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原作が面白い!宮部みゆき映画化作品おすすめ3選


更新日:2016/8/5

宮部みゆき映画化作品おすすめ3選

宮部みゆきさんは、物語の面白さや展開の意外性で読者を引っ張っていく、現代の人気作家です。

読んでみて感動した小説が、どんな映画になるかというのは、キャストも含め楽しみなものですよね。

今回は、宮部みゆきさんの小説の中で映画化した作品を3つご紹介します。

 

それぞれの人間が起こした行動のわけとは?
『理由』

『理由』表紙

理由
新潮社

高級マンションの一室で起きた、一家4人の惨殺事件から始まる、宮部みゆきさんの直木賞受賞作。

4人は誰に殺されたのか、そしてなぜ殺されたのか。警察の捜査が進むにつれ、4人は家族ではなかったことが次第に明らかになります。

事件当夜、殺人が起きた部屋を訪れた男と女は、犯人なのか、犯人でないならどんな理由で訪れたのか。
事件を通報したマンションの管理人や、不審人物を目撃した隣の部屋の住人など、関係者の証言が一つずつ章立てされています。

まるで、刑事が集めてくる情報のピースがバラバラに示され、最後に一つのパズルが完成するような趣向の小説です。

 

大林宣彦監督の映画版「理由」も、原作に沿うように、章ごとに一人ひとりの関係者の「理由」が浮き彫りになるよう忠実につくられています。
そのため、実質的に主役と言える俳優はいないのですが、主役級の俳優が多く出演し、一つ一つの章で存在感を放っています。

最後にわかる犯人と動機もパズルのピースの一つだと思えるほど、総主役たちの日常の哀感が詰め込まれた1冊です。

 

特殊能力者の悲哀を描く!
『クロスファイア』

『クロスファイア』表紙

クロスファイア
光文社ほか

念力放火能力(パイロキネシス)者の青木淳子は、念じただけで人間を発火させることができます。
恋人・一樹の妹が殺されたとき、犯人に報復するため能力を使おうとしましたが、それが原因で淳子と一樹は別れることに……。

その後も淳子の正義感は凶悪な殺人犯を許さず、大手を振って殺人を繰り返す犯罪者たちを「処刑」することを使命のように感じていました。
ときには周辺の人を巻き込んでまで、徹底的に犯罪者を追い詰めようとします。警察の中では不審に思う刑事も――。

一方、単独行動で処刑をおこなう淳子に近づいてくる、法の裁きを逃れた犯罪者を追う集団「ガーディアン」。
孤独だった淳子に仲間ができ、ガーディアンの一人で犯罪者追跡のパートナーである浩一とも恋愛関係になります。

 

果たして、淳子はガーディアンという組織に居場所を見つけ、プライベートでも浩一と幸せをつかむことができるでしょうか。

持って生まれた念力放火能力を使って懸命に生きようとする淳子のことを言っているような、小説の結びの一文が心に残る1冊です。

 

厳しい現実を乗り越える!
『ブレイブ・ストーリー』

『ブレイブ・ストーリー』表紙

ブレイブ・ストーリー
角川文庫

小学5年生の亘(ワタル)は両親と3人暮らしでしたが、ある日ワタルの父は出ていってしまいます。

ワタルは父を取り戻すため、幽霊マンションにあった、現世からヴィジョン(幻界)という別世界に行ける扉をくぐります。
ヴィジョンでは、宝玉を5つ手に入れれば、女神様が一つだけ願いを叶えてくれるのです。

ガス自殺を図って病院に運ばれた母のためにも、父に帰ってきてもらいたいという強い願いで、ワタルは宝玉探しの旅に出ます。

ワタルを「旅人」と呼んで助けるキ・キーマや、悪者退治のハイランダーの女戦士・カッツ。それに、サーカス団のミーナなどの仲間もできたワタルは、ある時、魔道士・ミツルの存在を知ります。
彼は、現世で転校生だった芦川美鶴で、ワタルがヴィジョンに来るきっかけとなった男の子でした。

ミツルは、関係のないヴィジョンの人々を爆殺してまで、手段を選ばず宝玉を集めようとします。ミツルにも、取り戻したいと強く願う人がいたのです。

ワタルは、ミツルの暴挙を止められるのか、最後に宝玉を5つ手にしたのはどちらか、そしてワタルが下した決断とは――?

 

2006年にアニメで映画化され、主人公ワタルの声を松たか子さんが担当されました。

本当の勇気とはこういうことなのだ、という宮部さんのメッセージが伝わってくる物語です。

 

映画の原作を読んでみて!

小説が映画化される時には、脚本家が小説を再構成して、また別の物語ができあがるのです。結末が原作と違っていたりするのはそのためですが、そこに映画の面白さがあります。

昔一世を風靡した角川映画が「読んでから見るか、見てから読むか」という文句で宣伝をしていましたが、みなさんはどちら派ですか?

 

 

以下では、ミステリー小説をはじめ、時代小説やSF、ホラー、ジュブナイルまで幅広く執筆している宮部みゆきさんの作品をまとめています。まだ見たことのない宮部作品に出会えるかもしれません…!