地獄・鬼の人気絵本10選|大人が夢中の話題作も…!
更新日:2019/1/31
鬼、閻魔大王、地獄……。それらは古くから言い伝えられているものであり、恐怖の象徴であるともいえます。
「嘘をつくと閻魔大王に舌を抜かれる」「悪いことをすると地獄に落ちてしまう」などと言われたことがある方も多いのではないでしょうか。
ここで紹介するのは、そんな鬼や地獄がテーマの絵本。
読めば思わず震えてしまうような恐ろしい絵本はもちろん、ユニークで可愛らしい絵本まで、あますことなくご紹介します。
節分の時期に読むのもおすすめですよ。
『絵本 地獄――千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵』
『絵本 地獄――千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵』
白仁成昭、中村真男(著)、宮次男(監修)
風濤社
生前犯した悪行のせいで、閻魔大王から地獄行きの裁きがくだった五平。
しかしそこにお地蔵様が現れ、閻魔大王を説得します。地獄行きは免れた五平は、生き返る前に地獄を見て回ることに……。
絵本らしからぬ残酷で血みどろな地獄の様子が描かれていますが、「しつけにぴったり」と話題の本作。千葉県の延命寺に所蔵されている絵巻を元に作られています。
江戸時代の絵師によって描かれた地獄は、大人が見てもゾッとしてしまいます。
しかしその内容は、悪いことはしていはいけない、命を粗末にしてはいけないなど、大切なことを教えてくれるものですよ。
『鬼のかいぎ』
『鬼のかいぎ』
立松和平(著)、よしながこうたく(絵)
新樹社ほか
ある日、1本の巨大なクヌギの木を人間の都合で切り倒してしまいます。それに怒ったのは森に住む鬼たち。
鬼たちは会議を開き、人間たちを滅ぼしてしまおうと言い出し……。
鮮やかな色彩で細かく描かれた妖怪や鬼は、ユーモラスなのにどこか不気味な印象を受けます。
自分たちの都合で自然を破壊する人間に対し、鬼は自然の大切さを教えてくれるなど、メッセージ性の強い作品です。
『いちにちじごく』
『いちにちじごく』
ふくべあきひろ(著)、かわしまななえ(絵)
PHP研究所
主人公の男の子が「悪いことをすると地獄に落ちる」ことに疑問を抱き、自ら鬼になって地獄を1日体験する物語。
弱いものいじめをしたら、仮病を使ったら、人を殺したら……?
「いちにちシリーズ」の第8作目となる絵本。悪いことをすると現れる地獄の世界が描かれます。
子供が実際にやりそうないたずらもあるため、子供に「悪いことをしてはいけない」と教えつつ、大人も普段の“悪行”について考えるきっかけになるかもしれませんよ。
『鬼が出た』
『鬼が出た』
大西広(著)、梶山俊夫(絵)
福音館書店
鬼ごっこの鬼、昔話に出てくる鬼、神様としての鬼。日本には古くから鬼に対して信仰があり、現代にも残っています。
そんな鬼たちがどのような生き物なのかが紹介されているのが本作『鬼が出た』です。
使われている挿絵や写真が、なかなか見る機会のないような昔の絵巻や書物から抜粋されており、これがとても興味深いんです。
「鬼=悪」と思いがちですが、鬼の生態を学べる鬼の図鑑として大人も夢中になれるでしょう。
個人的には、「鬼のつくり方」に少しびっくりしてしまいました……。
『ゼラルダと人喰い鬼』
『ゼラルダと人喰い鬼』
トミー・ウンゲラー(著)、たむらりゅういち、あそうくみ(訳)
評論社
料理の得意な少女ゼラルダは、お使いの途中に運悪く鬼に出会ってしまいます。ところが鬼はゼラルダを食べようとするも、足を滑らせて気絶。
心優しいゼラルダは、鬼を可哀想に思い手料理を振る舞うのですが……。
独特なタッチで描かれたインパクトのあるイラストが、物語にマッチしており読み手を惹きつけます。
意外な結末を迎えるゼラルダと人喰い鬼の関係に注目。食を通して様々な感情が引き出される作品です。
『オニのサラリーマン』
『オニのサラリーマン』
