司馬遼太郎『覇王の家』あらすじ・内容|徳川家康の人物像に迫る!
更新日:2017/7/5
『覇王の家』
司馬遼太郎(著)、新潮社
『覇王の家』とは
タイトルの『覇王の家』とは徳川家のことを指します。
徳川270年の礎を築き上げた徳川家康。幼少期は今川の人質として、その後は信長の隷属に徹しながらも虎視眈々と天下を狙っていました。
どこか得体の知れない「タヌキおやじ」徳川家康の人物像に迫った作品です。
司馬遼太郎目線で描かれた「徳川家康」
室町幕府が衰退し、応仁の乱をきっかけに各地で戦乱が勃発していく戦国時代。
戦乱の世を統一しようとした3人の武将のなかでも、徳川家康に「地味でケチなタヌキおやじ」というイメージを持っている人も多いと思います。
天下統一を成し遂げた豊臣を破り、戦国の覇者となった家康。後の日本の歴史を大きく左右する時代を造り上げた武将であるにもかかわらず、家康の生涯を描いた作品は驚くほど少ないと言えます。
『覇王の家』は、そんな徳川家康の生涯を追いながら、どこか得体の知れない家康の人物像に迫った作品です。
家康という人間の根本にあったものは三河武士の気質であり、さらには、現代の日本の民族性の基にもなっていた。そんな司馬氏の独特の視点で描かれています。
上巻は、三河の跡取りとして生まれながら今川の人質として過ごした不遇の幼少時代から、賤ケ岳の戦いあたりまで。
そして、下巻は信長の次男・織田信雄(のぶかつ)とともに秀吉と対峙した小牧・長久手の戦いを中心に描かれています。
ちなみに本書では、天下分け目の戦いと言われる関ヶ原の戦いと大坂の陣は描かれていません。
両戦いを描いた『関ヶ原』と『城塞』を合わせて読むことで、より家康の人物像を知ることができますよ。
今回ご紹介した書籍
『覇王の家』
司馬遼太郎(著)、新潮社
『坂の上の雲』や『功名が辻』など、多くの歴史小説を発表した司馬遼太郎氏。
他にも紀行文や対談集など、司馬氏の作品を紹介した特集はこちら。