源平合戦編! 時代・歴史小説おすすめ作品5選
源平合戦は、歴史を学んだ人なら勉強した記憶がある人も多いはずです。
大河ドラマにもよく取り上げられる時代なので、歴史的な理解が深い人も、歴史が苦手で源平合戦といってもピンと来ない人も、以下のおすすめする作品を読んで、今一度源平合戦時代を見直してみてはいかがでしょうか。
清盛のイメージがガラリと変わる!
『新平家物語』
吉川英治(著)、講談社
『新平家物語』は、歴史小説家で有名な吉川英治さんの代表作です。本作は連載期間7年間におよぶ大作で、第1回菊池寛賞を受賞しました。
1972年にはNHK大河ドラマにもなり、話題になっています。
物語は、平清盛の幼少時代から始まり、鎌倉時代のはじまりまでを描いています。
題名は『平家物語』となってていますが、それだけではなく「保元物語」「平治物語」「義経記」「玉葉」などの古典の要素も含んだ長編作品です。
平家よりの視点で書かれていますが、時代の無常さ、人情などの登場人物の気持ちを描いているので歴史が苦手な人でも感情移入しやすくなっています。
源頼朝・義経の成長から決別までも描かれており、読み終わる頃には歴史の大変革を学びつつ、登場人物の心情を感じることができるでしょう。
女性ならではの視点で描かれる源平歴史絵巻
『宮尾本 平家物語』
宮尾登美子(著)、文藝春秋
『宮尾本 平家物語』全4巻を書いた宮尾登美子さんは1926年生まれ。
高知県の社会福祉協議会に勤めながら執筆をしており、1962年『連』という作品で女流新人賞を受賞します。
その後は9年あまりを費やし書いた『櫂』が太宰治賞を受賞、1978年には『一絃の琴』で直木賞を受賞。また、2009年には文化功労賞を受賞しています。
『宮尾本 平家物語』は、2005年のNHK大河ドラマ『義経』の原作です。
女性目線で描かれた源平歴史絵巻で、読者からも「読みやすい」という声が多い作品となっています。
己の運命を受け入れて、人生をどのようにして生きていくのか、現代社会の教訓にもなる小説です。
登場人物の想いに心ときめく作品
『炎立つ』
高橋克彦(著)、講談社
『炎立つ』は、1993年のNHK大河ドラマのために書き下ろされました。
著者の高橋克彦さんは1947年岩手県生まれ。
早稲田大学を卒業し、美術館で働いた後に、1983年に『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞します。その後の作品でも日本推理作家協会賞、直木賞を受賞しました。
源平の武士たちが、東北に黄金の楽土を築こうとした藤原氏の夢が、炎となって燃え上がる様子が描かれています。
安倍の一族の内紛、藤原経清の最期などがどのように描かれるのか、楽しみながら読み進められますよ!
義経が好きな方は、5巻まで辛抱強く待ってください!
全体的に題名に出てくる炎を話題に絡めつつ、壮大なスケールで描かれています。
悲劇の武将・義経の生涯
『義経』
司馬遼太郎(著)、文藝春秋
『義経』は、司馬遼太郎さんによって1966年から1968年にわたり『九郎判官義経』という題名で連載されました。
1968年に文藝春秋から刊行され、現在は文春文庫で全2巻出されています。
著者の司馬遼太郎さんは、1923年に生まれ、大阪外国語学校蒙古語部を卒業しています。
『ペルシャの幻術師』で講談倶楽部賞を、『梟の城』で直木賞を受賞。
そのほかにも『竜馬がゆく』や『国盗り物語』など、自分なりの視点で歴史を描く作品を数多く書き残しました。
この小説を読むと、義経と頼朝との関係、なぜ、家に勝利した功労者の義経が頼朝に追討されたのか、歴史上で義経と頼朝とが仲が悪かったといわれる原因がどこにあるのかなど、様々な疑問点が少し解決されるかもしれません。
源氏と平家の考え方の違いや、現在では考えられない「血を分けた親子や兄弟であっても争う敵となる」という当時と現代の価値観の違いが、本作を読むと理解できると思います。
誰もがその名を知る源頼朝の生涯
『源頼朝』
山岡荘八(著)、講談社
平家に焦点をあてた作品が多い中、源氏の作品を紹介します。
著者の山岡荘八さんは1907年に生まれ、1950年に有名な『徳川家康』の連載を開始します。
『徳川家康』は17年がかりで完成させたもので、5000万部を越えて戦後最大のベストセラーとなりました。
源頼朝は、歴史の授業でも必ず習う人物です。しかし、あまりその人生を深く小説化されたものはない中、この作品は読みやすくおすすめです。
平安時代の終わりに立ち会い、鎌倉幕府を築く源頼朝ですが、己の信念をいかに成長させていったか、心情の面が詳細に描かれています。
源頼朝という人物像、その周囲で起こるさまざまな出来事に対して、ぶれることのない強い信念があるので、読み進めるのが楽しく感じる作品です。
源平合戦を学びながら……
今回挙げた作品は、多くの読者が歴史に詳しくない人でも読みやすいと感想を寄せているものを選びました。
源平合戦に出てくる戦いの描写もさることながら、その裏に隠された各々の心情なども合わせて読み解いていくと、読んだ後に新たな感動が訪れるかもしれません。
今回ご紹介した書籍
『新平家物語』
吉川英治(著)、講談社
『宮尾本 平家物語』
宮尾登美子(著)、文藝春秋
『炎立つ』
高橋克彦(著)、講談社
『義経』
司馬遼太郎(著)、文藝春秋
『源頼朝』
山岡荘八(著)、講談社
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