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叙述トリックとは?叙述トリックの意味とおすすめ小説20選


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ミステリー小説の中には叙述トリックというものがあります。叙述トリックとは、読者にあえて情報を伏せ、事実を誤認させるトリックのことです。

これだけではわかりづらいと思いますので、一例をあげます。

例:『にやにやと笑みを浮かべながら女性風呂を覗いていた坂木は、俺の視線に気が付くと一目散に逃げていった。』

 

この文章があったとき、多くの方は坂木を『男性』だと認識すると思います。それは、多くの方の中に女性風呂を覗くのは『男性』だろうという先入観があるためです。

ただ、のちにこの坂木が『女性』だと判明したとします。すると『男性』だと思っていた読者は、自分の認識の外から物語をひっくり返されることになります。

このように読者の先入観などを利用し、事実を誤認させるトリックを叙述トリックといいます。

ここではそんな叙述トリックを使った傑作ミステリー小説を紹介いたします。叙述トリックとして有名な作品からあまり知られていない作品まで20冊用意しました。

 

ただ、この記事を読む前に注意事項を一つ。

叙述トリックというのは、叙述トリックと知らずに読むとより驚かされるトリックでもあります。ですから、自分で叙述トリック作品を見つけたいという方は、この記事に目を通さないほうがいいかもしれません。

普段あまりミステリーを読まないため、知らなければまず叙述トリックに出会うことはないという方やどうしても叙述トリック作品を知りたい方は、是非参考にしてみてください。

 

有名な叙述トリック作品10

『イニシエーション・ラブ』の本の表紙

イニシエーション・ラブ
乾くるみ(著)、文春文庫

映画にもなった言わずと知れた人気作。1980年代後半バブル時代、合コンの席で出会った主人公とマユ。一見普通の恋愛小説ですが、実は……。

「最高傑作のミステリー」とも呼ばれているこの作品。最後の二行で物語の意味合いががらりと変わります。

間違っても途中で、そこを見てはいけません。

 

『葉桜の季節に君を想うということ』の本の表紙

葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午(著)、文春文庫

叙述トリックといえば本作! 霊感商法の調査を友人の女性から依頼された自称・元私立探偵の成瀬将虎のもとで起こる数々の出来事から目を離せないミステリー作品。

各所から絶賛の声があがり、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞など、2004年に多数のミステリーの賞を受賞した傑作叙述トリック作品となっています。

 

『向日葵の咲かない夏』の本の表紙

向日葵の咲かない夏
道尾秀介(著)、新潮文庫

夏休みが始まる終業式に欠席したクラスの友達を訪ねた主人公。彼はその友人が首をつって死んでいるのを発見する。

その後その友人の死体は姿を消し、思いもよらない姿に変身して現れた。

主人公は、「僕は殺された」という友人の無念の思いを背負って事件を追うことに……。陰惨な事件の先に待ち受ける結末は果たして? 直木賞作家が描く叙述トリック作品です。

 

『殺戮にいたる病』の本の表紙

殺戮にいたる病
我孫子武丸(著)、講談社文庫

東京の繁華街で猟奇的殺人を繰り広げるサイコパス・蒲生稔の行動とその視点を描くこの作品。

サスペンス性があり、最後まで目が離せない本作。3つの視点が重なり合い、やがて想像を絶する結末を迎えます。

 

『十角館の殺人』の本の表紙

十角館の殺人
綾辻行人(著)、講談社文庫

綾辻行人さんのデビュー作。新本格ムーブメントを起こした作品です。謎の殺人事件がおきた孤島に建つ、不気味な十角形の館。そこで一週間過ごすことになった大学のミステリー研究会7人のメンバーたちに襲いかかる恐怖……。

終盤に明かされる一つの事実に多くの方が唖然とするはずです。

 

ロートレック荘殺人事件
筒井康隆(著)、新潮文庫

数々の傑作SF作品を世に送りだしてきた筒井康隆さんの叙述トリック作品。

晩夏、ロートレックの作品が飾られた郊外の洋館に集まったエグゼクティブな青年と美女たち。優雅なバカンスを共に過ごすはずだったその館で美女が次々に殺されていく。一体犯人は誰なのか……?

 

『アクロイド殺し』の本の表紙

アクロイド殺し
アガサ・クリスティ(著)、ハヤカワ文庫

本作は、もっとも古い叙述トリック作品です。全てはここからはじまったといっても過言ではありません。アガサ・クリスティーさんの傑作叙述トリック作品です。

殺人事件に居合わせたポアロ氏が犯人を探し当てるという人気の「私立探偵ポアロシリーズ」の3作目として人気の高い作品です。

 

『ハサミ男』の本の表紙

ハサミ男
殊能将之(著)、講談社文庫

女子高生連続殺害事件の犯人である主人公・通称『ハサミ男』は、自分と同じ手口を使って殺された3番目の犠牲者となる女性を発見する。

次なるターゲットを模倣犯に横取りされた彼は、模倣犯を探し始め……。

 

