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宮部みゆき『魔術はささやく』あらすじ・内容


更新日:2017/6/22

『魔術はささやく』表紙

魔術はささやく
宮部みゆき(著)、新潮社ほか

『魔術はささやく』あらすじ

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1人目はマンションから飛び降り、2人目は地下鉄へ飛び込み、3人目はタクシーの前に飛び出した。

誰も関連など想像できない3人の女性の死。しかし、4人目の女性となる高木和子は、3人が死ぬ前に何かに怯えていたのを知っていた。

「次は自分の番だ」と恐怖に怯える和子。女性たちの死の裏に潜む事件の真相とは……?

 

読者に「良心」を問う

本書『魔術はささやく』は、1989年に日本推理サスペンス大賞を受賞した宮部みゆき氏の代表作。
デビュー初期の作品でありながら、世の中の不条理やそれに付随する現実的で深刻な怒りや苦しみなどを、正面から描き出す宮部氏の特徴がすでに表れています。

単なる謎解き推理小説ではなく、人物描写も丁寧で見事なストーリー構成。控えめで賢い少年、少年の周りに集まる温かい人間関係、欲望に支配される人間、冷静沈着な復讐者、そして謎解きへ――。

30年近く前に執筆された作品ですが、多くの宮部ファンが本書をベストに選ぶほど高い評価を得ています。
安定感があり、古さを感じることはありません。まさに「宮部みゆきを読むならここから」と勧められる1冊です。

 

本書を通して読者に問うものがあるとすれば、それは「良心」なのではないかと思います。

良心が試される場面、あるいは良心に訴えるような場面が要所にあり、善悪の判断、正しいことの見極めについて考えさせられます。
しかし、そうした中にも希望の欠片を散りばめているところが、宮部氏のすごさかもしれません。

1990年4月に、山口智子さん主演でテレビドラマ化。
また、2011年9月にも木村佳乃さん主演でドラマ化され、中村蒼さん、小池栄子さん、原田美枝子さん、奥田瑛二さんら実力派キャストが物語に彩りを添えています。

【おすすめ記事】原作が面白い! 宮部みゆき映画化作品のおすすめ

 

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今回ご紹介した書籍

魔術はささやく
宮部みゆき(著)、新潮社ほか