中国史がテーマのおすすめ歴史漫画【時代別】キングダム、三国志、蒼天航路ほか
更新日:2019/3/27
さかのぼれば、邪馬台国、隋や唐の時代の遣隋使(けんずいし)や遣唐使(けんとうし)など、古くから日本とかかわりがあった中国。
そんなお隣の国・中国。しかし、「三国志」といった有名な作品は知っていても、具体的な歴史や文化はよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
実は知れば知るほど面白く、ついついハマってしまう壮大な魅力に溢れた中国史。
ここでは、知っているようで知らない「中国の歴史」をテーマにした、おすすめ漫画を紹介していきます!
周~漢王朝時代(中国戦国時代含む)
2019年 実写映画が公開!『キングダム』
『キングダム』
原泰久(著)、集英社
戦争孤児の少年・信(しん)と漂(ひょう)は、「天下の大将軍」になることを夢見ていた。
ある日、秦国大臣の目に留まったことで漂だけが王都に仕官として召されることに。ところが、王都でのクーデターによって漂は致命傷を負ってしまう。そこで、信にある地図を託すのだが……。
中国の有名な史跡のひとつといえば、万里の長城。観光スポットとしても人気の場所ですよね。
本作は、そんな万里の長城の建設を始めた秦の始皇帝が王座につく前の、混沌とした時代が舞台。「天下の大将軍」を目指す信の成長の物語です。
秦(しん)、趙(ちょう)、楚(そ)、魏(ぎ)、韓(かん)、斉(せい)、燕(えん)の、7国が覇権を争った春秋戦国時代。
当時の時代背景、家族の裏切りや陰謀などがしっかりストーリーに練りこまれており、非常に読み応えのある作品です。
始皇帝に歯向かうものとは『龍帥の翼』
『龍帥の翼 史記・留侯世家異伝』
川原正敏(著)、講談社
秦の始皇帝が中国統一を果たしてから2年後。
始皇帝の暗殺を目論む張良(ちょうりょう)は、謎の幼女・黄石(こうせき)と出会う。そして、巨漢で恐ろしい異名を持つ窮奇(きゅうき)に協力を求め、行動をともにするが……。
『修羅の門』『海皇紀』で知られる作者が『龍帥の翼』で主人公とするのは、のちに軍師として活躍する張良。
川原版『項羽と劉邦』とも謳われる本作は、中国の古文書「史記」の記述をもとに、丁寧にその時代が描かれているのが特徴です。
張良が暗殺しようとしている始皇帝は、『キングダム』にも登場します。しかし、それとはまた違った描かれ方がされており、読み比べしてみるのも楽しいでしょう。
戦乱の世で平和を貫いた集団とは『墨攻』
『墨攻』
森秀樹(絵)、久保田千太郎(脚本)、酒見賢一(原作)
小学館
春秋戦国時代の思想集団・墨家。思想家である墨子の意志を継いでいる墨家だったが、時代の流れとともに体質は腐敗していた。
そんななか、墨子の思想を唯一貫こうとする革離(かくり)だったが……。
春秋戦国時代は、国同士が睨みをきかせ、まさに血なまぐさい戦いが繰り広げられた時代でした。そんな時代に実在した、「殺人は最大の不義」とする集団を描いたのが本作『墨攻』です。
目を背けたくなるようなシーンも多いですが、戦乱の世にもこんな思想があったのだ、と思い起こさせてくれる非常に興味深い内容です。
中国の古い歴史書を漫画で知ろう!『まんがで読破 史記』
『まんがで読破 史記』
司馬遷(作)、バラエティ・アートワークス(絵)
イースト・プレス
司馬遷(しばせん)は、歴史書である「史記」の著者であり、漢の時代に生きた人物です。
そもそも「史記」とは、後世に歴史を伝えるための書物「正史」のひとつ。なかでも、「正史」のはじめにくるものを「史記」といいます。
「史記」には、伝説とされる五帝時代から、漢の皇帝・武帝の時代、約2000年の歴史が刻まれています。
本作は「史記」の内容と、その著者である司馬遷について漫画で読み解いたもの。中国の難しそうな歴史もサクサクと読み進められますよ。
その他「紀元前の中国」を扱った漫画作品はこちら!