『アヒルと鴨のコインロッカー』の本の表紙

アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎(著)、創元推理文庫

伊坂幸太郎さんが描く傑作叙述トリックを使った傑作ミステリー。

引っ越したアパートで出会った初対面の青年に本屋襲撃の話を持ちかけられた主人公。交錯する過去と現在。やがて明らかになる真実の裏に隠されていたのは、ほろ苦い過去で――。

2007年に公開された映画版では、原作の叙述トリックを映像上で見事に表現しています。

 

『GOTH』の本の表紙

GOTH
乙一(著)、角川文庫

ミステリー中編集。人間の持つ残酷な部分にひかれ興味を持つ若者たち“GOTH”を描いたこの作品。

全ての話が、叙述トリックというわけではありませんが、いくつか叙述トリックの傑作が描かれています。鳥肌が立つような描写や、乙一さんならではの耽美的な雰囲気を堪能できる一冊です。

 

あまり知られていない叙述トリック作品10

『 蛍 』の本の表紙

『  』
麻耶雄崇(著)、幻冬舎文庫

本作で描かれる2つのたくらみ。ひとつは読者へ。もうひとつは……?

京都の山あいにある古屋敷に肝試しにきた、オカルトスポット探検サークルのメンバーに待ち受けていたものは? 新感覚の叙述トリック作品となっています。

 

『殺人鬼』の本の表紙

殺人鬼
綾辻行人(著)、新潮文庫

山中で行われたサマーキャンプが、突如現れた殺人犯によって地獄と化した……。

物語冒頭に出てくる記事と実際に語られる物語。この2つは、微妙に食い違っているようだが、真実は果たして――。

 

『ある閉ざされた雪の山荘で』の本の表紙

ある閉ざされた雪の山荘で
東野圭吾(著)、講談社文庫

オーディションに合格した俳優志望の男女が集まった、とある山荘で起きる殺人事件。

これは本物の殺人? それとも舞台稽古? やがて明らかになる驚愕の真実。

 

『たったひとつの、ねがい。』の本の表紙

たったひとつの、ねがい。
入間人間(著)、メディアワークス文庫

彼女と心を通わせ、交際を続けてきた主人公が結婚の話を持ちかけた。だが、その彼女の反応は予想もつかないものだった……。

本の表紙からは想像もつかない内容の作品。心臓の弱い方は注意が必要かもしれません。

 

『暗黒童話』の本の表紙

暗黒童話
乙一(著)、集英社文庫

ホラー? ファンタジー? 事故で記憶と片目を失い、臓器移植で眼球を提供された女子高生の「私」に見えた映像とは。

幻想的な読み味の叙述トリック作品! 天才・乙一さんの長編第一作となっています。

 

『水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪』の本の表紙

水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪
佐藤友哉(著)、講談社文庫

佐藤友哉さんの傑作! 工場で働く青年、少女を守る少年、屋敷での殺人事件――。

語られる3つの陰惨な話が絡み合い物語は想像を絶する結末を迎えます。鏡家サーガ第3弾ですが、この巻から読んでも問題ない作品となっています。

 

『砂漠』の本の表紙

砂漠
伊坂幸太郎(著)、新潮文庫

伊坂幸太郎さんの叙述トリックといえば、『アヒルと鴨のコインロッカー』。しかしこちらも叙述トリックが仕込まれています。ただ本作の魅力はそこよりも大学生たちの青春にあります!

 

『どんどん橋、落ちた』の本の表紙

どんどん橋、落ちた
綾辻行人(著)、講談社文庫

綾辻行人さんの短編集。表題の「どんどん橋、落ちた」「伊園家の崩壊」など5つの作品が収められています。

思わず「そんなのってあり?」といった声が出てきてしまうような面白い叙述トリック作品が収録されています。

 

『天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記(1)』の本の表紙

天井裏の散歩者
折原一(著)、講談社文庫

作家志望の若者が集う幸福荘で起こる事件とは。

叙述トリックの名手折原一が贈る一作。作者はこの作品に限らず、多数の叙述トリック作品を発表しています。「幸福荘殺人日記シリーズ」はこちら

 

『『アリス・ミラー城』殺人事件』の本の表紙

『アリス・ミラー城』殺人事件
北山猛邦(著)、講談社文庫

<城>シリーズ第3弾。鏡の向こうに入るとチェス盤のような空間が広がり、そこに集まる人が次々に殺されていく。

物理トリックを得意とする北山猛邦さんが贈る叙述トリック作品。シリーズ第3弾ではありますが、シリーズ間の繋がりはないため、本作から手に取っても問題ありません。「<城>シリーズ」はこちら

 

叙述トリックを楽しもう!

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ミステリーを読んでいるといつか必ず叙述トリック作品に出会います。事前知識がない状態で読んだ叙述トリック作品からは、より大きな驚愕を得ることができます。

ですから叙述トリックの面白さを知った方は、次は、叙述トリックかどうかを気にせずミステリー作品を手に取ってみるといいかもしれません。

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ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。