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面白すぎて思わず一気読み!森博嗣が描く世界が天才すぎる


更新日:2016/6/23

熱烈なファンが多いことで知られる、人気ミステリー作家として有名な森博嗣さん。

森博嗣さんの作品を形容する場合によく使用される言葉が「理系ミステリィ」。主人公たちが、理系ならではの科学的知識やコンピューター理論を駆使して、事件を解決していくミステリー作品を指します。

しかし、森博嗣さんが描く作品は「理系ミステリィ」だけではありません。
生と死を描いた哲学的な作品や、SF作品など、別人格が書いたような多岐にわたる作風の書籍が発売されています。しかし、それでいてすべての作品が「森博嗣らしい」。

そんな、いろんな顔を持つ、天才・森博嗣さんの作品の中から、とにかくこれは読んでほしい!という面白すぎる作品を集めてみました。

 

森博嗣デビュー作
『すベてがFになる』

書籍『すべてがFになる』表紙

すベてがFになる
講談社

森博嗣さんのデビュー作。月9のドラマになったこともあり、森ミステリィの中では最も知られている作品といえます。綿密に作り込まれたトリックは技巧的で、もはや芸術的と言ってもいいほど。

読めば、森ミステリィが「理系ミステリィ」と呼ばれる理由がわかるでしょう。森博嗣さんの天才ぶりが垣間見れます。

 

~あらすじ~

14歳のとき両親殺害の罪に問われ、外界との交流を拒んで孤島の研究施設に閉じこもった天才工学博士、真賀田四季。
主人公は、教え子の西之園萌絵とともに、島を訪ねたN大学工学部助教授、犀川創平は一週間、外部との交信を断っていた博士の部屋に入ろうとした。
その瞬間、進み出てきたのはウェディングドレスを着た女の死体。
そして、部屋に残されていたコンピューターのディスプレイに記されていたのは「すべてがFになる」という意味不明の言葉だった。

 

本書は、西之園萌絵と犀川創平の2人組が活躍する「S&Mシリーズ」の第1作です。

S&Mシリーズは本書を含めて10作品。そして、Vシリーズ(全10作品)、四季シリーズ(全4作品)、Gシリーズ(森博嗣曰く全12作ですが、現在刊行されているのは9作品)、Xシリーズ(森博嗣曰く全6作ですが、現在刊行されているのは5作品)と続いていきます。

シリーズをまたいで主人公同士が繋がっていたり、伏線が張られているところが、森ミステリィの魅力のひとつ。
読めば読むほど、夢中になっていくことでしょう。

⇒『S&Mシリーズ』はこちら

 

代表作と公言する1冊
『スカイ・クロラ』

書籍『スカイ・クロラ』表紙

スカイ・クロラ
中央公論新社

森博嗣さんが「自分の本質に最も近い作品」と評し、自身の代表作と公言している「スカイ・クロラシリーズ」の第1作。押井守監督によってアニメ化されており、この作品からファンになったという人も多いです。
ミステリー作家として有名な森博嗣さんですが、このシリーズに関してはミステリー要素はありません。
ディストピアや死生観が描かれた、壮大で深みのあるSF作品となっています。
また、臨場感のある戦闘シーンは秀逸で、まるで空を飛んでいるような気持ちになれます。

 

~あらすじ~

舞台は、戦争がショーとして成立する世界。平和を実感するために、民間軍事会社によって戦争が行われる。
主人公である”僕”は「キルドレ」で、戦闘機に搭乗するパイロット。
「キルドレ」とは、遺伝子制御剤の開発の過程で生まれた産物であり、歳をとらず、子どものまま永遠に生き続ける。
”僕”は、パイロットとして空を飛んでいる瞬間だけは、強烈に生を感じることができる。

 

「スカイ・クロラシリーズ」は、本書を含め、長編5作品、短編集1作品から構成されます。

森博嗣さんはトークショーのときに「どの順番で読んでも良いが、もし5冊を全部読む自信がある人は、「ナ・バ・テア」から読むことをすすめる。それが一番誤解がないだろう。
もし5冊も読む自信はない、とりあえず1冊、という人には、「スカイ・クロラ」を」と話しています。読むときには参考にしてくださいね。

『スカイ・クロラシリーズ』はこちら

 

森ミステリィの新境地
『女王の百年密室』

書籍『女王の百年密室』表紙

女王の百年密室
新潮社

ミステリーとSF作品とおとぎ話が巧みに融合した、森ミステリィの新境地といえる「百年シリーズ」の第1作。

神の意志と人間の尊厳の相克がテーマとして描かれており、生と死とは何か? をいやでも考えさせられます。
幻想的な世界、科学的なトリック、残酷かつ美しい描写、哲学的な言葉群……森博嗣作品の素晴らしい部分をぎゅっと凝縮した名作です。
読み進めていくうちに明るみになる真実と、驚愕のクライマックスは、味わい深い余韻を残してくれることでしょう。

 

~あらすじ~

西暦2113年。主人公のサエバ・ミチルと、ウォーカロンのロイディがたどり着いた先は、外部から完全に隔離された街、ルナティック・シティ。
ルナティック・シティは、貧富の差もなく、犯罪も起こらず、死者も出ない(死んだら冷凍保存されるシステムであるため「永い眠りにつくだけ」)、一人の女王が統治する幸福で豊かな楽園。
そんな世界で、ある日、完全密室での殺人事件が起こる。
ミチルとロイディが謎を解き明かしていく途中、物語はミチルの凄惨で悲しい過去につながっていく。

 

なお、森博嗣さんは自身のホームページで本書について「鈴木成一氏によるブックデザインが秀逸です」と書いています。ぜひ、本書を手にした時は装丁も愉しんでみてください。

⇒『百年シリーズ』はこちら

 

1冊で存分に楽しめる!
『少し変わった子あります』

書籍『少し変わった子あります』表紙

少し変わった子あります
文藝春秋

本書はノンシリーズの単発ミステリー作品であり、この1冊で森ミステリィの世界を存分に楽しむことができます。
ミステリーではなく、世にも奇妙な物語といった印象を受ける人も多いはず。
「上品で美味しい孤独をどうぞ」。
衝撃的な結末には背筋がすっと凍ることでしょう。

 

~あらすじ~

行方不明になった、後輩の荒木。主人公の小山は、何か手がかりがないかと、荒木が通っていた料理店に足を運ぶ。
その料理店はとにかく謎めいており、店名もない、店舗もない、メニューもない。いるのは名のない女将と、「少し変わった」若い女性。若い女性は毎回変わり、同じ人間が二度と来ることはない。
徐々に、小山はその料理店に夢中になっていく……。

 

また、目次にも奇妙さが表れています。森博嗣さんの徹底した世界構築には脱帽です。

~目次~
少し変わった子あります
もう少し変わった子あります
ほんの少し変わった子あります
また少し変わった子あります
さらに少し変わった子あります
ただ少し変わった子あります
あと少し変わった子あります
少し変わった子終わりました

 

天才・森博嗣が描く世界を堪能して

一度読み始めると、ハマる人が多いというのも納得できるほど、ずば抜けた才能を持っている森博嗣さん。森作品を1冊でも読めば、その才能を感じ取ることができると思います。彼の作品を読まないなんてもったいない! 本当にお薦めですよ。

 

 

以下の特集では鉄道・自動車など多趣味なことでも知られる森博嗣さんの、小説をはじめとした多岐にわたる作品をご紹介!