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懐かしの『学校の怪談』|90年代、怖くて震えたあの名作


 

『学校の怪談』
常光徹(著)、楢喜八(絵)
講談社

妖怪たちは、学校を愛している

これはね、ほんとうの話なんだよ……。学校じゅうのあちこちに、いろんな妖怪がひそんでる。やりたいことがいっぱいあったのに、それをできずに死んでしまった子どもたちのたましいが、ゆうれいになってやってくる。

むかしから、こわい話をきいたり、かたったりした人は、おそろしいめにあうといわれているけれど、ゆうれいを見たことのある人もない人も、この本のなかの妖怪たちの声をきいてあげてほしい。(はじめに)

 

今回ご紹介するのは、90年代に流行した懐かしの作品『学校の怪談』。当時の小・中学生の中で一大ブームとなり、その熱狂は社会全体を動かしました。

私もこのシリーズが大好きで、テレビドラマ・映画・本とくまなくチェックしていたことをよく覚えています。原作者はみな常光徹さんなのですが、少しずつ内容は違っており、今回は本をご紹介したいと思います。ぜひ懐かしい気持ちに浸ってみませんか?

 

 

『学校の怪談』の魅力とは

ひっそりと静まり返った、人気のない放課後の校舎。夕方、忘れ物を取りに教室に戻る時のあの心細さ。誰もが一度は経験したことのある、あのぞわりとした気持ち。

『学校の怪談』の魅力は、当時の自分にそのままタイムスリップできるところではないでしょうか。

 

本書では、【教室の怪談】【トイレの怪談】【運動場の怪談】【現代の妖怪と怪談】の4つのシチュエーションに基づいたエピソードが収録されています。

学校で起こる怪談は、音楽室や理科室といった特別教室や、トイレなど、いわゆる学校の特別な空間に集中している傾向があるようです。たしかに、朝から夕方まで授業を受けるクラスの教室で起こる怪談って、ほとんど耳にしたことがないですよね。人体標本やピアノといった小道具は、学校の怪談をさらに怖くする効果があるように思います。

 

地域や学校によって内容が異なるのも『学校の怪談』ならでは。上級生から下級生へ語り継がれ、友達同士で盛り上がり、どこでどう間違えたのか噂に尾ひれ葉ひれがつき、場合によっては都市伝説へ発展する怪談。「うちの学校はこうだった」と、一人一人がそれぞれの思い出やエピソードを持っているはずです。それを思い出してみるのも楽しいものです。

 

また、『学校の怪談』は、古来から存在する不思議な話や奇怪な話とも関係しているのも魅力ですね。怪談というジャンルは、時代に合わせて形を変えながらも、本質は変わっていないのです。だから大人になっても楽しめますし、怖さとノスタルジーを同時に味わえるのが醍醐味ともいえます。

 

実際、私が本書を何十年ぶりに再読したところ、面白くて仕方がありませんでした。『血まみれのピアノ』『赤い紙・青い紙』『花子さァーん(トイレの花子さん)』のような有名作品は今でも記憶に残っていました。

なお、『学校の怪談』と銘打った本書ですが、学校というシチュエーションだけでない【現代の妖怪と怪談】も収録されています。口さけ女、人面犬、メリーさんの電話など……。

次章では、個人的に思い入れのある怪談をピックアップしたいと思います。

 

 

口さけ女のお話

学校帰りの子どもに、「わたし、きれい?」と尋ねるマスクをした女。

「きれい」と答えれば、「これでも?」と言いながら女はマスクを外します……そこには、耳元まで大きく裂けた口が。

また、「きれいじゃない」と答えれば、包丁やハサミや鎌で斬り殺される……。

 

懐かしの『口さけ女』。私の中で最も記憶が鮮明な怪談話です。口裂け女の影響で集団下校を行う学校や、登校拒否する子どもがいたりと、社会への影響力もすさまじいものがありました。

学校から家まで「もし口さけ女と遭遇したらどうしよう……」と内心ヒヤヒヤしながら帰っていた人も多いのではないでしょうか?

 

同世代の方ならご存知かと思いますが、口さけ女といえば、さまざまな噂がありましたよね。100mを10秒で走るとか。三姉妹の末っ子だとか。整形手術に失敗して口が裂けてしまったとか。これらは地域によっていろいろな説があると思います。

私が印象的だったのは「口さけ女に会ってしまった時の対処方法」。今でも頭に残っています。

 

口さけ女は、「ポマード」という言葉が苦手なので、「ポマードポマードポマード」とはっきりした口調で3回唱えて怯ませ、そのすきに逃げる。

口さけ女は、べっこう飴が大好物なので、べっこう飴を渡して舐めているすきに逃げる。

口さけ女は、犬が苦手なので、「犬が来た!」と言うと逃げていく。

などなど……。

 

大人になってから、口さけ女のエピソードを読むと、怖さよりも女の哀しさを感じました。あれほどに怖がっていたのに……心身ともに大人になったということでしょう。そして「ポマード」を3回唱える練習をした思い出や、べっこう飴をポケットの中に持ち歩いていた友人を思い出しました。

ぜひ久々に読んで懐かしい気持ちになってください。

 

懐かし作品『学校の怪談』

懐かしい『学校の怪談』。久々に手にとってみてはいかがでしょう?

 


今回ご紹介した作品

学校の怪談
常光徹(著)、楢喜八(絵)
講談社

映像作品はこちら


「学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!」のトラウマ回を振り返る。

 

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。