花火にまつわるおすすめ小説|夏の風物詩で季節を感じて!
更新日:2019/8/16
花火が恋しい時期に、しっとりとした物語を読みませんか?
ここでは、夏に読みたい花火にまつわる小説をご紹介します。
暗色のキャンバスに、パッと鮮やかな光の花が咲く――。
音と光で感じる夏の風物詩は、それぞれの作品でどのように描かれているのでしょうか。
花火にまつわる小説1
『天国の本屋 恋火』
『天国の本屋 恋火』
松久淳、田中渉(著)、新潮社ほか
アロハシャツ姿の男から、天国にある本屋でのアルバイトに誘われた健太は、そこで憧れていたピアニスト翔子に出会う。
一方、翔子の姪である香夏子は、商店街の花火大会を復活させようと奔走していた。
「天国の本屋シリーズ」の3作目となる本作。天国と、とある商店街で起こる2つのストーリーが並行しながら物語は進んでいきます。
そしてこの2つの物語が交錯したとき、健太と香夏子は、1つの悲しい恋の結末を知ることに……。
複雑な恋模様が描かれながらも、心に癒やしとやすらぎを与えてくれる作品です。ピアノの音と、花火の音。それを想像しただけで心がホッと温かくなります。
花火にまつわる小説2
『夏と花火と私の死体』
『夏と花火と私の死体』
乙一(著)、集英社
9歳の夏休みに、“わたし”は殺されてしまった……。
わたしを殺した友達は、兄とともにわたしを隠そうと企てる。
幼い兄妹は大人たちの追及から逃れることができるのか? 彼らの暗黒の冒険が始まる――。
乙一さんは、本作で作家デビュー。殺された「わたし」の目線で描かれる、自分を殺した兄妹の物語です。
わたし、つまり死体の目線で物語が進んでいくのが斬新な作品。臨場感のある場面が多く、サスペンスとしても楽しめますよ。
花火や蝉の鳴き声などの描写は、なんだかひんやりしていて切ない気持ちになります。
花火にまつわる小説3
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
大根仁(著)、岩井俊二(原作)、KADOKAWA
花火大会の日に灯台に登り、花火を横から見ることを幼なじみと約束した典道。ところがその日の夕方、典道は同級生のなずなに突然かけおちすることを提案される。
結局かけおちは失敗に終わってしまうが、典道は「もう一度同じ日をやり直したい」と願い――。
岩井俊二さんが監督を務めた同名映画を、大根仁さんが小説化した作品。
「もしも」あのときこうだったら――。そんな「もしも」の同じ日が何度も繰り返されるタイムリープものとなっています。
打ち上げ花火をどの角度から見るか? で、違う世界を表現しているのが面白い作品です。
タイムスリープを繰り返しながら、登場人物たちの印象や心境がどのように変化いくのかに注目してくださいね。
花火にまつわる小説4
『舞踏会』
『舞踏会』
芥川龍之介(著)、角川書店
17歳になる令嬢の明子は、初めての舞踏会に向かう馬車の中で、父親の言葉も耳に入らないほど緊張していた。
美しい明子に誰もが驚くなか、仏蘭西人の海軍将校が明子をダンスに誘う。
芥川龍之介が1920年に書いた短編小説。明子と将校が、花火を眺めながら恋に落ちる物語です。
美しくて儚い言葉が並んでおり、舞踏会の華やかさや空に咲く花火がなんともロマンチック。女性の繊細な心情や、男性の切なさが上手く表現されています。
芥川龍之介作品って堅苦しそう……。そう思うあなたに読んでほしい名作です。
花火にまつわる小説5
『花火と一緒に散ったのは、あの夏の記憶だった』
『花火と一緒に散ったのは、あの夏の記憶だった』
邑上主水(著)、アルファポリス
陸上競技を諦めた杉山秀俊は、新聞部で退屈な日々を送っていた。毎日のように自分にまとわりついてくる霧島野々葉にもうんざりしている。
あるとき都市伝説「記憶喰い」を取材することになった秀俊。なんと野々葉は、記憶喰いに記憶を食べてもらった過去があると言うのだが……。
ひと夏の消えた記憶を巡る、青春ミステリー小説。表紙の花火のイラストが印象的です。
嫌な思い出を食べて、忘れさせてくれる“記憶喰い”の存在がどのように関わってくるのかが見どころ。中盤から物語は加速し一気に惹きこまれます。
最後にはホロリとする展開が待っており、読後は清々しい気持ちになれますよ。
印象が違う花火の作品をぜひ読んでみて!
花火にまつわる小説をご紹介いたしました。
同じ花火にまつわる作品でも、それぞれ印象が異なり、読者を魅了してくれます。
暑い夏、花火大会の時期などに、ぜひ読んでみてください。
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ライター:ウル