「全国書店員が選んだおすすめコミック」でブームを先取りしよう!
更新日:2020/1/31
「全国書店員が選んだおすすめコミック」。
その名の通り「全国の書店員が選んだ」漫画のなかから、投票数順に15作品が発表される漫画賞であり、2006年から10年以上続いています。
他の漫画賞と一味違うのは、アンケート期間中に「刊行5巻以下」というのが条件であること。巻数が少ないため、読者目線に立つと全巻揃えやすいのが嬉しいですね。
また、無名の作品がランクインすることも多く、漫画好きにとっては「先取り感覚」で楽しめる漫画賞となっています。
今回のコラムでは、最新の「全国書店員が選んだおすすめコミック」1位作品と、歴代の1位作品。そして歴代1位の作品からピックアップし、その魅力を語っていきたいと思います。
第15回(2020年)の第1位作品
『SPY×FAMILY』
『SPY×FAMILY』
遠藤達哉(著)、集英社
凄腕のスパイ「黄昏」と呼ばれる男ロイド、「いばら姫」の異名を持つ殺し屋の女ヨル、人の心を読める超能力を持つの子供アーニャ。それぞれの利害の一致から、互いに正体を隠し、かりそめの家族になった――!
ロイドは大物政治家と接触するために家族を作り、その政治家の息子が通う学校にアーニャを通わせるという大胆すぎるミッションを遂行していきます。
アクションあり、アットホームあり、笑いあり! テンポも最高に良い漫画です。
2位『チェンソーマン』藤本タツキ(著)
3位『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』福田晋一(著)
4位『新しい上司はど天然』いちかわ暖(著)
5位『薬屋のひとりごと』日向夏(原作)、ねこクラゲ(画)、七緒一綺(構成)、しのとうこ(キャラクター原案)
歴代の「全国書店員が選んだおすすめコミック」1位作品
※2006年から2009年は順不同で3~5作、2010年からランキングを1位~15位まで公表という形に変わりました。そのため、2010年からは第1位のみ書いています。
■第1回(2006年)
『働きマン』安野モヨコ
『チーズスイートホーム』こなみかなた
『もやしもん』石川雅之
■第2回(2007年)
『ヴィンランド・サガ』幸村誠
『さらい屋五葉』オノ・ナツメ
『デトロイト・メタル・シティ』若杉公徳
『少女ファイト』日本橋ヨヲコ
『LA QUINTA CAMERA』オノ・ナツメ
■第3回(2008年)
『GIANT KILLING』ツジトモ・綱本将也
『黒執事』枢やな
『オトメン(乙男)』菅野文
『お茶にごす』西森博之
■第4回(2009年)
『聖☆おにいさん』中村光
『ちはやふる』末次由紀
『ストロボ・エッジ』咲坂伊緒
『3月のライオン』羽海野チカ
『Doubt』外海良基
■第5回(2010年)
『flat』青桐ナツ
■第6回(2011年)
『進撃の巨人』諫山創
■第7回(2012年)
『鬼灯の冷徹』江口夏実
■第8回(2013年)
『暗殺教室』松井優征
■第9回(2014年)
『坂本ですが?』佐野菜見
■第10回(2015年)
『魔法使いの嫁』ヤマザキコレ
■第11回(2016年)
『ダンジョン飯』九井諒子
■第12回(2017年)
『からかい上手の高木さん』山本崇一朗
■第13回(2018年)
『とんがり帽子のアトリエ』白浜鴎
■第14回(2019年)
『呪術廻戦』芥見下々
■第15回(2020年)
『SPY×FAMILY』遠藤達哉
(敬称略)
歴代1位作品から5作品ピックアップ!
■第10回(2015年)『魔法使いの嫁』
『魔法使いの嫁』
ヤマザキコレ(著)、 マッグガーデン
ジャンルは、ファンタジー&ラブストーリー。
「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」という性質を持った少女・チセ。“見える目”を持つ、特異体質であったために、疎まれ憎まれる自身の人生を悲観していた時、魔法使いが現れます。「いつか君が良かったと思えるようにしよう」という言葉とともに。
魔法使いや周囲の理解者たちに見守られ、彼女が成長して行く姿に勇気をもらえるのはもちろん、一度ページを開けば、まるでおとぎ話のような繊細な絵、美しく完成されたストーリーに酔いしれることができるはず。
チセと魔法使いの「異類婚姻幻想譚」をぜひ堪能してみてはいかがでしょう?
