『黒猫の三角』から始まる! 森博嗣「Vシリーズ」各巻あらすじ
更新日:2019/11/29
森博嗣さんが手掛ける、『黒猫の三角』から始まる人気ミステリィ「Vシリーズ」をご存知ですか?
ここでは、森博嗣さんの人気作品「Vシリーズ」(講談社)の各巻のあらすじや登場人物に迫っていきます!
目次
「Vシリーズ」各巻あらすじ
└1.黒猫の三角
└2.人形式モナリザ
└3.月は幽咽のデバイス
└4.夢・出逢い・魔性
└5.魔剣天翔
└6.恋恋蓮歩の演習
└7.六人の超音波科学者
└8.捩れ屋敷の利鈍
└9.朽ちる散る落ちる
└10.赤緑黒白
「Vシリーズ」とは?
森博嗣さんが手掛ける、『黒猫の三角』から始まる人気ミステリィシリーズ。シリーズ名は探偵役の瀬在丸紅子(Cezaimaru Venico)のファーストネームからつけられています。
2015年には檀れいさん主演でドラマ化。その後皇名月さんによってコミカライズされるなど、話題となりました。
紅子が住む屋敷をはじめ、本作で登場する阿漕荘(あこぎそう)など、古き良き時代のような印象が感じられることが特徴。読者を楽しませる仕掛けが満載で、ぐいぐい引き込まれる作品となっています。(私も何度騙されたことか……)
『すべてがFになる』から始まる「S&Mシリーズ」や、真賀田四季を主人公とした「四季シリーズ」との関連性もありますが、本シリーズは各巻に繋がりが見られるので、刊行順に読んでいくことをおすすめします。
ちなみに、「S&Mシリーズ」⇒「Vシリーズ」⇒「四季シリーズ」⇒「Gシリーズ」⇒「Xシリーズ」と読んでいくのがおすすめです。
各巻のタイトルも非常に秀逸。ぜひ注目しながら読み進めてくださいね。
「Vシリーズ」登場人物
瀬在丸紅子(せざいまる べにこ)
自称科学者で、本シリーズの探偵役。もともとは旧家の令嬢だが、現在は無言亭と呼ばれる小屋で息子、執事と生活してる。気分の変わりやすい性格。
保呂草潤平(ほろくさ じゅんぺい)
阿漕荘に住んでいる住人。私立探偵と便利屋を兼業しており、頭の回転の速さと冷静さを兼ね備えている。
小鳥遊練無(たかなし ねりな)
阿漕荘に住んでいる女装癖のある医学部生。可愛らしい顔をしており、女装していることは気付かれにくい。
香具山紫子(かぐやま むらさきこ)
阿漕荘に住んでいる女子大生。男性っぽい仕草や格好を好む。
祖父江七夏(そぶえ ななか)
紅子の元夫である林の愛人であり部下の刑事。紅子とは非常に相性が悪い。
林(はやし)
紅子の元夫で、愛知県警捜査一課の刑事。自身の周囲に関することにはほとんど執着がない。
「Vシリーズ」各巻あらすじ
1作目『黒猫の三角』あらすじ
ある規則性のもと、年に1度起きる殺人事件。
今年の標的らしい、脅迫状を受け取った女性から警護の依頼を受けた保呂草。阿漕荘のメンバーとともに警護にあたるが、彼女は密室の中で殺されてしまう――。
「Vシリーズ」の1作目。全てはここから始まりました。
卓越した論理的思考を披露する紅子をはじめ、とにかく登場人物ひとりひとりがユーモラスに描かれます。
ちなみに私は、犯人やトリックにまんまと騙されました。
2作目『人形式モナリザ』あらすじ
『人形式モナリザ Shape of Things Human』
長野県の蓼科にある「人形の館」で人形劇を見ていた紅子たち。なんとそのステージで出演者の1人が殺害されてしまう。
大勢の人が見ていたなかで、犯人はどのようにして被害者を殺害し、逃亡したのだろうか――。
人形館で起こった殺人事件に巻き込まれた紅子らが、事件の真相解明に乗り出します。
被害者の一族が2年前に殺されていた、被害者は「神の白い手」によって殺されたなど、さまざまな謎が渦巻く本作。ラスト1行を読んだときには、衝撃が走りました。
3作目『月は幽咽のデバイス』あらすじ
『月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks』
紅子たちは、狼男が出ると噂のある屋敷でのパーティーに出席していた。
楽しいパーティーの時間もつかの間、その屋敷のオーディオルームで、女性が死体となって発見される。現場は密室。床は血まみれ、女性が着ていた衣服は狼が引き裂いたかのようで――。
前作以上に登場人物たちの掛け合いを楽しめる本作。紅子たちが、とある屋敷で起こった殺人事件に挑みます。
本作から、前作に登場している練無の友人である森川が阿漕荘に仲間入り。これが凄く良い味を出しているんです!