富安陽子(著)、大島妙子(絵)
福音館書店
関西弁の赤鬼オニガワラ・ケンは地獄勤めのサラリーマン。スーツ姿にバスで出勤し、お昼は愛妻弁当を食べています。
主な仕事は地獄の亡者たちの管理。ときには上司の閻魔大王に叱られてヤケ酒することも……。
平凡なサラリーマンの1日を過ごす鬼の様子がユニークな作品。絵本ではありますが、大人のリアルな日常が描かれています。
関西弁だからこそ馴染みやすく、きっと誰もが楽しく読めるでしょう。子供はもちろん大人も笑える小ネタも随所にあって、読み手を飽きさせませんよ。
『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』
『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』
水木しげる(著)、マガジンハウス
水木少年がのんのんばあに連れられてやってきた地獄までの道のり、そして8つの地獄の様子を巡る物語。
のんのんばあが水木少年に、どんな悪行をするとどの地獄に落ちるのかを説明しながら地獄の様子を見て回ります。
本作は、水木しげる氏が正福寺の「絵本着色地獄極楽絵図」に衝撃を受けて描いた作品です。
恐ろしい鬼の様子、目をくり抜かれて血を吹き出す亡者など、水木氏の持つ独特の世界設定には迫力があり、見る者を震え上がらせるでしょう。
嘘をついたりお酒を飲み過ぎたりすると落ちる地獄もあるので、大人にとっては耳の痛い話かも……?
『鬼のうで』
『鬼のうで』
赤羽末吉(著)、偕成社
源頼光は、悪さばかりをする鬼・酒呑童子と、その手下の鬼たちを退治しに行きました。
そのうちの逃げた1匹が再び悪さをするので、頼光の家来・渡辺綱は、その鬼のうでを切り落とします。鬼は怒り、うでを取り戻そうと考えますが……。
『羅生門』の鬼退治の伝説が絵本になった『鬼のうで』。鬼を倒す英雄が活躍する物語です。
テンポよく臨場感溢れる語り口調で文章が綴られており、大胆なタッチの挿絵がさらに物語を盛り上げてくれます。力強さを感じられる絵本ですよ。
『カレー地獄旅行』
『カレー地獄旅行』
ひげラク商店 安楽雅志(著)、パイインターナショナル
カレーが大好きなみちひとくんは、先に出されていた妹のカレーをつまみ食い。ところが野菜は嫌いだと投げ捨ててしまいます!
そんな悪さばかりするみちひとくんが突然カレーの中に吸い込まれ、そこにいたエンマさまの裁きによって、地獄に落とされることに……。
「カレー」をテーマにした地獄で、みちひとくんが実際に裁きにあってしまう物語。
みちひとくんにとっては辛かったでしょうが、地獄や鬼の様子は細部まで作り込まれており、まるで旅行ガイド本のようです。
よく見るとインド人のような鬼が金棒の代わりにスプーンを持っているなど、お茶目な部分が垣間見られるユニークな作品です。
『蜘蛛の糸』
『蜘蛛の糸』
芥川龍之介(著)、遠山繁年(絵)
偕成社
大泥棒のカンダタは、生前人を殺したり家に火をつけたりと悪行の限りを尽くし、地獄に落とされます。
そんなカンダタですが、過去に蜘蛛を助けたことがあり、お釈迦様は地獄に蜘蛛の糸垂らして助けようとするのですが……。
穏やかで美しい極楽浄土のイラストが、魑魅魍魎のうごめく地獄の恐怖をさらに増徴させています。
人間は決して悪い行いばかりをしている訳ではないとしながらも、最後に私欲が出てしまうカンダタ。窮地に立たされたときに本性を現す人間の姿が描かれており、なかなか怖いお話です。
子どもだけでなく大人も考えさせられる鬼や地獄の姿
鬼や地獄は「怖い」というだけでなく、その恐怖に行き着くまではいろんなプロセスがあります。
心の鬼を追い払うためにも、今一度、鬼について知るのもいいかもしれませんね。
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ほかにも鬼が出てくる絵本はたくさんあります。
お子さんと一緒に楽しんでみては? ⇒鬼の絵本特集(PCページのみ)