はじめてのアガサ・クリスティ|ミステリー小説を読もう!
更新日:2019/1/9
「アガサ・クリスティ」
名前は知っているけれど、作品は読んだことがないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、アガサ作品を読んだことがない方にも読みやすく、楽しめる本をご紹介します。
そのトリックやストーリーの面白さにハマってしまうこと間違いなしです!
自身もミステリアスな事件を起こした…
アガサ・クリスティとは
アガサ・クリスティは、「ミステリーの女王」と称されるイギリスの推理作家です。
三人兄弟の末っ子ですが、兄や姉と違い学校には通わず、母親の教育を受けて育ちました。そのため、7歳までは字を書けなかったそうです。
家にこもって育ったアガサ・クリスティの友達は、空想上の友人だけ。父の書斎の本を読みふけり、空想上の友人と遊ぶ。そんな幼少期が、さまざまなミステリー作品を生み出す基盤となったのでしょうか。
1914年に結婚したアガサ・クリスティは看護師として働き、薬物や毒薬についての知識を身に付けます。この知識が、のちの彼女の作品に役立ったといわれています。
そして1920年に『スタイルズ荘の怪事件』でデビューし、1926年に発表した『アクロイド殺し』で一躍有名に。
ところが同年、アガサ・クリスティは謎の失踪事件を起こします。
いろいろな憶測が飛び交う事件でしたが、失踪について真実が語られることはありませんでした。
その後、アガサ・クリスティの創作意欲は晩年まで衰えることはなく、多くの作品を残しています。
アガサ・クリスティの作品の特徴や魅力
アガサ・クリスティの作品は、トリックが巧みなこと、シンプルで読み易いこと、会話が多いことが特徴。
また、人物描写が生き生きとしていることも魅力のひとつです。
例えば、アガサ作品の登場人物として欠かせないエルキュール・ポアロ。
エルキュール・ポアロの人物設定は、卵型の頭、特徴的な口髭、小男、そしてうぬぼれ屋です。
非常にコミカルな風貌が浮かびますよね。しかし、彼の灰色の脳細胞は、小さな違和感を見逃しません。
また、こちらもアガサ作品を語るには欠かせない、老嬢ミス・マープル。
彼女は小さな村に住み、編み物や庭いじりが趣味という一見どこにでもいそうな人に思えます。
しかし、そんな彼女が会話や噂話からヒントを得て、見事に事件を解決に導くのです。
このように、魅力的な主人公を思い浮かべながら読み進むことができるのが、アガサ作品の魅力と言えるでしょう。
初心者におすすめのアガサ・クリスティ作品5選
ここで、アガサ作品を読んだことがない方にも読みやすい、おすすめの作品をご紹介します。
※ネタバレにはご注意ください。
ABCが招く連続殺人事件
『ABC殺人事件』
『ABC殺人事件』
新潮社ほか
名探偵ポアロのもとに「ABC」と称する人物から一通の挑戦状が送られてきた。
挑戦状に書かれていた予告通りに、Aで始まる地名の町で名前の頭文字がAの女性が死体で発見される。現場には「ABC鉄道案内」が添えられていて……。
テンポ良く展開するのでサクサクと読むことができる作品です。
鍵となる人物の設定が非常に巧みで、犯人捜しをする読者を困惑させることでしょう。
アガサ作品を初めて読む方に、特におすすめしたい1冊です!
名探偵ポアロ誕生!
『スタイルズ荘の怪事件』
『スタイルズ荘の怪事件』
早川書房ほか
戦争で怪我を負ったヘイスティングズが、友人であるジョンの招きでスタイルズ荘を訪れた。
ある夜、ジョンの義母であり屋敷の女主人が突然死亡。その死を不審に思ったヘイスティングズは、旧友のポアロに事件解決を依頼するが……。
アガサ・クリスティのデビュー作にして、名探偵ポアロと、その相棒ヘイスティングズが誕生した記念すべき作品です。
人間の根底にある嫉妬や欲望にぞっとすると同時に、あっと驚く結末が。ミステリー小説の楽しさがぎゅっと詰まっています。
登場する人物像がはっきりしているので、ミステリー小説を読んだことがない人でも読み易いですよ。
列車の中という密室殺人事件
『オリエント急行の殺人』
『オリエント急行の殺人』
早川書房ほか
オリエント急行一等車両の乗客である富豪のラチェットは、自身が脅迫されていることからポアロに護衛を依頼。
ところが雪のせいで列車が立ち往生した夜に、ラチェットは刺殺されてしまう。密室状態の車両に乗り合わせた乗客達には、全員アリバイがあり……。
何度も映画やドラマになっているので、タイトルだけは知っているという方も多いのではないでしょうか。
この作品の魅力は、意外過ぎる犯人にあります。大胆なトリックが張り巡らされた本格ミステリーで、読み応えは充分!
悲劇が悲劇を呼ぶストーリー展開にミステリー小説の醍醐味が詰まっています。アガサ・クリスティの代表的な作品のひとつです。
無邪気という罪の恐ろしさ
『鏡は横にひび割れて』
『鏡は横にひび割れて』
早川書房
老嬢ジェーン・マープルが住む村に、かつての大女優マリーナがアメリカから引っ越してきた。
マリーナの家で盛大なパーティーが開かれるが、その会場で一人の女性が変死を遂げる。
さらに、第2、第3の事件へと発展していき、ミス・マープルが事件解決に乗り出すが……。
犯行に至る動機が重要なポイントになってきます。
登場人物が多く少し複雑ですが、意外な動機や巧妙なトリックを面白く感じられるでしょう。
義憤にかられたマープルが事件を解決!
『ポケットにライ麦を』
『ポケットにライ麦を』
早川書房
ある日、投資信託会社の社長が毒殺された。彼のポケットにはなぜかライ麦が……。
その後連続殺人が発生し、かつて自身に仕えていた娘が殺されたことで怒りにかられたマープルが事件解決に乗り出した!
マザー・グースの「6ペンスの唄」がポイントとなり、人の心の弱さが事件の鍵となっています。
その悲劇的な結末には深い悲しみの余韻を与えられることでしょう。
登場人物が整理しやすく構成されているので、サクサクとテンポよく読めるのではないでしょうか。
また、イギリスの古典的な上流階級について描かれた小説として読んでも面白いですよ。
はじめてのアガサ作品、読んでみては?
アガサ・クリスティについてご紹介しました。
アガサ作品に登場するポアロもマープルも、読み手にとって親しみやすく魅力的な人物です。
まだ作品を読んだことがないという方は、その精妙な人物描写や世界感に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
ミステリー小説を読んだことがない方も、まずは彼女の有名な作品から読んでみることをおすすめします。
事件を起こしてしまう人間の根底にある悲しみを読み取りながら、巧みなトリックを楽しんでみませんか?
今回紹介したアガサ・クリスティの書籍
『ABC殺人事件』
新潮社ほか
『スタイルズ荘の怪事件』
早川書房ほか
『オリエント急行の殺人』
早川書房ほか
『鏡は横にひび割れて』
早川書房
『ポケットにライ麦を』
早川書房
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