舞台は花の江戸時代! 歴史・時代小説おすすめ作品
更新日:2019/9/2
徳川将軍家が統治していた江戸時代。ドラマや映画の舞台になることも多くあります。
しかし、映像作品では楽しめても、活字中心の時代小説だとちょっと難しい……、と感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、普段あまり小説を読む機会がない方でも楽しめる作品をピックアップしてご紹介します。
ぜひ江戸の文化に触れてみてくださいね。
「しゃばけシリーズ」
「しゃばけシリーズ」
畠中恵(著)、新潮社
2001年、畠中恵さんはこの『しゃばけ』で、第13回日本ファンタジーノベル大賞を受賞、2016年には第一回吉川英治文庫賞を受賞しました。
本作は手越祐也さん主演でドラマ化、ほかにも舞台、ミュージカルにもなっています。
主人公は江戸の大店長崎屋の跡取り息子、一太郎。心優しい反面、とにかく病弱で寝込んでばかりいる青年です。一太郎の祖母おぎんが妖(あやかし)の皮衣なので、一太郎も妖が見える特殊能力を持っています。
本作はそんな一太郎が、持ち前の利発さと周囲の妖たちの協力で事件を解決していく物語です。
江戸時代のヒーローというと、剣豪など「強い」ことが多いのですが、一太郎は正反対。自分を残念に感じながらも頑張る姿は、読む人に勇気を与えてくれます。
「鼠シリーズ」
「鼠シリーズ」
赤川次郎(著)、角川書店
ミステリー作家として有名な赤川次郎さんが初めて執筆した時代小説が『鼠、江戸を疾る』。
江戸時代に実在した鼠小僧次郎吉が主人公。赤川さんが新解釈を加え、甘酒屋と呼ばれる遊び人の顔を持つ、困っている人を見過ごせない、いなせな人物として描かれます。
小太刀の達人である妹の小袖と共に、困っている人を助けて活躍する姿が魅力的です。
赤川さん特有の読みやすく軽いタッチと、目の前にそのシーンが浮かんでくるような描写がこの小説の持ち味。
普段あまり本を読まない方や、時代小説初心者の方にも読みやすく、理解しやすいのでおすすめです。
「みをつくし料理帖シリーズ」
「みをつくし料理帖シリーズ」
髙田郁(著)、 角川春樹事務所
「この時代小説がすごい!文庫書き下ろし版」で第1位となった本シリーズ。
水害で両親を亡くした澪は、大坂の料理屋で奉公人に。その腕を認められ、料理人として修業をし、のちに江戸へ出て料理人として人を幸せにしていきます。
この小説は発売当初から特に女性に人気が高い作品です。澪が作る料理のレシピが掲載されているのも嬉しいポイントですよ。
江戸に出てきた澪が大坂との料理の違いに驚き工夫を加える姿は、現在の関東と関西の食文化の違いにも通じる面があり、興味を惹かれます。
「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」
「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」
佐伯泰英(著)、双葉社ほか
こちらの「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」は全51巻で完結。その後シリーズの主人公である坂崎磐音の息子、空也を主人公とする「空也十番勝負シリーズ」が刊行されています。
主人公は剣術の達人、坂崎磐音。もともとは豊後関前藩士でしたが、藩内の陰謀に巻き込まれ、江戸で浪人生活を送るように……。
浪人生活をしながら剣術を磨く過程で、幕閣の争いに巻き込まれていきます。
剣豪ではあるものの、浪人生活の中で周囲の人々に溶け込んで成長していく姿が魅力的。さまざまな試練が人を強くしていく、そんな人間の成長ぶりを追体験できる小説です。
「三島屋変調百物語シリーズ」
「三島屋変調百物語シリーズ」
宮部みゆき(著)、角川書店
宮部みゆきさんは多くのミステリー小説を世に出していますが、こちらのシリーズ小説は、謎めいたテイストが人気です。
つらい過去を持ち、他人に心を開くことができないおちか。
