『赤毛のアン』の世界を知ることのできる本|大人になった今こそ名作を振り返ろう
更新日:2019/1/25
『赤毛のアン』はルーシー・モード・モンゴメリ原作の文学作品です。
何度も映像化がされているため、原作を読んでいなくてもなんとなくストーリーを知っている方が多いのではないでしょうか。
子供の頃に読んだことのある方も、大人になった今こそ再び『赤毛のアン』の世界に没頭してみませんか?
「『赤毛のアン』全シリーズ」のストーリーや、おすすめの関連書籍などをご紹介します。
『赤毛のアン』少女から大人への変化
『赤毛のアン』が日本で翻訳され、出版されたのは1952年です。
翻訳家であり児童文学作家の村岡花子が、本作を初めて翻訳しました。
村岡花子といえば、2014年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の主人公にもなった人物。
ここでは村岡花子が訳した「『赤毛のアン』シリーズ」のストーリーを、今一度振り返ってみましょう。
『赤毛のアン』
ルーシー・モード・モンゴメリ(著)、村岡花子(訳)
新潮社
『赤毛のアン』は、老いた兄妹の家にある手違いで引き取られることになった、孤児の少女 アン・シャーリーの物語。
シリーズ1~5巻では、カナダのプリンスエドワード島を舞台に、1人の少女の成長と少女を取り巻く人々の様子がみずみずしく描かれています。
思春期の少女から大人の女性へと変化するアン。婚約者ギルバートとの3年に渡る遠距離恋愛の様子も垣間見られます。
また、アンの周囲の人々にスポットがあてられたシリーズ作品もありますよ。
アンの結婚後のエピソード
シリーズ6作目以降には、アンとギルバートの新婚生活が描かれます。
少女から大人への成長が描かれる3~5作目くらいまでは読んだことがあっても、アンの結婚後の生活について読んだことのない方も多いでしょう。
ギルバートとの間に6人の子供が誕生し、その子供たちの成長ぶりも楽しむことができるんです!
シリーズ最終巻となる『アンの娘リラ』では、家族が戦争に巻き込まれていく過程が、アンの娘・リラの視点から読むことができます。
最初は不幸な孤児でしかなかったアンが自分の道を切り開き幸福を実現していく姿に、子供の頃とは違った感動を抱く方は多いことでしょう。
大人になった今だからこそ、アンが夢を叶えるためにした決断の重大さや手に入れたものの価値の大きさに気付くことができるのではないでしょうか。
『赤毛のアン』の世界を身近に感じられる本
赤毛のアンをより身近に感じさせてくれる本をご紹介します。
小説を読んだ後や、読む前に眺めるだけでより深く『赤毛のアン』の世界に浸ることができるでしょう。
『赤毛のアンの島へ』
山内史子(著)、吉村和敏(写真)、MOE編集部(編集)
白泉社
『赤毛のアン』の物語の舞台となっているプリンスエドワード島の旅行ガイドのような1冊。
人気絵本や文学作品の物語の舞台となっている場所を数多く訪ね歩いてきた山内史子。
そして、20年以上プリンスエドワード島を撮影し続けているカメラマン・吉村和敏が手掛けています。
アンが養父母と暮らしたグリーン・ゲイブルズ・ハウスはもちろん、物語に登場する場所が数多く掲載されており、写真集のように楽しむことも。
実際に出かけなくても物語の舞台となった場所をよりリアルに感じることができる内容ですよ。
アンの物語を読んで思い浮かべていた景色を、きっと身近に感じられることでしょう。
『L.M.モンゴメリの「赤毛のアン」クックブック』
ケイト・マクドナルド(著)、ルーシー・モード・モンゴメリ(著)、岡本千晶(訳)
原書房
アンが育った家の周りは果樹園になっており、作中にはアップル・ラズベリー・プラムといった多くのフルーツを使用したお菓子や料理が登場します。
子供時代に赤毛のアンの本を読んで、美味しそうなスイーツの表現についよだれが出そうになったという経験を持つ人も多いのではないでしょうか?
本作の著者は、モンゴメリの孫娘であるケイト・マクドナルド。
『赤毛のアン』『アンの青春』『アンの幸福』それぞれのシリーズに登場する料理のレシピが写真とイラストで紹介されています。
たとえば、アンの親友ダイアナの好物である木苺のジュース(ラズベリー・コーディアル)の作り方や、アンがバニラエッセンスと痛み止めの薬を取り違えて作ってしまったケーキのレシピなど、原作の世界を楽しむことができます。
本の中の料理を実際に作って食べることができるなんて素敵ですよね。
翻訳者・村岡花子が翻訳した本
村岡花子はモンゴメリ作品だけでなく、児童文学を中心に数多くの本を翻訳しました。
時代を超えて愛される、村岡花子が翻訳したおすすめ作品もご紹介します。
『少女パレアナ』
エレナ・ホグマン・ポーター(著)、村岡花子(訳)
角川グループパブリッシングほか
パレアナは前向きな性格で、「なんでも喜ぶ」というゲームを一人で楽しむ明るい少女。
自分を不幸だと感じている人達がパレアナと出会うことで考え方が変わっていき……
アメリカの小説家エレナ・ポーターの小説で、アニメ「愛少女ポリアンナ物語」の原作となった作品。
物語は、孤児となったパレアナが叔母の家に引き取られるところから始まります。
ついマイナス思考になってしまう人や落ち込みやすい人など、自分の考え方を変えたいと感じているすべての人におすすめしたい一冊です。
『クリスマス・キャロル』
チャールズ・ディケンズ(著)、村岡花子(訳)
新潮社ほか
冷酷で誰からも愛されない主人公スクルージが、クリスマスイブの日に3人の幽霊に導かれ不思議な体験をする物語。
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの小説です。
人はどのように生きるべきなのかという重みのあるテーマでありながら、語りがユーモラスで読みやすいのが特徴。
村岡花子らしい翻訳で、軽妙なテンポで読み進めることができますよ。
またページ数が少ないため、時間をかけずに読み切ることができるでしょう。
『赤毛のアン』の世界に触れてみて
『赤毛のアン』を大人になってから読むと、子供時代には理解できなかった部分を深く読み解くことができます。
子供だけでなく、大人にとっても名作であることに気付かされるでしょう。
シリーズ作品と一緒に、関連書籍や村岡花子の他の作品なども、ぜひチェックしてみてくださいね。
今回紹介した書籍
『赤毛のアン』
ルーシー・モード・モンゴメリ(著)、村岡花子(訳)、新潮社
『赤毛のアンの島へ』
山内史子(著)、吉村和敏(写真)、MOE編集部(編集)、白泉社
『L.M.モンゴメリの「赤毛のアン」クックブック』
ケイト・マクドナルド(著)、ルーシー・モード・モンゴメリ(著)、岡本千晶(訳)、原書房
『少女パレアナ』
エレナ・ホグマン・ポーター(著)、村岡花子(訳)、角川グループパブリッシングほか
『クリスマス・キャロル』
ディケンズ(著)、村岡花子(訳)、新潮社ほか
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