ちょっとマイナー。だけど読んだら絶対にハマるおすすめ青年漫画5選
みなさんは、大好きな漫画がスポットライトを浴びず、「どうしてこの漫画の面白さをわかってくれないんだ……!」と思ったり、「この漫画の面白さは他の人にはわからないだろう」と思ったりしたことはありませんか?
誰にでも、思い入れの強い作品はあるはずです。
あまり知名度の高い作品ではないけれど、個人的にとても印象的で、みなさんにもぜひ教えたいちょっとマイナーな漫画作品をご紹介します。
殺人と営利誘拐意外は請け負います。
『代打屋トーゴー』
『代打屋トーゴー』
たかもちげん(著)、講談社
冴えないサラリーマン・吉本大介が、夜は「代打屋トーゴー」として代打稼業をこなしていくという、1話完結の物語です。
三枚目キャラクターのトーゴーが、人を殺すことと、営利誘拐以外のすべての依頼に応ずるというポリシーのもとに、舞い込んでくる案件を見事に片付けていくところがこの作品の見どころです。
軽いタッチで描かれる1話完結の短いストーリー。そのなかに盛り込まれるトリックや謎解きの小気味よさが、気軽に読めて飽きさせない絶妙な空気を醸し出しています。
持ち込まれる依頼案件は、殺人予告の阻止から恋人探しまでさまざまなところも面白さのひとつ。
区役所の同僚・紀ちゃんとの恋も、全編を通じてところどころに盛り込まれており、トーゴーのキャラクターに華を添えています。
少女漫画のような恋愛物語。
『風呂上がりの夜空に』
『風呂上がりの夜空に』
小林じんこ(著)、講談社
「週刊ヤングマガジン」に連載された80年代の作品で、少女漫画タッチで描かれる高校生の恋愛物語。
主人公の辰吉は、土手から転げ落ちたもえを助けた際に、尻に14針縫うほどの怪我をしてしまう。
自分の身体を犠牲にして助けてくれた辰吉に恋い焦がれるもえが、辰吉を追いかけるようにして同じ高校に入学して……。
もえが身を寄せている銭湯「花の湯」と、2人が通う高校が主な舞台。高校の友人たちや、辰吉の両親、「花の湯」の主人であるもえの祖母など、ポップで個性的なキャラクターが登場します。
彼らの恋愛は甘酸っぱくもあり、年頃の男の子と女の子の複雑な想いが、明るいトーンで描かれています。
1987年には、少年隊の錦織一清さんと三田寛子さんの主演でテレビドラマ化もされました。
規則正しい柳沢教授の日常。
『天才柳沢教授の生活』
『天才柳沢教授の生活』
山下和美(著)、講談社
1988年から現在も「週刊モーニング」で連載中で、日常を描いた漫画のパイオニアとも言える作品です。2002年には松本幸四郎(現在 ニ代目 松本白鸚)さん主演でドラマ化されています。
決まりごとやマナーを決して破ることなく、日々繰り返される規則正しい生活。
日々の様々な出来事のひとつひとつに、感情の起伏を表さない柳沢教授。常に理路整然と対応する教授が、ある種変人的なキャラクターとしてユーモラスに描かれています。
一方で、融通のきかない人間の視点があるからこそ見えてくる、人の心の機微を鮮やかに切り取ったエピソードは、ほっこりと心に染みます。
時代背景は1980年代。当時を象徴するワンレンやボディコンが登場するなど、当時を知っている年代の人にとって懐かしい雰囲気を味わえるでしょう。
連続殺人鬼の生涯。
『ICHIGO 二都物語』
『ICHIGO 二都物語』
六田登(著)、小学館
90年代に「週刊ヤングサンデー」に連載された隠れた名作。六田登さんといえば、『F』や『ダッシュ勝平』の作者としても有名です。
本作では、連続殺人犯が主人公という、重たいテーマを扱っています。
戦後復興の時代に、土木建設会社を営む父を持つ主人公・梅川一期。生まれて間もなく肺炎で片方の肺を摘出し、胸には大きな手術跡が……。
手術跡のせいで父親からは認められず、そのコンプレックスから徐々に歪んだ人格が形作られていく一期。12歳になった年に、初めての殺人を犯してしまうのです。
以降、殺人を繰り返しながら生きていかなければならなくなった連続殺人鬼の生涯が、昭和の終わりの時期まで描かれています。
名作たる所以は、幼少期に歪められた一期の心の闇が、圧倒的なリアリティをもって描写されているところに尽きるでしょう。
殺人を犯す人間の殺伐とした感情、踏み入ってはいけないところに連れて行かれるような恐ろしい感覚を覚えます。
スカッとする痛快ストーリー!
『解体屋ゲン』
『解体屋ゲン』
石井さだよし(著)、星野茂樹(原作)
芳文社
「週刊漫画times」で連載される社会派作品で、2002年からスタートし現在も連載が続くマイナー漫画です。
単行本が1巻、コンビニコミックが2巻しか発売されておらず、現在は電子書籍で読むことができます。
「朝倉工務店」の社長として解体業を細々と営む主人公・朝倉厳(ゲン)は、爆破解体技師として世界の現場を経験してきた過去を持っています。
大手ゼネコンの社員・大月慶子と知り合い、彼女から持ち込まれる爆破解体案件によって、社会に蔓延る権力者や金持ちの悪を次々と打ちのめしていくという痛快なストーリーです。
当初は孫受け解体業者でしたが、慶子との出会いをきっかけに、次第に事業を拡大していくという展開になっています。
十数年にわたる連載の流れのなかで変わっていく、人間の成長や人間関係には引き込まれます。
登場人物に感情移入してしまい、先が気になってしまうストーリーが本作の魅力です。
普段は読まないジャンルの作品に挑戦してみては?
今回あげた作品は、読み手を選ぶ作品であることは間違いありません。普段なら読まないような作品もあったでしょうか。
しかし、普段は手に取ることのない作品のなかに、新たな発見のある作品が埋もれているかもしれませんよ。
今回ご紹介した漫画
『代打屋トーゴー』
たかもちげん(著)、講談社
『風呂上がりの夜空に』
小林じんこ(著)、講談社
『天才柳沢教授の生活』
山下和美(著)、講談社
『ICHIGO 二都物語』
六田登(著)、小学館
『解体屋ゲン』
石井さだよし(著)、星野茂樹(原作)、芳文社