■第11回(2016年)『ダンジョン飯』
『ダンジョン飯』
九井諒子(著)、KADOKAWA
ファンタジー&グルメといった、珍しい組み合わせのジャンル漫画。
主人公の「ライオス」は、食料不足に困った結果、迷宮内のモンスターを捕まえ、食べてみようと仲間に提案します。
そう、本書は「どのように調理すれば最も美味しくモンスターを食べることができるか」という論理的分析に基づいて描かれています。その調理説明が、ダンジョン(ゲーム内の出来事)とは思えないほど現実的で面白い!
そして、「歩きキノコ」は「大サソリと歩きキノコの水炊き」に。「動く鎧」は「動く鎧の蒸し焼き」や「動く鎧のドワーフ風炒め」に大変身。もちろん、スライムやドラゴンといった定番モンスターも出てきます。
レシピ(栄養バランスのレーダーチャート付き)も載っていますが、もちろん調理はできないので、味をイメージしてみるだけでも楽しいですよ。
■第12回(2017年)『からかい上手の高木さん』
『からかい上手の高木さん』
山本崇一朗(著)、小学館
ジャンルは、青春ラブコメディ。
主人公は中学生の「西片くん」。そのリアクションの大きさから、隣の席の「高木さん」に毎日のようにからかわれています。
それが悔しくて、西片くんは「今日こそオレが高木さんをからかってやる」とあの手この手を尽くすのですが、毎回見事に失敗する……そんなお話です。
いたずらの内容は微笑ましく(筆箱にビックリ箱を仕掛けるなど)、ほっこりした気持ちになりますし、二人の間に芽生える淡い恋心は甘酸っぱく、大人が読めばノスタルジーに浸れること間違いなし。
絶妙なさじ加減で書かれた作品です。一話完結なので初読の方でも手に取っていただきやすいかと思います。
■第13回(2018年)『とんがり帽子のアトリエ』
『とんがり帽子のアトリエ』
白浜鴎(著)、講談社
魔法使いになりたいと憧れる少女・ココ。しかし魔法を使えるのは魔法使いだけ、魔法を使っているところも見てはいけない。
ある日魔法使いのキーフリーが魔法陣を描いているのを見てしまったココは、魔法は「かける」ものでなく「描く」ものだと知り……。
王道のファンタジー作品。ある事件で魔法を学ばざるを得なくなったココの成長物語です。
とびきり美しく描きこまれたイラストは、まるで一枚の絵画のよう。魔法陣ひとつひとつに意味があり、それらも丁寧に描かれています。
魔法を一生懸命学んでいくココの姿に、ワクワクしながら読み進めることができるでしょう。魔法に対する考え方も、きっと変わるはずです。
■第14回(2019年)『呪術廻戦』
『呪術廻戦』
芥見下々(著)、集英社
育ての親でもある祖父が亡くなった虎杖悠仁(いたどりゆうじ)。
その晩病室を出ると、以前悠仁が拾った呪物「両面宿儺の指」を探している伏黒恵(ふしぐろめぐみ)という少年が現れる。
人が死なないうちに差し出すよう言われるが、それはすでにオカルト研究会にわたっており……。
高い身体能力を持つ悠仁が、人の負の感情から生まれる「呪い」をめぐるダークファンタジー。
少年漫画の王道を楽しめるのはもちろん、物語の重厚感、場面転換の上手さも随所に感じられます。ハイスピードで進む物語は爽快感に溢れており、読み手を魅了させますよ。
「全国書店員が選んだおすすめコミック」でブームを先取りしよう
受賞作を見ていただくと、ご存知の作品が多いかと思います。ぜひとも 「全国書店員が選んだおすすめコミック」を読んで、ブームを先取りしてみてはいかがでしょう。
以下の特集では、これまでの受賞作を年代別にみることができます!