【コバルト文庫10選】80~90年代の懐かしい名作をもう一度!
更新日:2019/2/7
ライトノベルの先駆けといえば思い浮かぶのがコバルト文庫(集英社)。1976年創刊のコバルト文庫は、2016年で創刊40周年を迎えました。
中高生の頃に一度はコバルト文庫を手にしたことや、勉強もせずに夢中になって読んだりした経験がありませんか?
今回は、歴史ある人気シリーズの中から厳選!
1980~90年代に刊行された、読んでいた方にとって懐かしく、筆者にとっても思い出のある作品をご紹介します。
氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』
『なんて素敵にジャパネスク』
氷室冴子(著)
コバルト四天王の一人と呼ばれる氷室冴子氏。第10回「小説ジュニア青春小説新人賞」を受賞し、小説家デビューしました。
本作がちょっと他のコバルト文庫の作品と違っているのは、時代背景が平安時代であること。
宮廷の貴族社会が舞台で、ヒロインは16歳の適齢期の女の子・瑠璃姫(るりひめ)です。
時代や状況が大きく違っていても、ヒロインが恋愛や結婚、家族の問題などに悩む姿は、現在の女の子と同じです。
読者も、平安時代という特殊な時代設定は意識せずに瑠璃姫に感情移入してしまうことでしょう。
コバルト四天王、氷室氏の作品を堪能してみてください。
久美沙織『丘の家のミッキー』
『丘の家のミッキー』
久美沙織(著)
超がつくほどのお嬢様学校に通っていた未来だったが、ある日普通の学校に転校することになってしまう。平和だった学園生活は一変し、最初は新しい環境や友達になじめずにいた。
しかし、少しずつ自分自身の考え方に変化を感じるようになり……。
久美氏も氷室氏と同様、コバルト四天王と呼ばれる、人気作家のひとりです。
1980年代の久美氏の人気代表作といえば、本作をあげることができるでしょう。
本作は、アイデンティティに目覚める多感な時期の女の子の、揺れる気持ちや成長していく姿を描いた作品です。
6作目までが中学編、第7作目から10作目までが高校編という構成なので、ぜひシリーズの他作品もお楽しみください。
桑原水菜『炎の蜃気楼』
『炎の蜃気楼』
桑原水菜(著)
ある日「直江信綱」と名乗る謎の青年に出会った高校生の高耶。高耶はその青年に「あなたは上杉謙信の息子である」と告げられるのだが、もちろんそんな記憶はなくて……。
本作を含む「炎の蜃気楼シリーズ」は、桑原水菜さんの代表作です。
悪霊と化した戦国時代の武将たちが戦いを繰り広げるが「闇戦国」が舞台。彼らを冥界に送るという使命をもつ上杉夜叉衆の友情や、心の葛藤や苦悩などが描かれます。
そのストーリー性の高さはもちろん、愛憎渦巻く高耶と義明の関係は読者に衝撃を与え、女性たちから圧倒的な支持を得ました。
新井素子『あたしの中の……』
『あたしの中の……』
新井素子(著)
バスの転落事故にあったらしい「あたし」が目を覚ますと、そこは病院。
高校生の「あたし」はバスの転落事故を起こした容疑者のように扱われている。けれど記憶を失っていて何も思いだせなくて……。
少女小説の代名詞と呼ばれるコバルト文庫。中でも人気のSF作家といえば、新井素子氏でしょう。
本作は、「第1回奇想天外SF新人賞」で佳作入選した作品で、新井氏のデビュー作でもあります。
ショートショートの神様と呼ばれるSFの大家、星新一氏も絶賛したという本作は、SFファンを魅了する作品です。
一方で、一人称が「あたし」という独特の親しみやすい文体。
作者が高校生の時に書いた本作は、読みやすく軽快なタッチで書かれているため、SFは苦手!という方にもおすすめです。
藤本ひとみ『星色のフィナーレ』
『星色のフィナーレ』
藤本ひとみ(著)
母の再婚によって、親友が思いを寄せている美馬と同じ家に住むことになってしまった花純。最初は自分の気持ちを抑えようとするが、美馬への思いは強くなっていき……。
本作は、「新花織高校恋愛サスペンス」シリーズの一作です。
ストーリーの中心人物は、運動神経抜群の高校生の花純(かすみ)。そして御曹司の中学生の貴司(たかし)です。
こちらのシリーズでは美馬ファンが多く、彼に夢中になってしまった女の子たちも少なくないでしょう。
二人の恋の行方が気になる方はシリーズを通して通読してみてください。
中毒性が高い藤本氏の少女小説は、思わず夢中になって読んでしまうことでしょう。
藤本氏は、歴史小説や犯罪心理小説の分野でも活躍しています。
田中雅美『謎いっぱいのアリス』
『謎いっぱいのアリス』
田中雅美(著)
幸は、学園の人気者である小沢くんの写真を撮りたくて写真部に入部。ところが学園で殺人事件が起きてしまい、その被害者はなんと小沢くんだった!
