犬がテーマのおすすめハートフル小説|犬好きさん必見の作品
更新日:2019/3/18
犬と人間は言葉を交わすことができませんが、一度絆が結ばれるとかけがえのない家族になります。
そんな犬と人間の絆を感じさせる、心がほっこりする小説をご紹介しましょう。
犬好きさんなら思わず微笑んでしまう、あるいは涙してしまうハートフルな作品ばかりですよ。
『白い犬とワルツを』
『白い犬とワルツを』
テリー・ケイ(著)、新潮社ほか
誠実に人生をまっとうしてきた老人・サム。あるとき長年連れ添った妻が亡くなった。
そんなサムの足元には白い犬が。しかし不思議なことに、子供達にはこの白い犬が見えないのだった……。
81歳のサムは、長年苗木を育てる仕事をしながら、妻とともに誠実に生きてきました。
妻に先立たれたため、独りになったサムの身を子供達が案じますが、サム自身は今までの生き方を不思議な白い犬とともに貫こうと決意します。
自身が癌になっても事態を静かに受け入れ、それまでの生き方を貫こうとするサムの姿勢に、爽やかな読後感を感じられる作品です。
『ソウルメイト』
『ソウルメイト』
馳星周(著)、集英社
バーニーズ・マウンテン・ドッグの「余命わずか」という現実、そして死を静かに受け入れようとする家族の話、虐待を受けていたコーギーが新しい飼い主の愛で徐々に家族に溶け込んでいく話など、7種の犬を主人公にした短編集です。
ノワール小説の名手といわれる馳さんの作品。
代表作である「不夜城シリーズ」などの作風とは違った、犬への愛情がたっぷり込められた小説になっています。
ソウルメイト、つまり「魂の伴侶」となった犬たち。
家族の一員である犬とは、人生の伴侶であること、互いに支え合っている存在であること、それらを改めて思い出させてくれます。
『ティンブクトゥ』
『ティンブクトゥ』
ポール・オースター(著)、柴田元幸(訳)
新潮社
たとえホームレスであろうと、ウィリーはミスター・ボーンズにとって最高のご主人様。ところがウィリーが病に倒れ、ミスター・ボーンズはひとり残されてしまう……。
ホームレス詩人・ウィリーの飼い犬であるミスター・ボーンズが綴る物語。
ひとりになり、その後どんなに裕福な飼い主に巡り合っても、ウィリーと一緒だったときのように心が結ばれません。
タイトルの「ティンブクトゥ」とは、地の果て。そして来世に続く場所を指します。ミスター・ボーンズはウィリーと会うため、その地に行く決心をするのですが……。
ウィリーが放浪詩人で、現世に余計なものを抱えていない人だったからこそ、ミスター・ボーンズと唯一無二の関係を結ぶことができたのでしょう。
犬と人間の強い絆にうらやましいとさえ思える作品です。
『盲導犬不合格物語』
『盲導犬不合格物語』
沢田俊子(著)、学習研究社ほか
盲導犬になるには訓練が必要。でも、訓練を受けたからといってすべての犬が盲導犬になれるわけじゃない。人間と同じように向き・不向きがあるのだ。
不合格になった犬に、「ダメ犬」の烙印を押さないで――。
第52回産経児童文化賞を受賞した、児童向けに出版された作品。
子育てにも通じる点があり、大人が読んでもたいへん興味深い内容です。
盲導犬として不合格になった犬たちの「キャリアチャレンジ」、「その後」が紹介されています。
盲導犬になることだけが、全てではないのだと教えてくれる本作。
それぞれの適正に見合ったステージで活躍している犬たちの様子に嬉しくなりますよ。
『優しい死神の飼い方』
『優しい死神の飼い方』
知念実希人(著)、光文社
ホスピス「丘の上病院」に迷い込んだ1匹の犬。レオと名付けられたそのゴールデンレトリバーは、なんと死神だった!
7年前のある事件に縛られる人間の未練を断ち切るため、レオは奔走するが……。
人間の魂を「我が主様」の元へ導くという尊い仕事に就くはずだったのに、人間の未練を断ち切る仕事をすることに不満を感じるレオ。
しかし、死を目前にした人間たちに接していくうちに、その未練の素となる謎を解くことに尽力するようになります。
「天久鷹央の推理カルテシリーズ」で人気の作者らしい、しっかりとしたミステリー仕立ての物語。
犬だけでなく、人間にも優しい目を向けられた作品ですよ。
『ずっと大好きだよ。』
『ずっと大好きだよ。』
三浦健太(著)、講談社
しゃべれない犬が、家族である「あなた」に対して贈る言葉。
犬は、愛する家族とともに時間や世界を共有するのが大好き! 愛し愛されたいのです!
