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叙述トリックとは?叙述トリックの意味とおすすめ小説20選


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ミステリー小説の中には叙述トリックというものがあります。叙述トリックとは、読者にあえて情報を伏せ、事実を誤認させるトリックのことです。

これだけではわかりづらいと思いますので、一例をあげます。

:『にやにやと笑みを浮かべながら女性風呂を覗いていた坂木は、俺の視線に気が付くと一目散に逃げていった。』

この文章があったとき、多くの方は坂木を『男性』だと認識すると思います。それは、多くの方の中に女性風呂を覗くのは『男性』だろうという先入観があるためです。ただ、のちにこの坂木が『女性』だと判明したとします。すると『男性』だと思っていた読者は、自分の認識の外から物語をひっくり返されることになります。このように読者の先入観などを利用し、事実を誤認させるトリックを叙述トリックといいます。

ここではそんな叙述トリックを使った傑作ミステリー小説を紹介いたします。叙述トリックとして有名な作品からあまり知られていない作品まで20冊用意しました。

 

ただ、この記事を読む前に注意事項を一つ。
叙述トリックというのは、叙述トリックと知らずに読むとより驚かされるトリックでもあります。ですから、自分で叙述トリック作品を見つけたいという方は、この記事に目を通さないほうがいいかもしれません。

普段あまりミステリーを読まないため、知らなければまず叙述トリックに出会うことはないという方やどうしても叙述トリック作品を知りたい方は、是非参考にしてみてください。

 

有名どころの叙述トリック作品

◆『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ(著)、文春文庫

言わずと知れた人気作。一見普通の恋愛小説ですが、実は……。最後の二行で物語の意味合いががらりと変わります。
間違っても途中で、そこを見てはいけません。


♦『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午(著)、文春文庫

叙述トリックといえば本作!各所から絶賛の声があがり、多数のミステリーの賞を受賞した傑作叙述トリック作品となっています。


♦『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介(著)、新潮文庫

死んだ友人が蜘蛛になって登場。陰惨な事件の先に待ち受ける結末は果たして? 直木賞作家が描く叙述トリック作品です。


♦『殺戮にいたる病』 我孫子武丸(著)、講談社文庫

サスペンス性があり、最後まで目が離せない本作。3つの視点が重なり合い、やがて想像を絶する結末を迎えます。


♦『十角館の殺人』 綾辻行人(著)、講談社文庫

綾辻行人さんのデビュー作。新本格ムーブメントを起こした作品です。終盤に明かされる一つの事実に多くの方が唖然とするはずです。


♦『ロートレック荘殺人事件』 筒井康隆(著)、新潮文庫

数々の傑作SF作品を世に送りだしてきた筒井康隆さんの叙述トリック作品。ロートレックの作品が飾られた洋館で起きる殺人事件の行方は果たして……。


♦『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティ(著)、ハヤカワ文庫――クリスティ文庫

本作は、もっとも古い叙述トリック作品です。全てはここからはじまったといっても過言ではありません。アガサ・クリスティーさんの傑作叙述トリック作品。


♦『ハサミ男』 殊能将之(著)、講談社文庫

女子高生連続殺害事件の犯人『ハサミ男』。模倣犯に次なるターゲットを横取りされた彼は、模倣犯を探し始めます。


♦『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎(著)、創元推理文庫

伊坂幸太郎さんが描く傑作叙述トリックを使った傑作ミステリー。交錯する過去と現在。やがて明らかになる真実の裏に隠されていたのは、ほろ苦い過去で――。


♦『GOTH』 乙一(著)、角川文庫

ミステリー中編集。全ての話が、叙述トリックというわけではありませんが、いくつか叙述トリックの傑作が描かれています。

 

あまり知られていない叙述トリック作品

♦『  』 麻耶雄崇(著)、幻冬舎文庫

本作で描かれる2つのたくらみ。ひとつは読者へ。もうひとつは……? 新感覚の叙述トリック作品となっています。


♦『殺人鬼』 綾辻行人(著)、新潮文庫

物語冒頭に出てくる記事と実際に語られる物語。この2つは、微妙に食い違っているようだが、真実は果たして――。


♦『ある閉ざされた雪の山荘で』 東野圭吾(著)、講談社文庫

劇団員が集まる山荘で起きる殺人事件。これは本物の殺人? それとも舞台稽古? やがて明らかになる驚愕の真実。


♦『たったひとつの、ねがい。』 入間人間(著)、メディアワークス文庫

本の表紙からは想像もつかない内容の作品。心臓の弱い方は注意が必要かもしれません。


♦『暗黒童話』 乙一(著)、集英社文庫

ホラー?ファンタジー?幻想的な読み味の叙述トリック作品! 天才・乙一さんの長編第一作となっています。


♦『水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪』 佐藤友哉(著)、講談社文庫

佐藤友哉さんの傑作! 語られる3つの陰惨な話が絡み合い物語は想像を絶する結末を迎えます。鏡家サーガ第3弾ですが、この巻から読んでも問題ない作品となっています。


♦『砂漠』 伊坂幸太郎(著)、新潮文庫

伊坂幸太郎さんの叙述トリックといえば、『アヒルと鴨のコインロッカー』。しかしこちらも叙述トリックが仕込まれています。ただ本作の魅力はそこよりも大学生たちの青春にあります!


♦『どんどん橋、落ちた』 綾辻行人(著)、講談社文庫

綾辻行人さんの短編集。思わず「そんなのってあり?」といった声が出てきてしまうような面白い叙述トリック作品が収録されています。


♦『天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記(1)』 折原一(著)、講談社文庫

叙述トリックの名手折原一が贈る一作。作者はこの作品に限らず、多数の叙述トリック作品を発表しています。「幸福荘殺人日記シリーズ」はこちら


♦『『アリス・ミラー城』殺人事件』 北山猛邦(著)、講談社文庫

<城>シリーズ第3弾。物理トリックを得意とする北山猛邦さんが贈る叙述トリック作品。シリーズ第3弾ではありますが、シリーズ間の繋がりはないため、本作から手に取っても問題ありません。「<城>シリーズ」はこちら

 

叙述トリックを楽しもう!

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ミステリーを読んでいるといつか必ず叙述トリック作品に出会います。事前知識がない状態で読んだ叙述トリック作品からは、より大きな驚愕を得ることができます。

ですから叙述トリックの面白さを知った方は、次は、叙述トリックかどうかを気にせずミステリー作品を手に取ってみるといいかもしれません。

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ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。
先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。