『読むと心が温まる』村山早紀のおすすめ小説10選
最近なんとなく心が疲れている……そんな人におすすめなのが村山早紀さんの小説です。
村山さんは椋鳩十児童文学賞を受賞した人気の児童文学作家ですが、大人の心にも沁みる作品を数多く書いています。
今回はそんな村山作品の中から、疲れたあなたの心をじんわりと温めてくれるおすすめの作品をご紹介します。
本や書店を愛する人に
『桜風堂ものがたり』
『桜風堂ものがたり』
PHP研究所
この物語の主人公は月原一整。老舗百貨店内の「銀河堂書店」に勤めています。
他人との関わりを避けてしまう不器用な性格の反面、まじめで心優しい青年で、隠れた名作を見つけ出すことを得意としていました。
しかし、万引き事件がきっかけで長年勤めた書店を辞める事になり、住んでいた町を離れ旅に出ます。
とある町で訪れた「桜風堂書店」。そこで一整に待ち受けていた、思いがけない出会いとは……。
村山さんの一番の人気作品がこの『桜風堂ものがたり』。
本と書店を心から愛する作者が綴る、心がじんわりと温まる物語です。
書店員の目に見えないところでの奮闘ぶりを描いていることから、実際に本屋で働いている店員さんも読んでいて励まされたという人が多く、「2017年本屋大賞」にもノミネートされました。
『桜風堂ものがたり』続編・待望の新作
『星をつなぐ手』
『星をつなぐ手』
PHP研究所
一整はその誠実で真面目な性格で、様々な人達との信頼関係を築いてきました。
桜風堂書店を任された一整は「四月の魚」をヒット作へと導きます。しかし、なかなか地方には配本を回すことができないなど、新たな壁にぶつかります。
そんな中、以前働いていた銀河堂書店のオーナーから呼び出され……。オーナーの提案とは一体?
そしてラストには桜風堂を愛する人々が集う、冬の「星祭り」の日にある奇跡がおきる。
『桜風堂ものがたり』の続編にあたる物語。2018年に出版された待望の新刊です。
つい荒みがちなこの世の中、なかなか人を信じられなくなってしまう時もありますよね。
そんな時にこの物語を読むと「この世の中も悪くない」と温かい気持ちになれます。
大事な探し物がある人が訪れる
『コンビニたそがれ堂』
『コンビ二たそがれ堂』
ポプラ社
風早の街、夕暮れ時。
古い商店街の外れにいつの間にやら現れるコンビニ。
この世にあるもの、ないもの、どんなものでも売っていて、大事な探し物がある人だけがここに辿り着けるそう。
そしてその探し物は必ずここで見つかるという。
不思議なコンビニの名前は「たそがれ堂」。
リカちゃん人形を探す女の子、友達と別れてしまった男の子、仕事に疲れた女性アナウンサーなど、心に傷や痛みを持った人々が描かれている短編集です。
どこか切ないけれど、愛情に溢れていて、優しい気持ちになれる物語です。
児童書ですが、大人が読むとより深く心に沁みることでしょう。
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ノスタルジックな気分になる
『百貨の魔法』
『百貨の魔法』
ポプラ社
「閉店が近いのでは?」と存続が危ぶまれている、創業50年を迎えた老舗百貨店「星野百貨店」。
そこで働く人々は個々で色んな悩みを抱えながらも、街の人々に愛され続けてきたデパートを守るため、日々奮闘しています。
キーとなるのは、館内に住む願い事を叶えてくれると噂される「白い猫」。
不思議な白い猫が巻き起こす奇跡とは……。
ファンタジックな要素もいたるところに見られる心温まる物語。
ネットが普及し、デパートという存在のあり方が変わろうとしている今日この頃ですが、この本はデパートがまだ「何でもある百貨店」として人々の夢を象徴していた時代を思い出させてくれる、ノスタルジックな雰囲気が溢れる作品です。
村山作品の原点
『はるかな空の東』
『はるかな空の東』
ポプラ社
主人公は幼い頃の記憶がない少女・ナル。
ナルは自分に似た長い髪の少女が登場する不思議な夢をいつも見るようになります。
その少女は一体だれなのか? その謎を解くべく異世界に旅立つナルを待ち受けていたものとは?
