんの小説に共通する、「道を踏み外した人間」と同じ地平に立った眼差しが感じられる作品です。

 

脇役たちのサイドストーリー

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宮部さんの小説で特徴的なのは、主役だけでなく脇役たちのサイドストーリーが丁寧に描かれることです。

『火車』では、刑事・本間はただ舞台回しの役割にとどまらず、一人の夫や父親の面も見せてくれます。銃で撃たれて休職中のところに依頼された事件なので、厳密に言うと仕事とはいえません。父親の体を心配する息子から「そんなこと、お父さんがしなくてもいいじゃんか」と怒られます。

また、彰子の幼なじみの保は、妊娠中の婚約者・郁美の前でも、彰子を「しいちゃん」と呼んで心配します。郁美は「ずっと気にしてるの。ずっと好きなのよ。子供の時の思い出を共有してるんだもの、あたしには勝てないわ」と呟くのです。こうして、メインとサイドのストーリーが絡まり合って重層化し、単に筋が面白いだけではない厚みのあるストーリーになります。

 

まとめ

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ミステリー界に燦然と輝く宮部みゆきさんの『火車』は、ぜひ読んでもらいたい一冊です。彰子の足跡をたどる本間が、途中から心の中で彰子のことを「君」と呼ぶようになっていく過程を、どうぞ共有してみてください。

■ご紹介書籍
『火車』宮部みゆき(新潮文庫)

⇒「宮部みゆき」をもっと知りたい方はこちら

 

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