『封神演義』
藤崎竜(著)、集英社
『殷周伝説』
横山光輝(著)、潮出版社
『達人伝~9万里を風に乗り~』
王欣太(著)、双葉社
『東周英雄伝』
鄭問(著)、講談社
『ビン~孫子異伝~』
星野浩字(著)、集英社
『赤龍王』
本宮ひろ志(著)、集英社
三国時代
「三国時代」漫画の代表作といえば!『三国志』
『三国志』
横山光輝(著)、潮出版社
「三国志」と聞いたとき、この作品を頭に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。この作品をきっかけに、中国史に興味を持ち始めた方もいると思います。
本作は吉川英治の小説『三国志』をベースに、後漢末期の黄巾賊の乱から、蜀の滅亡までが描かれる大長編歴史ロマン。「三国志」の先駆け的作品であり、「三国志」ファンであれば絶対に読んでおくべき作品です。
登場人物たちの熱き思いを随所に感じられる傑作ですよ。
見方次第で歴史は変わる!『蒼天航路』
『蒼天航路』
王欣太(絵)、李學仁(原作)
講談社
紀元200年前後。魏(ぎ)、呉(ご)、蜀(しょく)の3国が争いを繰り広げた三国時代を舞台に、当時の悪名高き英雄・曹操(そうそう)の活躍を描く長編大作。
中国の歴史でも特に有名な「三国志」の時代が、作者の新しい解釈で綴られていきます。
さまざまな小説、漫画などがある「三国志」。なかでも曹操というと、悪人というイメージが強い方も多いでしょう。しかし本作はそんな曹操の視点で描かれており、彼の人間臭さをいたるところに感じられます。
物語はとにかく壮大! 迫力ある圧倒的な画力にはきっと圧倒されるはず。さまざまな側面から「三国志」を知ることのできる作品ですよ。
豊富な資料からよみがえる!『三国志』
『三国志』
李志清(絵)、寺島優(原作)
メディアファクトリー
『蒼天航路』と同じく、時は三国時代。本作では劉備を中心に、張飛(ちょうひ)、関羽(かんう)の3人を軸に物語が進んでいきます。
劉備(りゅうび)の人物像は「正義の人」であり、正統派な「三国志」としてしっくりくる方も多いでしょう。
横山光輝さんの『三国志』や王欣太さんの『蒼天航路』より巻数が少なく、スッキリとした印象。登場人物たちの描き分けもしっかりされています。
「三国志」についての知識があまりない方であれば、この作品から読み始めてみてはいかがでしょうか。
その他「三国時代」を扱った漫画作品はこちら!
『三国志魂』
荒川弘、杜康潤(著)、コーエーテクモゲームス
『覇 LORD』
池上遼一(絵)、武論尊(原作)、小学館
『STOP劉備くん!』
白井恵理子(著)、角川書店
『天地を喰らう』
本宮ひろ志(著)、集英社
『孔明のヨメ。』
杜康潤(著)、芳文社
『三国志連作集 異郷の草』
志水アキ(著)、メディアファクトリー
『SWEET三国志』
片山まさゆき(著)、講談社ほか
隋・唐王朝時代
生き残りの少女が復讐を誓う『長歌行』
『長歌行』
夏達(著)、集英社
唐王朝が中国を統一していた時代。唐の初代皇帝・李淵が亡くなり後継者争いが勃発する。
その後、実の兄弟である李建成らを死に追いやった李世民が第2代皇帝・太宗として実権を握ることに。ところが太宗はその後、兄弟の家族も次々に処刑していった。
ただ1人、李建成の娘である李長歌だけは追手から逃れるが……。
過酷な運命を背負った少女が、追手から逃れながらも復讐のために己の道を突き進んでいきます。物語は創作ではありますが、太宗や歴史上の人物が登場するなど史実に基づいた場面もある作品です。
時代の波にのまれながらも、信念をもって生きる李長歌。重厚感があり読みごたえもありながら、美しいイラストには惚れ惚れすることでしょう。
その他「隋・唐王朝時代」を扱った漫画作品はこちら!
『西遊妖猿伝』
諸星大二郎(著)、双葉社ほか
『梨花の下で 李白・杜甫物語』
杜康潤(著)、KADOKAWA
『仙術士 李白』
葉明軒(著)、KADOKAWA
西暦1000年~現代
モンゴル帝国が拡大した時代『シュトヘル』
『シュトヘル』
伊藤悠(著)、小学館
時代も場所も分からない戦場にいる夢を毎夜見ていた高校生の須藤。
ある日、楽器屋である須藤の自宅を転校生の鈴木が訪れ馬頭琴に触れる。すると、須藤は夢で見ていた世界で女戦士・シュトヘルになっていた。
物語の舞台は13世紀はじめ。現在の中国北西にあった西夏(せいか)国を、モンゴル軍が攻めていた時代です。
当時の西夏国では「西夏文字」と言われる、漢字より難解で複雑な文字が使われていました。
本作は、そんな貴重な西夏文字を守るため一族を敵に回した少年・ユルールと、シュトヘル(悪霊)と呼ばれた西夏人の少女・ウィソの壮大な物語です。
主人公が国の頂点を目指すという内容ではありません。現代の日本で生活していた高校生の魂が、古代中国のシュトヘルに宿って……という変わった設定も特徴です。
第二次世界大戦時の満州が舞台『虹色のトロツキー』
『虹色のトロツキー』
安彦良和(著)、中央公論新社ほか
日本とモンゴルのハーフウムボルトは、幼い頃の記憶と家族を失っており、己のアイデンティティを求めていた。
関東軍参謀・辻政信によって、日本軍統治下の満州にある建国大学に入学したウムボルトは、図らずも戦火に巻き込まれた時代の流れにはまっていくのだった。
第二次世界大戦前夜の満州が舞台の本作。満州で理想郷を造ろうとする軍人たちの策略や謀略。そんななかで必死にもがき苦しむウムボルトが描かれます。
中国史をもとにした漫画というと春秋戦国時代の作品が多いなか、昭和初期が舞台の本作。モンゴル人から見た世界の流れ……物語の切り口もとても新鮮な作品です。
漫画を読んで、中国の歴史を知ろう!
歴史の勉強を教科書や本で知ろうとするのはなんだか苦手……という方もいるかもしれませんね。
では中国の歴史について理解を深めたいなら、“漫画で知る”という方法はいかがでしょうか?
現代と比べて資料に乏しいため創作部分も多くありますが、当時の中国の様子や生活が少し垣間見えるかもしれません。
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