しかも殺人犯は、同じ学園の人間である可能性が高いようで……。
コバルト四天王の一人で、コバルト文庫ではおなじみの人気作家、田中雅美氏の作品です。
楽しく読めるコバルト文庫ならではの学園ミステリーは再読の価値ありです。
田中氏のファンの方は、もう一度アリスシリーズを読み返してみませんか?
前田珠子『漆黒の魔性』
『漆黒の魔性』
前田珠子(著)
「魔性」を唯一倒すことのできる破妖の剣「紅蓮姫」。選ばれた破妖剣士・ラエスリール(通称:ラス)は、護り手の闇主(あんしゅ)とともに、魔性と戦う日々を送るが……。
斬新な設定が人気を博したアクションファンタジー作品。この「破妖の剣」シリーズは、前田さんの代表作でもあります。
完璧な美貌を持つ闇主に憧れたと言う人も多いのではないでしょうか?
第1作目の刊行は1989年。それから20年後の2017年に本編が全40巻でついに完結しました。
一気読みして寝不足になること間違いなしですよ!
日向章一郎『放課後のトム・ソーヤー』
『放課後のトム・ソーヤ―』
日向章一郎(著)
水泳部の先輩からチョコレートをプレゼントされて大喜びのケンイチ。先輩が屋上から墜落して謎の死を遂げることから、事件に巻き込まれてしまい……。
コバルト作品の主人公は、女の子であることがほとんどです。しかし、本作では男の子が主人公となっています。
なぜ、先輩は殺されたのか、そしてチョコレートに残されていた暗号文の意味は?
学園が舞台のミステリーは、ユーモアミステリーファンなら読んでみて損のない作品です。
今野緒雪『夢の宮 竜のみた夢』
『夢の宮 竜のみた夢』
今野緒雪(著)、かわみなみ(絵)ほか
鸞国の「幸福の姫君」瑛蘭(えいらん)は、幼い頃から一緒に過ごしてきた王子2人のどちらかを王に指名しなくてはならなくて……。
「マリア様がみてるシリーズ」でお馴染みの今野緒雪さんのデビュー作品が含まれたオムニバスストーリー。コバルト大賞も受賞した名作です。
「夢の宮」という後宮を舞台に、さまざまな恋模様が描かれます。ハッピーエンドからとても切なくなるようなお話まで楽しむことができますよ。
中華風ファンタジーがお好きな方には特におすすめです。
赤川次郎『吸血鬼はお年ごろ』
『吸血鬼はお年ごろ』
赤川次郎(著)
エリカは特殊能力を持つ、普通の女の子とはちょっと違った高校生の女の子。そんなエリカの通う学校のテニス部で殺人事件が起こり、「犯人は吸血鬼では?」という噂が流れる。
そこで事件を解明すべく立ち上がったのが、トランシルヴァニアの吸血鬼を父に持つエリカだった!
赤川次郎氏は1976年に『幽霊列車』で第15回「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、小説家としてデビューしました。ドラマ化、映画化されている作品も多く、多くの人に親しまれているミステリー作家です。
1981年にコバルト文庫で刊行された本作は、30年以上も続く、人気シリーズの一作目です。
ユーモアミステリーが大好き、という方は、ぜひ一度読んでみてくださいね。
あの頃を思い出して、もう一度読んでみよう!
幼い頃に夢中になったコバルト文庫をもう一度読んでみませんか?
恋愛小説はもちろん、SFあり、ミステリーあり、歴史ものあり……と、いろいろなジャンルが楽しめます。
80年代、90年代のコバルト文庫は、大人になってからもう一度読む価値ありです!
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