彼女を行儀見習いとして預かった叔父は、江戸中から不思議な話を集める聞き役をさせます。この不思議話が「百物語」なのです。
「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」というルールのもとに話される不思議話は、宮部さん独特の謎めいた雰囲気が漂います。
それと同時に、その物語の聞き役となることで、おちかの心もまた語り手の心と同様に浄化されていきます。
不思議なお話が好きな方に特におすすめの小説です。
「銭形平次捕物控シリーズ」
「銭形平次捕物控シリーズ」
野村胡堂(著)、嶋中書店ほか
音楽評論家としても有名な作家、野村胡堂さんによって描かれた架空の時代小説です。「投げ銭」の派手なアクションで、テレビドラマのイメージが強い方も多いかもしれません。
初出となったのは、1931年に発行された「文藝春秋オール讀物号・創刊号」。
主人公である銭形平次が活躍する捕物小説(ものとりしょうせつ)として人気を博し、約27年間にわたって愛され続けました。
「罪を憎んで、人を憎まず」がテーマに掲げられた本作は、江戸の風情も感じられる作品として多くの人の心に潤いをもたらしました。
事件を解決していく様子が鮮やかなので、痛快な時代小説をお探しの方におすすめです。
『漂流』
『漂流』
吉村昭(著)、新潮社
周到な取材と緻密に構成された記録文学や、歴史文学を数多く残した吉村昭さんが描いた、長編ドキュメンタリー小説。
江戸、天明年間に起こった実話がモデルになっており、主人公の野村長平が伊豆諸島の無人島に漂流してから生還するまでの物語が描かれています。
耐え難い孤独感に襲われながらも、生存するために必要な活路を見出し、無事に脱出するまでのストーリー展開は圧倒的な感動を与えてくれます。
「これぞノンフィクション」といった名作ですよ。
『でんでら国』
『でんでら国』
平谷美樹(著)、小学館
時代は幕末。
陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた太平村では、食いぶちを減らすために、60歳になると「姥捨て」が行なわれていました。
「姥捨ての旅」とも囁かれていた風習なのですが、その裏には大平村の農民たちが隠し通している秘密と実態が――。
「この時代小説がすごい2016年版(宝島社)」にもランクインした話題作『でんでら国』。
意外なストーリー展開と、藩を相手取って繰り広げる愉快痛快な農民たちの立ち回りは一読の価値あり。読みはじめると止まらなくなります!
舞台は江戸時代ですが、現代の高齢化社会にも通ずるものがあります。
『だいこん』
『だいこん』
山本一力(著)、光文社
浅草で飯屋「だいこん」を営む5人家族の物語。
さまざまな困難に遭いながらも、商才に優れた主人公のつばきは持ち前の明るさでそれらを乗り越えていきます。
本作を読めば、人と人とのつながりを大事にしようと思えるはず。人情たっぷり、だれからも愛されるつばきの姿に元気をもらえる1冊です。
まっすぐに生きることの美しさを感じられます。
「きりきり舞いシリーズ」
「きりきり舞いシリーズ」
諸田玲子(著)、光文社
『東海道中膝栗毛』の作者である十返舎一九の娘、舞が主人公。踊りも上手く、器量も良い舞ですが、奇人変人だらけの父やその友人たちに翻弄され続けます。
本作では、そんな舞の生き様が描かれます。
婚期を逃すまいとする娘と、縁談をことごとく壊していく父。江戸が舞台のドタバタ劇を楽しめますよ。
堅苦しい要素はないので、読書が苦手……な方にも読みやすいです!
歴史に詳しくなくても読みやすい
一言に時代小説といっても、最近はさまざまなテイストのものが登場。ミステリー作品、グルメ作品など、気難しさのない作品も増えているんです!
映像作品があれば見比べて楽しむことも楽しいですし、より理解を深められます。お気に入りの1冊をぜひ見つけてくださいね。
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