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角田光代さんのおすすめエッセイ4選!前向きになれる傑作揃い!


次々とヒット作を連発し、今や売れっ子作家の一人として広く知られる角田光代さん。

角田さんの作品は、日常の中に潜む人間の”闇”の部分を描いたものや、救いようのない世界をテーマにしたものも多く、読む人によっては角田さんの作品を暗いと感じる方もいるかと思います。

そのため、角田さんの描くエッセイが、とても前向きで、笑えて、共感できて、面白い傑作揃いということはあまり知られていません。

角田さんは「旅」にまつわるエッセイを多く出されているのですが、今回はあえて「旅」以外をテーマにした、おもしろエッセイを選んでみました。

ぜひいつもの角田ワールドとのギャップを愉しんでみてくださいね。

 

次のご飯が待ち遠しい!
今日もごちそうさまでした

『今日もごちそうさまでした』
新潮社

「食べられない」から「食べる」に移行するときには、ダイナミックな感動がある(あとがきより)。自他共に認める肉好きのカクタさんに、食革命が起こった。なんと苦手だった野菜、きのこ、青魚、珍味類が食べられる! 次々出会う未知の食材は、買って作って味わう毎日を楽しい発見で彩ります。三度の食事に思いをこめて。読むほどに、次のごはんが待ち遠しくなる絶品食エッセイ。(表紙裏)

 

共感・納得の連続がクセになる食エッセイ。

みなさんは、食の好き嫌いはありますか?もし苦手なものがある方は、何が理由で、いつから食べていませんか?

このエッセイの面白いところは、角田さんはそれぞれの食材を細かく分析し、(苦手だったものでも)それぞれの美味しさを理解しようと努力しているところ。

大人になると、苦手なものはあえて購入しないし、外食でも頼みませんよね。でも、調理方法を変えたら、年齢を経たら、意外と美味しく感じるということがよくあります。そういう意味でも、人生を前向きにしてくれる作品ですよ。

なお、「おいしいものを食べながら、人は怒ることができないと聞いたことがある」という一言には、たしかに!と納得してしまいました。

おいしいものを食べている時のしあわせなあの瞬間。ぜひほわわーんとしあわせな気持ちで読んでみてください。

 

 

何にお金を使うのか。人生の謎に迫る。
しあわせのねだん

『しあわせのねだん』
新潮社

最新の電子辞書にえいやと24000円を払ったら、品物と一緒にうたぐりぶかい自分がついてきた。アジアン定食8NZドルで寛容に触れた。人助けにと出した1000円には今も怒りが収まらない。生きていれば自然とお金は出ていって、使いすぎればサイフも気持ちもやせるけれど、その全部で私は何を買ったことになるんだろう。家計簿名人のカクタさんが、お金を通して人生の謎に迫る異色エッセイ。(表紙裏)

 

角田さんが普段、何に・どのようにお金を使っているかが垣間見れるエッセイ。

目次がまず家計簿風なのです。「昼めし 977円」「鞄 59000円」「キャンセル料 30000円」「ラーメン 680円」のように。

人によって、お金の使い方ってさまざまですよね。でも、何にお金を使うかで、その人の人間性を感じることはできます。本書を読んでいると、角田さんはごはんを食べるのが好きで、家電ショップを目的もなくうろうろするのが好きで、旅行が好きなんだろうなというのが伝わってきます。

ホロリとするエピソードも多数。「記憶 9800円×2」では、お母さんに喜んでもらおうと計画した2人旅。なのに、到着した宿はぼろぼろの旅館。インターネット上では素敵な写真が載っていたのに……「(違う)宿はとれなかったの?」と言われ、腹が立つやら悲しいやら……そんな状態でも、嬉しそうなお母さんの描写にはつい涙腺が緩んでしまいました。

 

「カラダ」にまつわるエッセイ
わたしの容れもの

『わたしの容れもの』
幻冬舎

老いの兆しは、悲しいはずなのに、嬉々として話してしまうのはなぜだろう?減らない体重も、ひどくなる二日酔いも、乾燥する肌も…それは、劣った自分ではなく、新しい自分。変わる、というのは、実際はちょっとおもしろいことなのだ。「変わりゆくカラダ」を好奇心たっぷりに綴る。(帯)

四十代半ばの角田さんだからこそ描ける「カラダ」にまつわるエッセイ。

人間ドックの結果で話が弾んだり。闘う対象は、二十代のころのように”異性の視線”ではなく、”自分のだらしなさ”なんだということだったり。同世代だとますます面白く読めるはずです。

本書のなかで、角田さんは一貫して「年齢を重ねることはおもしろいことだ」と書いており、読んでいると前向きな気分になります。

私が共感したエピソードを一つご紹介しましょう。

肉好きの角田さん。四十五歳になってとうとう霜降り肉より赤身肉を好むようになり、それに加え、もともと苦手だった豆腐のおいしさを知るようになったのだとか。
加齢のせいで、好きだったものを美味しく食べられないことを、おそれていた角田さん。アイデンティティの崩壊のようで、霜降り肉を愛していた昔の自分がいなくなるのは不安だったのだとか。
でも、角田さんは気づきます。視点を変えれば、新しい変化は受け入れるとおもしろいことに。

本当に元気をもらえる一冊です。

 

男と女はどうしてわかりあえないのか?!
異性

『異性』
角田光代、穂村弘
河出書房新社

好きだから許せる?それとも、好きだけど許せない?男と女は互いにひかれあいながら、どうしてわかりあえないのか。「恋愛カースト制度の呪縛」「主電源オフ系男女」「錯覚と致命傷」など、カクちゃん&ほむほむが、男と女についてとことん考えてみた、話題の恋愛考察エッセイ。(表紙裏)

 

歌人・穂村弘さんとの共著であり、往復書簡をやりとりしているような形式で書かれたエッセイ。

●内面か外見か 永遠の二者択一・外見の謎

●「好きな人」「まあまあ」「眼中にない人」 原型はいずこ・「非実在恋人」との戦い

●別れた人には不幸になってほしいか 黒い心・幻想ホルモン

など、恋愛に関する24のテーマが収録されています。

学生の頃、こういう話を友人としていたな~と懐かしい気持ちになりながら読み進めていましたが、本書、単なる2人の経験談では終わりません。洞察力の鋭い文学者2人がとことん考察した結果なので、目から鱗の発想の連発なのです。

なお「女性がどうしてもそれ(非日常体験)を継続的に味わいたければ、ラテン系とか力士とかスパイとか日常性そのものにズレのある相手を選ぶしかないと思う」という穂村さんの言葉にはつい笑ってしまいました。

 

角田光代さんの小説とエッセイのギャップを愉しんで

エッセイを読めば、さらに角田さんのことが好きになること間違いなしです。

一度手に取ってみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍
今日もごちそうさまでした』新潮社
しあわせのねだん』新潮社
わたしの容れもの』幻冬舎
異性』河出書房新社

エッセイにまつわる記事はこちらから

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。