必ずしも華やかではない!? 音楽業界の裏側を描いた本
更新日:2017/7/8
今回取り上げるのは「音楽業界の裏側を描いた本」。
テレビやコンサートで目にする華やかな世界の裏側には、実に多くの職種が存在しています。
フィクションという名の自伝的小説からノンフィクションまで、音楽にまつわるいろんな業種の業界人による作品を集めてみました。
ビートルズ来日の裏側に、1人の男の存在。
『ビートルズを呼んだ男』
野地秩嘉(著)、小学館
ビートルズ来日50周年を記念して刊行された作品。
イベント興行会社であるキョードー東京を立ち上げた、永島達司さんにまつわるノンフィクション。
ポール・マッカートニーやスタッフの証言など、当時の来日公演にまつわるエピソードがたっぷりと盛り込まれており、ビートルズのファンであれば間違いなく楽しめる作品です。
ビートルズのファンでなくても、戦後どのようにショービジネスがなされていたのか、永島さんが多くの世界的ミュージシャンに「タツ!」と愛されたのはなぜなのか……など、実に学びになる1冊だと思います。
まるでノンフィクションかのようなリアルさ。
『ソングス・アンド・リリックス』
zopp(著)、講談社
修二と彰「青春アミーゴ」、山下智久「抱いてセニョリータ」など、トータルセールス2000万枚超の売れっ子作詞家が描く私小説。
「おれはあきらめない。絶対、作詞家になる!」
主人公・明の青春とサクセスストーリーが描かれた作品で、音ノリや譜割といった業界用語が多く出てきます。
本書は一応フィクションというテイですが、ゴーストシンガー・契約における実情など、業界の黒い面も多く描かれており、どこまでが事実なのだろう……? と考えながら読むとさらに楽しめますよ。
音楽に関する疑問に答えてくれます。
『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』
スティーヴン・ウィット(著)、早川書房
「世の中には海賊版や違法コピーが蔓延しているが、これらはどこから来てるんだ?」という根本的な疑問に答えを出す傑作。
数千枚もの裁判資料、登頂記録、FBIの監視記録など、膨大なデータの中から導き出した、その答えとはいったい……?
作中にはMP3を発明した技術者の声や、音楽業界のドンなどが登場します。裏側に隠された、一般人には知りようがない世界的陰謀には言葉を失いました……。
現代を生きる上でこの作品はぜひ読んで欲しいと思う良書です。
どこまでが本当の話か?
『東京フールズゴールド』
川崎大助(著)、河出書房新社
音楽雑誌『ロッキング・オン』でライター活動を始め、『米国音楽』を創刊したことで知られる川崎大助さん。『日本のロック名盤ベスト100』などは、目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
金・薬・ヤクザなど、一般人が知る由もない音楽業界の裏側が描かれており、ロックに近しい存在であった川崎さんだからこそ書ける小説に仕上がっています。
シビアな世界が繰り広げられており、どこまでがフィクションなのかが気になるところですが、エンターテイメントとして完成度が高く、読後感が良いので本書はお薦めですよ。
読み進めているうちに出てくる「あっ!この人がモデルなんだろうな~」というのが分かる、楽しい1冊でした。
業界人だからこそ描ける世界
今回紹介した作品は、業界人だからこそ知り得る内容がぎっしり詰まっています。華やかな世界の裏側を覗いてみたい方はぜひ手にとってみてくださいね。
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今回ご紹介した書籍
『ビートルズを呼んだ男』
野地秩嘉(著)、小学館
『ソングス・アンド・リリックス』
zopp(著)、講談社
『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』
スティーヴン・ウィット(著)、早川書房
『東京フールズゴールド』
川崎大助(著)、河出書房新社