また、登場人物たちの背景や個性も徐々に明らかになってくるので、今後の展開にも目が離せません。
4作目『夢・出逢い・魔性』あらすじ
『夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show』
クイズ番組に出るために東京にきていた紅子たちは、テレビ局でプロデューサーが殺される事件に遭遇する。事件のカギを握る女性アイドルの亜裕美が、練無とともに行方不明になり――。
本作は、練無にスポットライトが当たった作品です。新キャラとなる稲沢探偵が登場し、変わらず登場人物たちの個性も光ります。
物語は、合間に犯人の独白が綴られており、まるで夢の中にいるような感覚に陥ります。はたして犯人は生きているのか、それとも死んでいるのか……?
最後まで読んだとき、『夢・出逢い・魔性』というタイトルに納得するはずです。
5作目『魔剣天翔』あらすじ
航空ショーの最中に、その航空機の中でパイロットが射殺される。
宝剣エンジェル・マヌーヴァを求める各務亜樹良(かがみあきら)の依頼によって、会場にきていた保呂草や阿漕荘のメンバーは、事件の謎を追うことに――。
殺人現場は、観衆が見守る空の上。トリック、犯人、脅迫状など、さまざまな謎が複雑に絡み合います。今までのシリーズ作品の中でも特にハラハラ感を味わえました。
また、登場人物たちの人間関係にも少しずつ変化が見られます。最後には切ない展開も……。
6作目『恋恋蓮歩の演習』あらすじ
仕事のために、世界一周中の豪華客船ヒミコ号に乗り込んだ保呂草たち。ところがそこで、男性客と、天才画家・関根朔太の描いた絵画が消失する事件が発生し――。
『魔剣天翔』から数か月後のお話。きらびやかな豪華客船で起こった2つの事件の謎に迫っていきます。
一体なぜ、そしてどうやって男性と絵画は消えたのでしょうか……?
今までの作品のなかでも特にロマンティックな本作。登場人物たちの甘酸っぱい恋模様にときめきます。保呂草の天然プレイボーイっぷりには驚きました。
7作目『六人の超音波科学者』あらすじ
『六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists』
山の奥深くにある土井超音波研究所で行なわれるパーティーに招待された紅子たち。
そこで、出席者の1人が死体となって発見される。警察に届いた爆破予告のとおり、外界と繋がる唯一の手段である橋が爆破され、研究所は完全な孤島となってしまう――。
クローズド・サークルものの作品。陸の孤島となった研究所で、次々に死体が発見されます。
細かく張りめぐらされた伏線を、見事に回収していくさまが非常に気持ちよい作品。また、紅子の元夫である林をめぐる、紅子と七夏のやり取りが面白いです。
8作目『捩れ屋敷の利鈍』あらすじ
『捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest』
熊野御堂の別荘に招待された保呂草と西之園萌絵(にしのそのもえ)は、メビウスの帯状にねじれたオブジェを見物していた。
その翌日、オブジェ内で死体が発見され、宝剣エンジェル・マヌーヴァも消失する。さらに、屋敷の主人まで死体となり――。
「S&Mシリーズ」の西之園萌絵が登場。保呂草と2人で事件解決に乗り出します。もちろん国枝先生や犀川創平(さいかわそうへい)も登場しますよ。
シリーズの中でも厚みがさほどのないので、さらっと読み切れるはず。保呂草VS萌絵だなんて、ファンにはたまらない一冊です!
9作目『朽ちる散る落ちる』あらすじ
『朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away』
土井超音波研究所の地下にある施設で、死体が発見される。現場は完全な密室なうえ、その状況は明らかに不自然だった。
一方、数学者の小田原博士に促され、周防教授の元を訪れた紅子。そこで教授から、宇宙船内で乗組員全員が殺害された話を聞くが――。
『六人の超音波科学者』の続編で、そのときに開かされなかった謎が本作で明らかに……!
土井超音波研究所で再び事件が起こります。さらに宇宙船での事件にも挑むことになり、スケールの大きさを感じられます。
大がかりなトリックにはワクワクしました。
10作目『赤緑黒白』あらすじ
『赤緑黒白 Red Green Black and White』
真っ赤に染められた死体が、あるマンションの駐車場で発見される。
その数日後、被害者の恋人だと言う女性から依頼を受けた保呂草。調査の報告のために女性のアパートに向かうと、そこには緑色に染まった死体が――。
シリーズ完結作。名前の中に「色」がある人が次々に殺されていく連続殺人事件と、画家の関根朔太の展覧会で盗まれた絵画の謎に保呂草らが挑みます。
主要な登場人物たちも勢揃いし、「これがここに繋がるのか!」とドキドキしながら物語は終わりに向けて一気に駆け抜けていきます。
エピローグにもさまざまな要素が詰まっており、最後まで見逃せません。
紅子たちの活躍に注目!
「Vシリーズ」の登場人物や、全巻のあらすじをご紹介しました。紅子たちの楽しそうなやり取りと、謎が謎を呼ぶ展開は、何度でもよみたくなります。
関連性のある「S&Mシリーズ」「四季シリーズ」とあわせて読んでくださいね。
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