早川書房限定! 宇宙が題材のSF小説 おすすめ5作
みなさんは、宇宙を題材にしたSFものというと、映像作品である『スタートレック』や『スター・ウォーズ』などの作品をイメージするでしょうか。
実は映像作品だけでなく、SF小説の世界も、時代の進歩とともに科学技術の取り入れられ方も高度に進化しています。いわゆる、ハードSFというジャンルです。
今回はSFやミステリー作品を多く出版している早川書房の作品に限定して、宇宙ものSFのオススメを5作品ご紹介します。
ロボット工学にも影響を与えた作品
『鋼鉄都市』
『鋼鉄都市』
アイザック・アシモフ(著)
SF作家ビッグスリーの一人、アイザック・アシモフ氏のSFミステリー作品。
現代でいうAI(人工知能)や、IoT(テレビやエアコンなどの「モノ」がインターネットにつながる仕組み)などの技術が、1954年に刊行された本作に描かれています。
著者が示したロボット三原則は、現実のロボット工学にも影響を与えました。
※ロボット三原則…人間への安全性、命令への服従、自己防衛
舞台は、惑星国家を築いた宇宙人に支配される未来の地球。
その宇宙人が地球人に殺害され、捜査を任された地球人の刑事が宇宙人側のロボットのパートナーとともに事件の謎を解決していくというストーリー。
ロボット三原則を悪用したトリックによるミステリー要素が、SF作品にとどまらない本作の魅力です。
ロボットと人間の対比は様々な作品で描かれますが、科学とともに歩む人間の素晴らしさが感じられるラストはすっきりと読み終えられます。
アンドロイドと人間の、何が違う?
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
フィリップ・K・ディック(著)
大ヒットしたSF映画『ブレード・ランナー』の原作がこの作品です。
著者の作品は『トータル・リコール』や『マイノリティ・リポート』なども映画化されヒットしました。
人類が宇宙への進出を果たした近未来を舞台に、感情を持つようになったアンドロイドと人間は何が違うのか? 人間、生命とは何なのか? という問いかけを与えてくれる作品です。
アンドロイドやロボットが意思や感情を持つという設定は、以降様々なメディア作品で取り上げられる普遍的なテーマになっています。
『ブレード・ランナー』の設定は2019年で、本作の設定は1990年代。今ちょうどその時期を迎え、AIがブームとなっている現代だからこそ、リアリティのあるテーマと言えるのではないでしょうか。
SF超大作!
『ハイペリオン』
『ハイペリオン』
ダン・シモンズ(著)
宇宙もののSFシリーズ作のなかでも、叙事詩的大作と言われるハイペリオンシリーズ。全4部作で刊行され、全部を合わせると2,500ページにも及ぶ超大作。
28世紀、人類が築いた「宇宙統一政府」に参加することを拒否し、「ハイペリオン」という謎の惑星へ向かう7人の巡礼者。
ひとりひとりの回顧録が一つの章をなし、それぞれが短編として読める物語になっています。
ひとつの章を終えるごとに、全体の世界観が見えてくる……と同時に、それが2作目への伏線となっていくという展開です。
SFの要素にとどまらず、ロマンスやサスペンス作品としても読めて、一つの章の完成度の高さが物語に引き込まれていく理由でしょう。
すぐにでも次を読みたくなるような終わり方なので、2作目にあたる『ハイペリオンの没落』もいっしょに買っておくことをおすすめします!
難しい、だけど読む手が止まらない!
『順列都市』
『順列都市』
グレッグ・イーガン(著)
ハードSFの第一人者、グレッグ・イーガン氏。宇宙論や認知科学など、最新科学技術が満載の作品を世に送り出しているオーストラリアの作家です。
読み進めるごとに面白く、描かれている世界観に圧倒され、気付けば引き込まれていくのが人気の理由でしょう。
そのなかでもエンターテイメント寄りと言われるのが当作品です。
電脳空間のなかで、人格までもが複製されて生きられる世界。複製された人格は「コピー」と呼ばれ、生身の人間とコピーがともに生きています。
生身の人間とコピー2人ずつ、4つの視点で綴られる物語はミステリー仕立てになっており、次の展開が気になって仕方がなくなることでしょう。
難解と言われる「塵理論(ちりりろん)」というコンピュータ理論を題材としており、永遠の生命や、コピーの人格を掘り下げることで人間の本質に迫る、知的興奮に満ちた一冊です。
そう遠くない、未来の物語。
『あなたの人生の物語』
『あなたの人生の物語』
テッド・チャン(著)
8つの作品が収められたSF短編集。
表題作となっている『あなたの人生の物語』は、『メッセージ』という題名で映画化され、2017年のアカデミー賞ノミネート作品になりました。
原作もヒューゴー賞、ローカス賞、スタージョン賞、ネビュラ賞などを受賞した評価の高い作品です。
「ヘプタボット」というエイリアンの言語の解読を任された主人公に、エイリアンと同じ未来認識能力が備わっていくという筋立て。
この能力の高まりによる認識の変化が伏線を与え、その視点から母と娘の心情が描かれる場面は感動を誘います。
宇宙もののSFというと、スペースオペラやサイバーパンク的な作品を目にすることが多いですが、それらの作品とは一風異なり、現代のSF作品は確実に進化しています。
果てしない宇宙に人間の未来の姿を求めて
わたしたちの未来の姿として、人類の宇宙への進出は想像力を掻き立てる格好の素材です。
時代が進むとともに科学技術も進歩し、世界観や人間観をも変えうる可能性をも秘めたSF小説の魅力は、それにあわせてますます輝きを増しています。
今回ご紹介した書籍(早川書房)
『鋼鉄都市』
アイザック・アシモフ(著)
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
フィリップ・K・ディック(著)
『ハイペリオン』シリーズ
ダン・シモンズ(著)
『順列都市』
グレッグ・イーガン(著)
『あなたの人生の物語』
テッド・チャン(著)