幻獣と精霊、魔術師が登場する正統派の壮大な冒険ファンタジーです。
村山さんの作品の原点とも言われるこの物語は、20年前に書かれ絶版になっていましたが、新たに書き下ろした最終章を加えて文庫化されました。
村山さんの最近の作品しか読んだことがないという人も、ぜひ読んでみて欲しい一冊です。
ほっこりしたいあなたに
『カフェかもめ亭』
『カフェかもめ亭』
ポプラ社
舞台は風早の街にある小さなカフェ。
店主・広海がお客さんから聞いた、ちょっと不思議で、やさしいお話。
このカフェかもめ亭は大人気作『コンビニたそがれ堂』の姉妹編で、全8編を集めた短編集です。
現実なのか想像なのか、日常と非日常の曖昧さを描き出す村山さんの世界感がここでも発揮されています。
カフェでほっこりしたい人の一冊としてもおすすめです。
1人でふらっと立ち寄るだけでホッとする、そんなカフェがあったらいいですよね。
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植物と会話できる家族の物語
『花咲家の人々』
『花咲家の人々』
徳間書店
風早の街で古くから続く花屋「千草苑」を営む花咲家。
この家族は先祖代々、植物と心を通じ合わせることの出来る魔法の力を持っていて……。
美しい長姉、現実主義の次姉、ちょっと頼りない末弟の三姉弟を取り巻く、心温まる物語。
命の大切さを感じさせてくれる温かい物語が集まっていて、シリーズ化もされています。
植物好きの人にもおすすめしたい作品です。
村山さんの作品はそれぞれ物語が違っていても、同じ街が舞台となっているなど、どこかで作品同士がつながっているのも魅力の一つです。
⇒シリーズ作品はこちら!
本という不思議な世界
『ルリユール』
『ルリユール』
ポプラ社
夏休みに訪れた祖母の暮らす街、風早で主人公の瑠璃が迷い込んだのは、後悔や強い思いを持った人だけが辿り着くことのできる不思議な洋館「ルリユール黒猫工房」。
そこでルリユール職人のクラウディアに出会い、その不思議な世界に惹かれていきます。
「ルリユール」とは、本の修復や美しい装丁を行う技術です。
読書や本が好きな人は特におすすめですが、誰が読んでも、本というものにロマンを感じさせてくれる作品です。
優しい気持ちになれる
『アカネヒメ物語』
『アカネヒメ物語』
徳間書店
主人公のはるひは普通の人には見えないものが見える、霊感の持ち主。
ある日、引っ越し先である風早の街の西公園で、ひとりの女の子と出会います。
どこか不思議な雰囲気を持つ女の子はその土地の神様・アカネヒメでした。
アカネヒメは神様といってもまだ幼く、いつも一人ぼっちで寂しく過ごしていました。
はるひとアカネヒメは次第にうちとけ合っていき……。
二人の友情を通して描かれたこの作品は、どこか懐かしく、読者を子どもの頃の世界へと誘います。
読み終わると疲れた心がすっと癒されている……そんな物語です。
心が和む不思議な世界
『その本の物語』
『その本の物語』
ポプラ社
病院のベッドで眠り続ける沙綾。沙綾のもとに通い、二人が子どもの頃に好きだったお話を朗読し続ける南波。
そのお話とは魔法の薬で人々を癒す「風の丘のルルー」の物語でした。
一つの物語の中にもう一つの物語が入れ子のように描かれることで、読者を不思議な世界へと導きます。
上下巻ある大作ですが、一気に引き込まれてしまいます。
まっすぐに生きることの大切さ
村山さんの小説の登場人物はみな、どこか不器用でも誠実に生きる人々で、まっすぐ生きることの大切さを教えてくれます。
ファンタジー小説ならではのワクワク感もあり、どれも楽しく読める作品になっています。
心が疲れた時に読むと、ほんわかと癒されて優しい気持ちになれますよ。
泣いて心のデトックス。