ドッグライフカウンセラーの著者が書いたこの作品。
犬を飼っている人、あるいは飼ったことがある人には思わずうなずいてしまう言葉や、ウルっとくる言葉などが並んでいます。
犬たちの言葉を読んで、もっと愛してあげよう、もっと褒めてあげよう、そして最後までしっかり見届けようという気持ちになることでしょう。
天真爛漫な表情をしている犬たちの写真にも癒やされます。
『スピンク日記』
『スピンク日記』
町田康(著)、講談社
スタンダードプードルのスピンクは飛行機に乗って、主人のポチや美徴さん、そしてキューティー・セバスチャンの元にやってきた。
生後4ヶ月で売れ残りとしてブリーダーのもとから保護されたらしいのだが……。
挨拶が苦手な主人を「ポチ」と呼び、ポチや美徴さん、キューティー・セバスチャンなどに起こる日常の出来事を「スピンク」の目線から楽しく滑稽に語られています。
リズム感ある独特の文体が特徴的な作品。
スピンクの目に映る日常は、実にほのぼのとして温かい気持ちにさせられますよ。
『犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語』
『犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語』
山口花(著)、東邦出版
いじめが原因で話をしなくなった少女と、その少女が救った捨て犬との話。
心を病んだ飼い主を慰める犬の話など、実話をもとに書かれた全14編が収録された短編集。
第1章は飼い主の目線で描かれた物語、第2章は犬の目線の物語を読むことができます。
「涙あふれる」とサブタイトルにあるように、涙なしには読むことができないような、考えさせられる話ばかり……。
犬を飼っている人は、もっともっと大切にしなければと思うことでしょう。
犬だけでなく、きっと人間にも優しくなれる切ない1冊です。
『富士丸な日々』
『富士丸な日々』
穴澤賢(著)、ベストセラーズ
30代独身男性の「父ちゃん」と1DKで同居する、ハスキーとコリーのミックス犬「富士丸」。
父ちゃんと一緒に、のんびりマイペースに暮らす富士丸の日々は……。
ブログで人気が出て書籍化された作品です。富士丸の写真もたっぷり掲載されているので、その暮らしぶりにほっこりさせられますよ。
父ちゃんの突き放したような言葉の端々にも、富士丸への愛情を感じてほのぼのと幸せな気分になります。
富士丸の死から約1年後に出版された、穴澤さんの苦悩と再生が書かれた『またね、富士丸。』も合わせて読んでみてくださいね。
『犬が虹を渡るとき一番に思い出すのはあなただろう』
『犬が虹を渡るとき一番に思い出すのはあなただろう』
秋山みつ子と犬仲間たち(著)、竹書房
ノンフィクション作家の秋山さんが取材した、実話をもとに描く犬と飼い主を紡ぐ10の物語からなる短編集。
本書に登場する「虹の橋」のお話。動物を飼ったことのある人は聞いた事があるのではないでしょうか。
天国のすこし手前、虹の橋と呼ばれる場所があり、亡くなった動物たちはそのふもとでいつの日か飼い主が来るのを待っていると言われています。
この本の最後に記された“虹の橋のふもと”から届くメッセージには、飼い主へのたくさんの感謝と愛が綴られています。
ひとたび読めば、犬と人間の間にある目には見えない絆のようなものを実感するでしょう。涙なくしてこの本は読みきれません。
まさに「果てしなく優しい」ハートフルな1冊です。
犬にも人間にも優しくなれるハートフルな作品
ご紹介した作品は、読んだ後、犬にも人間にも優しくしようと思える温かい気分にしてくれる本ばかりです。
犬は言葉をしゃべらないけれど、人間の気持ちは分かっているのだなと感じさせられますよ。
犬を飼っている人は最後まできちんと見届けようと改めて思い、優しく支え合って行こうと思うのではないでしょうか。
犬をテーマにしたハートフルな作品で、ほっこり温かい気持ちになってみませんか?
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